VRRP・HSRPとは?デフォルトゲートウェイ冗長化の仕組み・違い・設計ポイントを解説

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ネットワーク上級編 24/全70記事

この記事は、 「ネットワーク上級編|要件定義・設計・クラウド・自動化へ進む」 の第24回です。

第3章では、BGP、ゲートウェイ冗長化、QoS、SD-WAN、SASEなど、 より高度なネットワーク技術を「仕組み」だけでなく「設計判断」まで含めて学びます。

NETWORK ADVANCED|CHAPTER 3 ADVANCED TECHNOLOGY

VRRP・HSRPとは?ゲートウェイ冗長化の仕組み・違い・設計ポイント

PCのデフォルトゲートウェイが1台しかないと、その機器の障害だけで 同一VLANから外部への通信が停止する可能性があります。 VRRPやHSRPなどのFHRPを利用すると、複数のL3機器で1つの仮想ゲートウェイを構成し、 障害時に別の機器へ自動的に転送役を切り替えられます。

対象レベルLevel 3〜4・上級
想定読了時間約30分
身につく成果ゲートウェイ冗長化を設計できる
前提知識VLAN・STP・ルーティング・冗長化
演習環境ブラウザ・検証環境

ネットワーク機器を2台設置しただけでは、 デフォルトゲートウェイが自動的に冗長化されるわけではありません。

重要なのは、端末から見たゲートウェイを1つの仮想IPアドレスとして見せながら、 実際のパケット転送を複数機器のどちらかが担当する仕組みです。

この記事を読み終えるとできること

  • FHRPが必要な理由を説明できる
  • 仮想IPと仮想MACの役割を説明できる
  • VRRPとHSRPの違いを整理できる
  • PriorityとPreemptの役割を説明できる
  • 上位回線障害を考慮したTrack設計ができる
  • STPとFHRPを合わせて設計できる
目次

VRRP・HSRPなどのFHRPとは

最初に覚える定義

FHRPとは、複数のルーターやL3スイッチで1つの仮想デフォルトゲートウェイを構成し、 障害時に転送役を別の機器へ切り替える仕組みです。

FHRPはFirst Hop Redundancy Protocolの略です。

「First Hop」とは、PCやサーバーが自分とは異なるネットワークへ通信するときに 最初にパケットを渡すルーター、つまりデフォルトゲートウェイを意味します。

VRRP

Virtual Router Redundancy Protocol。 標準化されたゲートウェイ冗長化プロトコルで、 マルチベンダー環境でも採用しやすい方式です。

HSRP

Hot Standby Router Protocol。 Cisco機器で広く使用されるFHRPです。 ActiveとStandbyの役割を持つ機器で仮想ゲートウェイを提供します。

VRRPの古い資料では転送役を「Master」と表現している場合があります。 現在の標準仕様ではActive Routerという用語が使用されています。

なぜデフォルトゲートウェイを冗長化するのか

端末には通常、1つのデフォルトゲートウェイを設定します。

ゲートウェイが1台だけの構成

💻 PC
192.168.10.100
🔀 L3SW-1
GW:192.168.10.1
☁️ 外部ネットワーク

PCのデフォルトゲートウェイが192.168.10.1で、 そのアドレスを持つL3SW-1が故障すると、 PC自身やLAN内のスイッチが正常でも外部ネットワークへ通信できなくなります。

「L3スイッチを2台設置した」だけでは解決しません。

PC側のデフォルトゲートウェイが故障した機器のIPアドレスを向いたままであれば、 予備機が存在していても自動的には利用されません。

そこで2台のL3機器に共通の仮想IPアドレスを持たせ、 PCはその仮想IPをデフォルトゲートウェイとして使用します。

仮想IP・仮想MACの仕組み

FHRPを利用したゲートウェイ冗長化

💻 PC
GW:192.168.10.1
🟢 L3SW-1
実IP:192.168.10.2
Active
L3SW-2
実IP:192.168.10.3
Backup / Standby
仮想ゲートウェイ:192.168.10.1
PCはL3SW-1・L3SW-2の実IPを意識しない

端末から見えるのは仮想ゲートウェイ

2台のL3スイッチには、それぞれ固有の実IPアドレスがあります。

項目 L3SW-1 L3SW-2
実IP 192.168.10.2 192.168.10.3
仮想IP 192.168.10.1
通常時の役割 Active Backup / Standby

PCは192.168.10.1に対してARPを実行し、 FHRPで使用する仮想MACアドレスを学習します。

通常時はActive側の機器がその仮想MAC宛てのフレームを受信して転送します。 Active機器が故障すると、Backup側が仮想ゲートウェイの役割を引き継ぎます。

FHRPの重要ポイントは、端末側の設定を変更せずにゲートウェイを切り替えられることです。

VRRPの基本

VRRPはVirtual Router Redundancy Protocolの略で、 複数のルーターを1つの仮想ルーターとして動作させる仕組みです。

Active Router

現在、仮想IP宛てのパケット転送を担当しているルーターです。

Backup Router

Active Routerを監視し、障害時に転送役を引き継ぐルーターです。

PriorityでActiveを決める

VRRPではPriorityの値によって、どのルーターを優先するか決めます。 基本的には値が大きいルーターほど優先されます。

Backupの標準Priority 100
設定可能範囲 1〜254
アドレス所有者 Priority 255

たとえばL3SW-1を110、L3SW-2を100とすれば、 通常時はL3SW-1を優先Activeにする設計ができます。

VRRP Advertisement

Active Routerは定期的にVRRP Advertisementを送信し、 Backup Routerへ自身が正常に動作していることを知らせます。

VRRPv3の標準では、デフォルトのAdvertisement間隔は1秒です。 IPv4では224.0.0.18宛てのマルチキャストを使用します。

HSRPの基本

HSRPはHot Standby Router Protocolの略で、 Cisco機器で利用される代表的なFHRPです。

Active

仮想ゲートウェイとして実際にパケットを転送する機器です。

Standby

Activeを監視し、障害時に役割を引き継ぐ機器です。

HSRPでもVRRPと同様に、Priorityを使って優先する機器を決めます。 Cisco IOS XE系では標準Priorityは100です。

HelloとHold Timer

HSRPではActiveとStandbyがHelloメッセージを交換します。 一般的なデフォルト設定では、Hello 3秒、Hold 10秒です。

タイマーを短くすれば切り替え検知を速くできますが、 単純に短くすればよいわけではありません。 CPU負荷や一時的なパケットロスによる不要な切り替えも考慮する必要があります。

HSRPv1とHSRPv2では、グループ番号や使用するマルチキャストアドレスなどに違いがあります。 機器更改時には、両機器のHSRPバージョンが一致しているか確認します。

VRRP・HSRP・GLBPの違い

項目 VRRP HSRP GLBP
主な目的 ゲートウェイ冗長化 ゲートウェイ冗長化 冗長化+負荷分散
方式 標準プロトコル Cisco系 Cisco系
主な役割名 Active / Backup Active / Standby AVG / AVFなど
マルチベンダー 採用しやすい Cisco中心 Cisco中心
負荷分散 グループを分けて設計可能 グループを分けて設計可能 プロトコル機能として対応

「どの方式が最も高機能か」ではなく、既存機器・ベンダー・運用標準・必要機能から選定します。

障害発生時はどのように切り替わるのか

  1. 通常時はActiveが転送する 端末は仮想IPをデフォルトゲートウェイとして利用し、 Active側のL3スイッチがパケットを転送します。
  2. Activeの状態をBackupが監視する VRRP AdvertisementやHSRP Helloなどを使って相手の状態を確認します。
  3. Active障害を検知する 一定時間メッセージを受信できない場合や、 追跡対象の障害によって優先度条件が変化します。
  4. BackupがActiveへ昇格する 待機していたL3SW-2が仮想ゲートウェイの転送役を引き継ぎます。
  5. 端末は同じ仮想IPを使い続ける PC側のデフォルトゲートウェイ設定は192.168.10.1のままです。

L3SW-1障害後

💻 PC
GW:192.168.10.1
L3SW-1
Down
🟢 L3SW-2
新しいActive
☁️ 外部ネットワーク

Priority・Preempt・Trackを理解する

Priority:どちらを優先するか

Priorityは、通常時にどの機器をActiveにしたいかを表現するために使います。

L3SW-1:Priority 110
L3SW-2:Priority 100

→ L3SW-1を優先

Preempt:高Priorityの機器へ戻すか

たとえばL3SW-1障害後にL3SW-2がActiveへ切り替わり、 その後L3SW-1が復旧したとします。

このとき「Priorityの高いL3SW-1へActiveを戻すかどうか」を制御するのが Preemptです。

復旧直後にすぐActiveへ戻すと、 ルーティング情報や隣接関係が十分に安定していない状態で 通信を引き受ける可能性があります。

必要に応じてPreempt Delayなどを使い、 復旧後の安定時間を設ける設計を検討します。

Track:LAN側が正常でも上位障害を検知する

FHRP設計で特に重要なのがTrackです。

Trackが必要になる代表例

💻 PC
🟢 L3SW-1
LAN側は正常
上位回線
Down

L3SW-1自体が稼働し続け、PC側のVLANインターフェースもUpなら、 単純なFHRPだけではL3SW-1がActiveのままになる場合があります。

しかしL3SW-1の上位回線が切れていれば、 PCから受け取ったパケットを外部へ転送できません。

そこで、上位インターフェースや経路到達性などを監視し、 異常時にPriorityを下げて別の機器へActiveを移します。

「FHRPがUpか」ではなく、「そのActive機器を経由して目的地まで通信できるか」を考えることが重要です。

ゲートウェイ冗長化の設計ポイント

1.どのVLANを冗長化するか

ユーザーVLAN、サーバーVLAN、管理VLANなど、 対象VLANごとに仮想ゲートウェイを設計します。

2.仮想IPと実IPを決める

例:

VLAN 10
仮想IP   192.168.10.1
L3SW-1   192.168.10.2
L3SW-2   192.168.10.3

アドレス設計ルールを統一し、 「末尾1を仮想IP、末尾2と3を実IP」のようにすると、 運用時に判断しやすくなります。

3.Active機器を決める

全VLANを片側Activeにする構成もあれば、 VLANごとにActiveを分散する構成もあります。

VLAN 優先Active 優先Standby
VLAN 10 L3SW-1 L3SW-2
VLAN 20 L3SW-2 L3SW-1
VLAN 30 L3SW-1 L3SW-2

4.STPのRoot Bridgeと合わせる

L2ネットワークでSTPを使用している場合、 FHRPのActive機器とSTPのRoot Bridgeが別々になると、 不要な遠回り通信が発生することがあります。

基本的には、対象VLANのFHRP Active側とSTP Root側をそろえることを検討します。

5.Track対象を決める

  • 上位物理インターフェース
  • Port-Channel
  • 特定ルートの存在
  • 上位ルーターへの到達性
  • WAN側・インターネット側の到達性

単純なインターフェースDownだけで十分か、 IP SLA等を利用した到達性監視が必要かを設計します。

6.切り替え条件と切り戻し条件を分けて考える

「いつStandbyへ切り替えるか」と 「復旧後いつ元へ戻すか」は別の設計項目です。

7.タイマーを必要以上に短くしない

高速な切り替えは魅力的ですが、 一時的な輻輳やCPU高負荷で不要なフェイルオーバーが発生すると、 かえって可用性を下げる可能性があります。

8.FHRPだけで冗長化が完成したと思わない

デフォルトゲートウェイを冗長化しても、次が単一障害点なら通信は停止します。

  • アクセススイッチ
  • 上位スイッチ
  • 回線
  • ファイアウォール
  • 電源
  • ルーティング経路

FHRPはファーストホップの冗長化です。 ネットワーク全体のEnd-to-End可用性を保証する機能ではありません。

VRRP・HSRPの設定例

以下はCisco IOS系の考え方を理解するための簡易例です。 実際のコマンドは機種・OS・バージョンによって異なるため、 導入時は対象製品の公式ドキュメントを確認してください。

HSRPの簡易設定例

L3SW-1

interface Vlan10
 ip address 192.168.10.2 255.255.255.0
 standby version 2
 standby 10 ip 192.168.10.1
 standby 10 priority 110
 standby 10 preempt

L3SW-2

interface Vlan10
 ip address 192.168.10.3 255.255.255.0
 standby version 2
 standby 10 ip 192.168.10.1
 standby 10 priority 100
 standby 10 preempt

この構成では、L3SW-1のPriorityが110、 L3SW-2が100なので、通常時はL3SW-1を優先Activeとします。

HSRPでTrackを追加するイメージ

track 10 interface GigabitEthernet1/0/48 line-protocol

interface Vlan10
 standby 10 track 10 decrement 20

追跡対象がDownするとPriorityを20下げるため、 L3SW-1が110から90になれば、Priority 100のL3SW-2を優先させることができます。

VRRPの簡易設定イメージ

interface Vlan10
 ip address 192.168.10.2 255.255.255.0
 vrrp 10 ip 192.168.10.1
 vrrp 10 priority 110

VRRPも基本的な考え方は同じで、 実IP、仮想IP、グループ、Priorityなどを定義します。

実務では「コマンドを投入できる」だけでなく、 なぜPriorityが110なのか、なぜTrack値を20下げるのか を設計書で説明できることが重要です。

ゲートウェイ冗長化でよくある設計ミス

1.機器障害しか考えていない

Active機器は正常でも上位回線がDownしているケースがあります。 Track設計まで含めて検討します。

2.Preemptを理解せず設定する

復旧後の切り戻しによって、業務時間中に追加の通信断が起こる可能性があります。

3.STPとActiveが逆

L2経路とL3ゲートウェイの位置が合わず、 不要なスイッチ間通信が増えることがあります。

4.タイマーだけを短縮する

高速化だけを目的にタイマーを短くすると、 不安定なネットワークでは不要な切り替えが増える可能性があります。

5.切り替え試験をしていない

設定が入っているだけでは十分ではありません。 実際に障害を発生させ、通信断時間と役割変更を確認します。

6.監視設計がない

Active/Standby変更やPriority低下を監視しなければ、 冗長性を失ったまま運用を続ける可能性があります。

顧客・上司へゲートウェイ冗長化をどう説明するか

技術に詳しくない相手へ 「VRRPを使います」「HSRPを設定します」とだけ説明しても、 導入する理由は伝わりません。

説明例

「社内PCは別ネットワークへ通信するとき、最初にデフォルトゲートウェイを通ります。 この機器が1台だけだと、故障した時点で外部への通信が止まります。 そこで2台の機器を1つの仮想ゲートウェイとして動作させ、 片方に障害が発生した場合はもう片方へ自動的に切り替える構成にします。」

技術を業務影響へ変換する

技術的な説明 業務的な説明
FHRPを構成する ゲートウェイ機器1台の故障で業務通信全体が停止するリスクを減らす
Trackを設定する 機器自体が正常でも、上位回線障害時には利用可能な経路へ自動切り替えする
Preempt Delayを設定する 復旧直後の不安定な機器へ通信を戻して再障害になるリスクを減らす
STP RootとActiveを合わせる 不要な遠回り通信を避け、障害時の構成も分かりやすくする

VRRP・HSRPで使われる英語表現

英語 意味
First Hop Redundancy Protocolファーストホップ冗長化プロトコル
Virtual IP address仮想IPアドレス
Virtual MAC address仮想MACアドレス
Active Router現在転送を担当するルーター
Backup Router待機側ルーター
Standby RouterHSRPの待機側ルーター
Priority優先度
Preemption高優先度機器が役割を奪い返す動作
Failover障害時の切り替え
Object Trackingインターフェースや到達性などの状態追跡

障害調査で使える表現

The standby router became active after the primary gateway failed.
プライマリゲートウェイの障害後、待機ルーターがActiveになりました。

Please verify the HSRP priority and preemption settings.
HSRPのPriorityとPreempt設定を確認してください。

The gateway did not fail over when the upstream interface went down.
上位インターフェースがDownした際、ゲートウェイが切り替わりませんでした。

理解度チェック

問題1.FHRPの主な目的はどれですか。

  1. DNSを冗長化する
  2. 端末のデフォルトゲートウェイを冗長化する
  3. IPアドレスを自動配布する
  4. VLANを自動作成する
解答を見る
正解:B

FHRPは、複数のL3機器で仮想ゲートウェイを構成し、ファーストホップを冗長化します。

問題2.PCに設定するデフォルトゲートウェイとして基本的に使用するものはどれですか。

  1. Active機器の実IP
  2. Standby機器の実IP
  3. FHRPの仮想IP
  4. ブロードキャストアドレス
解答を見る
正解:C

端末は仮想IPを利用するため、Active機器が変わってもゲートウェイ設定を変更する必要がありません。

問題3.L3SW-1のLAN側は正常ですが、L3SW-1から上位ルーターへの回線がDownしました。何を検討すべきですか。

  1. Priorityを永久に255へ変更する
  2. Track機能で上位回線や到達性を監視する
  3. PCのIPアドレスを変更する
  4. VLANを削除する
解答を見る
正解:B

Active機器そのものが正常でも上位通信ができなければ、 TrackでPriorityを変更して別経路へ切り替える設計を検討します。

問題4.Preemptの役割を簡単に説明してください。

解答を見る

高いPriorityを持つ機器が復旧・参加した際に、 現在のActiveからActive役を引き継ぐ動作を制御する仕組みです。

問題5.FHRP ActiveとSTP Rootを合わせる理由として適切なものはどれですか。

  1. IPアドレスを節約するため
  2. 不要なL2の遠回り通信を減らすため
  3. DNS問い合わせを減らすため
  4. HSRPをVRRPへ変換するため
解答を見る
正解:B

L2の転送経路とL3ゲートウェイの位置を合わせることで、 不要なスイッチ間往復を避けやすくなります。

実践演習:ゲートウェイ冗長化を設計する

あなたは、企業LANのコアスイッチ更改を担当しています。

要件

  • コアL3スイッチは2台構成
  • VLAN 10:営業部
  • VLAN 20:技術部
  • ゲートウェイ障害時は自動切り替え
  • L3SW-1とL3SW-2の両方を通常時から利用したい
  • 上位回線障害時も通信可能な側へ切り替えたい

課題1.仮想IPを設計する

次のIPアドレス体系を使用します。

VLAN 10:192.168.10.0/24
VLAN 20:192.168.20.0/24

各VLANについて、仮想IP、L3SW-1実IP、L3SW-2実IPを決めてください。

VLAN 10
仮想IP:________
L3SW-1:________
L3SW-2:________

VLAN 20
仮想IP:________
L3SW-1:________
L3SW-2:________
解答例を見る
VLAN 10
仮想IP:192.168.10.1
L3SW-1:192.168.10.2
L3SW-2:192.168.10.3

VLAN 20
仮想IP:192.168.20.1
L3SW-1:192.168.20.2
L3SW-2:192.168.20.3

課題2.Activeを分散する

VLAN 10はL3SW-1、VLAN 20はL3SW-2を通常時のActiveにしたいとします。 Priorityを設計してください。

VLAN 10:L3SW-1 ___ / L3SW-2 ___
VLAN 20:L3SW-1 ___ / L3SW-2 ___
解答例を見る
VLAN 10
L3SW-1:110
L3SW-2:100

VLAN 20
L3SW-1:100
L3SW-2:110

値そのものより、どちらを優先するかが明確で、 運用ルールが統一されていることが重要です。

課題3.上位回線障害を考える

L3SW-1自体は正常ですが、 L3SW-1から上位ルーターへのインターフェースがDownしました。

VLAN 10の通信をL3SW-2へ切り替えるため、 どのような設計が必要でしょうか。

ここに自分の考えを書いてください。
解答例を見る

L3SW-1の上位インターフェースまたは上位経路の到達性をTrackし、 障害時にL3SW-1のPriorityを110から100未満へ低下させます。

たとえば20減算して90とすれば、 Priority 100のL3SW-2が優先される設計にできます。

課題4.試験項目を作る

このFHRP構成を本番導入する前に確認すべき試験項目を5つ以上考えてください。

1.__________________
2.__________________
3.__________________
4.__________________
5.__________________
解答例を見る
  • 正常時に想定した機器がActiveになっていること
  • Active機器停止時にStandbyへ切り替わること
  • 上位インターフェース障害時にTrackが動作すること
  • 切り替え中の通信断時間が要件内であること
  • 復旧時のPreempt動作が設計どおりであること
  • ARP/MAC学習が正常に更新されること
  • 各VLANで想定したActive機器が使用されること
  • 監視システムで状態変化を検知できること

自分の言葉で説明する課題

後輩エンジニアから 「L3スイッチを2台にするだけではダメなんですか?」 と質問されました。

1分程度で説明してください。

ゲートウェイ冗長化では、____________________________。
説明例を見る

L3スイッチを2台設置しただけでは、 PCに設定されたデフォルトゲートウェイのIPアドレスは自動では切り替わりません。

そこでVRRPやHSRPを使って2台で共通の仮想IPを持たせます。 PCはその仮想IPをゲートウェイとして使い、 通常時はActive側が転送し、障害時にはStandby側が役割を引き継ぎます。

さらに実務では、機器障害だけでなく上位回線障害も考慮して TrackやPriorityを設計する必要があります。

まとめ

  • VRRP・HSRPなどはデフォルトゲートウェイを冗長化するFHRP
  • 複数機器で共通の仮想IP・仮想MACを使用する
  • 端末は仮想IPをデフォルトゲートウェイとして利用する
  • VRRPはActive / Backup、HSRPはActive / Standbyで動作する
  • Priorityによって通常時に優先する機器を設計する
  • Preemptでは復旧後に高Priority側へ役割を戻すかを考える
  • 上位回線障害まで考える場合はTrack設計が重要
  • STPを使用する構成ではFHRP ActiveとSTP Rootの整合も確認する
  • タイマー短縮だけで可用性が高くなるわけではない
  • FHRPはファーストホップの冗長化であり、ネットワーク全体の冗長化とは別に考える

上級編で重要なのは「VRRPやHSRPを設定できること」ではなく、 どの障害を想定し、どの条件で切り替え、 どのタイミングで戻すのかを設計理由とともに説明できることです。

次の記事:QoSの基本

ゲートウェイの可用性を確保しても、 ネットワークが混雑したときに音声やWeb会議などの重要通信が 必要な品質で利用できるとは限りません。

次の記事では、通信を分類し、優先度や帯域を制御する QoS(Quality of Service)の基本を学びます。

ネットワーク上級編 24/全70記事

上級編では、要件定義・基本設計からBGP、FHRP、クラウド、 セキュリティ、自動化、設計レビュー・顧客提案までを順番に学びます。

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