この記事は、 「ネットワーク上級編|要件定義・設計・クラウド・自動化へ進む」 の第20回です。
第2章「基本設計」の最後として、 障害調査・セキュリティ監査・運用改善で必要になる ログをどのように収集・保存・管理するかを設計します。
ログ設計とは?Syslog・保存期間・ログレベル・時刻同期の決め方
「障害が起きたらログを確認する」というだけでは、 十分なログ設計とはいえません。 どの機器から何を収集するのか、どの重要度まで転送するのか、 何日保存するのか、障害時にどのように検索するのかまで決めておくことで、 初めてログが実務で使える情報になります。
ネットワーク障害が発生したとき、 「現在インターフェースがDownしている」ことは監視システムでも確認できます。
しかし、原因を調べるには いつDownしたのか、その直前に何が起きたのか、誰が設定を変更したのか といった履歴が必要です。
その履歴を後から追跡できるようにするのがログ設計です。
この記事を読み終えるとできること
- 監視設計とログ設計の違いを説明できる
- 収集すべきログの種類を整理できる
- Syslog Severityを設計に利用できる
- ログ保存期間を要件から決められる
- NTPによる時刻同期の重要性を説明できる
- ログサーバーを含む収集構成を設計できる
- ログ設計表を作成できる
- ログ設計の試験項目を作成できる
ログ設計とは何か
ログ設計とは、ネットワーク機器や関連システムから 「何のログを・どこへ・どの重要度で・どの期間保存するか」を決め、 障害調査・監査・セキュリティ分析で利用できる状態を作る設計です。
ルーターやスイッチ、ファイアウォールなどの機器では、 稼働中にさまざまなイベントが発生します。
- インターフェースがDownした
- OSPFやBGPのネイバーが切断した
- VRRPなどの冗長状態が変化した
- 管理者がログインした
- ログイン認証に失敗した
- コンフィグが変更された
- VPNトンネルが切断した
- ファイアウォールで通信が拒否された
- 電源・ファン・温度などに異常が発生した
こうした情報が機器本体にしか残っていないと、 再起動やログの上書きによって必要な情報を失う可能性があります。
そのため実務では、 複数機器のログを中央のログサーバーなどへ転送し、 後から時系列で検索できる構成を検討します。
ログは「障害が起きた後」に価値が決まります。
障害発生後に必要な情報が残っていなければ、 後から原因を調べることはできません。 何を残す必要があるのかを障害発生前に決めておくことが重要です。
監視設計とログ設計の違い
監視とログは関連していますが、目的は同じではありません。
| 項目 | 監視設計 | ログ設計 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 異常を検知する | 発生した事象を記録・追跡する |
| 確認すること | 今、正常か異常か | いつ・何が・なぜ起きたか |
| 代表的な情報 | 死活、CPU、メモリ、帯域、状態 | Syslog、認証、設定変更、通信履歴 |
| 主な用途 | 障害の早期発見 | 原因調査、監査、証跡 |
| 重要な設計項目 | 閾値、監視間隔、通知先 | 収集対象、Severity、保存期間、検索性 |
簡単に言えば、「監視は異常に気づく仕組み、ログは原因を調べるための記録」です。
例:回線障害が発生した場合
| 情報 | 分かること |
|---|---|
| Ping監視 | 12:03から対象ルーターへ到達できなくなった |
| インターフェース監視 | WANポートがDownになっている |
| Syslog | 12:02:58にインターフェースのリンクダウンが発生した |
| ルーティングログ | 直後にOSPFネイバーがDownした |
| 設定変更ログ | 障害直前に設定変更があったか確認できる |
このように、 監視情報とログを組み合わせることで障害の流れを時系列で再現できます。
ログ収集の全体構成
ログ設計では、まず 「どの機器から、どの経路を通って、どこへログを送るのか」を整理します。
CENTRALIZED LOGGING|ログを一か所へ集約する
ログ転送経路もネットワーク設計の一部
ログサーバーへ到達できなければログは転送できません。 そのため、次の項目も確認します。
- ログサーバーのIPアドレス
- 管理ネットワークからの到達性
- ログ送信時の送信元インターフェース
- 管理VRFを利用するか
- ファイアウォールで必要な通信が許可されているか
- ログ収集サーバーが複数ある場合の転送方式
- サーバー障害時にローカルログを保持できるか
本番通信が正常でも、管理ネットワークの経路に問題があると 「障害は発生しているのにログだけ届かない」という状態になることがあります。
どのログを収集するか
「全ログを保存する」と決めるのは簡単ですが、 ログ量・保存容量・検索負荷・運用コストが増えます。
反対に絞りすぎると、 障害発生時に必要な情報が残りません。
まず、ログを利用目的ごとに分類します。
機器・ハードウェア
- 再起動
- 電源異常
- ファン異常
- 温度異常
- モジュール異常
インターフェース
- Link Up / Down
- エラー状態
- 物理モジュール異常
- LAG状態変化
ルーティング
- OSPFネイバー変化
- BGPピア変化
- 経路プロセス異常
- 冗長状態の変化
管理・認証
- ログイン成功
- ログイン失敗
- 権限変更
- 管理アクセス
設定変更
- 設定変更実施
- 設定保存
- ユーザー情報
- 変更時刻
セキュリティ
- FW許可・拒否
- VPN接続
- 認証失敗
- セキュリティイベント
「原因調査に必要か」で考える
収集対象を決めるときは、 「このログが出るから保存する」のではなく、 どのような障害・インシデントを調査するために必要なのか を考えます。
| 調査したいこと | 必要なログ例 |
|---|---|
| 回線障害の原因 | インターフェースUp/Down、光・ハードウェア関連イベント |
| 経路切り替えの原因 | OSPF/BGP、VRRP・HSRP等の状態変化 |
| 設定ミスの有無 | 管理者ログイン、設定変更、設定保存 |
| 不正アクセス | ログイン失敗、管理アクセス、FW・VPNログ |
| VPN接続障害 | 認証、IKE/IPsec、トンネルUp/Down関連ログ |
Syslog Severityをどう決めるか
Syslogでは、メッセージの重要度をSeverityで表します。
| 値 | Severity | 概要 |
|---|---|---|
| 0 | Emergency | システムが使用できないレベル |
| 1 | Alert | 直ちに対応が必要な状態 |
| 2 | Critical | 重大な状態 |
| 3 | Error | エラー状態 |
| 4 | Warning | 警告状態 |
| 5 | Notice | 正常だが重要なイベント |
| 6 | Informational | 情報通知 |
| 7 | Debug | 詳細なデバッグ情報 |
重要度が高いログだけでは足りない
「Error以上だけ保存すればよい」と考えると、 調査に必要なイベントを失う可能性があります。
たとえば、管理者のログインや設定変更は、 必ずしもCriticalやErrorとして記録されるとは限りません。
Severityだけでなく「イベントの意味」で収集対象を考えます。
障害ログ、設定変更、認証、セキュリティイベントなど、 利用目的から必要な情報を選定することが重要です。
Debugを常時有効にしない
Debugログは詳細な情報を確認できる一方、 大量のメッセージが発生する場合があります。
そのため一般的には、 通常運用で常時取得するログと、 障害調査時に一時的に取得するDebugログを分けて考えます。
詳細ログを有効化する場合は、 機器負荷・ログ量・保存容量への影響を事前に確認します。
ログ設計では時刻同期が重要
複数機器のログを調査するとき、 時刻がずれているとイベントの順番を正しく判断できません。
例:実際の出来事
- 10:00:01 回線がDown WANルーターで物理リンクが切断します。
- 10:00:02 OSPFネイバーDown 隣接ルーターとのOSPFが切断します。
- 10:00:04 経路が切り替わる バックアップ経路へ通信が切り替わります。
- 10:00:10 監視システムが障害を検知 運用担当へアラートが通知されます。
この順番が分かれば、 「OSPF障害が原因ではなく、その前に発生した物理リンク障害が起点」 と判断できます。
しかし、機器ごとに時計が数分ずれていれば、 原因と結果を逆に判断する可能性があります。
TIME SYNCHRONIZATION|全機器の時刻を合わせる
時刻設計で決める項目
- 使用するNTPサーバー
- NTPサーバーの冗長化
- 各機器の参照先
- NTP通信の経路
- タイムゾーン
- ログ上の時刻表記
- NTP同期状態の監視方法
ログサーバーだけ時刻が合っていても不十分です。 ログを生成するネットワーク機器側も含めて時刻を統一します。
ログ保存期間をどう決めるか
ログ保存期間は、 「一般的には○日」と決めるのではなく、 何のためにそのログを利用するかから決めます。
障害調査
過去の障害との比較や、 問題発生前後の状態を確認するために使用します。
セキュリティ調査
不正アクセスやインシデント発生時に、 過去の通信・認証履歴を追跡します。
監査
誰がいつ管理アクセス・設定変更を行ったかを 証跡として確認します。
運用分析
同じ障害の再発状況や、 長期間にわたるイベント傾向を確認します。
保存期間を決める質問
- 障害発生から何日後まで調査する可能性があるか
- セキュリティ部門から保存期間の指定があるか
- 社内規程・顧客規程・監査要件があるか
- 機器ログと通信ログで保存期間を分けるか
- オンラインですぐ検索できる期間はどれだけ必要か
- 長期保管データを別ストレージへ移すか
- 保存容量・コストの上限はどの程度か
| ログ分類 | 保存方針の考え方 |
|---|---|
| 一般機器ログ | 障害調査で必要な期間を基準にする |
| 認証ログ | セキュリティ・監査要件も確認する |
| 設定変更ログ | 変更履歴を追跡できる期間を確保する |
| Firewall通信ログ | ログ量が多いため容量とのバランスを考える |
| Debugログ | 調査目的に応じて一時保存とする場合もある |
ログ容量を考える
保存期間だけ決めても、 ストレージ容量が足りなければログを保持できません。
基本的には次の流れで見積もります。
- 機器ごとのログ発生量を確認する 平常時だけでなく、障害時や高負荷時の増加も確認します。
- 対象機器数を確認する 現在だけでなく、将来追加される機器も考慮します。
- 保存期間を掛け合わせる 日次のログ量と保存期間から必要容量を見積もります。
- 余裕を確保する 障害時の急増、機器増設、索引情報などを考慮します。
- 長期保存方式を検討する 必要に応じて短期検索領域と長期保管領域を分けます。
容量見積もりの基本イメージ
特にファイアウォールの通信ログや詳細なセキュリティログは、 ネットワーク機器のイベントログより大幅に多くなる場合があります。 実測値や既存環境のログ量を確認して設計します。
ログのセキュリティを設計する
ログには、ネットワーク構成・IPアドレス・利用者情報・通信履歴など、 運用上重要な情報が含まれる場合があります。
そのため、ログは「集めれば終わり」ではありません。
確認する項目
- 誰がログを閲覧できるか
- 誰がログを削除できるか
- 管理者権限をどこまで与えるか
- ログサーバーへの管理アクセス経路
- ログデータのバックアップ
- ログの改ざん・削除対策
- 機密情報をログへ記録してよいか
- ログ転送経路を保護する必要があるか
ログそのものがセキュリティ上の重要データです。
「不正アクセスの証拠を保存するサーバー」に誰でもアクセスできてしまえば、 証跡としての信頼性が低下します。
特に設定変更ログを重視する
ネットワーク障害では、 機器故障ではなく設定変更が原因になる場合もあります。
そのため可能であれば、 次の情報を追跡できる状態を目指します。
- 誰がログインしたか
- いつログインしたか
- どの機器へアクセスしたか
- 設定変更が行われたか
- 変更前後の設定を確認できるか
ログだけでなく、 AAAや設定バックアップ・Gitなどの設定管理と組み合わせると、 より追跡しやすくなります。
ログサーバー障害時も設計する
ログサーバー自体が停止する可能性も考えなければなりません。
たとえば、ネットワーク障害と同時にログサーバーへの経路も切断すると、 最も必要な障害発生中のログを失う可能性があります。
確認しておきたいポイント
ローカル保持
転送できない間、ネットワーク機器本体へ どの程度ログを残せるか確認します。
サーバー冗長化
必要に応じて複数のログ収集先や 冗長構成を検討します。
収集停止監視
「ログが来なくなった」こと自体を 検知できる仕組みを検討します。
ログサーバーは障害調査のための基盤です。
本番ネットワークと同様に、 「停止したら何が困るのか」を考えて必要な可用性を決めます。
ログ設計書には何を残すのか
ログ設計では、 後から別の担当者が見ても設定・試験・運用へ落とし込める形で パラメータを整理します。
ログ設計表の例
| 項目 | 設計例 |
|---|---|
| 対象機器 | Router / Switch / Firewall |
| ログ種別 | System / Interface / Routing / Authentication / Configuration |
| 収集レベル | 通常運用で必要なSeverityまで |
| 転送先 | LOG-SRV01、必要に応じてLOG-SRV02 |
| 送信元 | Loopbackまたは管理インターフェース |
| 経路 | 管理ネットワーク経由 |
| 時刻同期 | 指定NTPサーバーを参照 |
| 保存期間 | ログ種別・監査要件ごとに定義 |
| 利用目的 | 障害調査/監査/セキュリティ調査 |
| 閲覧権限 | 運用担当・セキュリティ担当など |
機器単位だけでなくログ用途を残す
設計書へ単に 「Syslogサーバー:192.0.2.10」 とだけ記載しても、 その設計理由は分かりません。
次のように目的まで関連付けると、 レビューや運用引き継ぎがしやすくなります。
| ログ | 目的 | 設計への反映 |
|---|---|---|
| Interface Up/Down | 回線・物理障害調査 | 全主要機器から中央収集 |
| Routing Neighbor | 経路障害調査 | ルーター・L3SWから収集 |
| Authentication | 不正アクセス・監査 | 長期保存対象として検討 |
| Configuration Change | 変更起因障害の確認 | 管理者情報と時刻を追跡 |
ログ設計では試験まで考える
設計したログが実際に取得できるかは、 構築後の試験で確認します。
代表的な試験項目
| 試験 | 確認内容 |
|---|---|
| ログ転送試験 | 対象機器のログが中央サーバーへ届く |
| Link Down試験 | インターフェースDownログを確認できる |
| 認証失敗試験 | 管理ログイン失敗が記録される |
| 設定変更試験 | 変更イベント・実施時刻を確認できる |
| 時刻同期試験 | 機器・ログサーバーの時刻が同期している |
| 検索試験 | ホスト名・時刻・メッセージ等で検索できる |
| 障害時試験 | ログサーバー停止時の機器側動作を確認する |
「ログ設定を入れた」ではなく「必要なログを後から取得・検索できる」ことを確認します。
ログ設計でよくある失敗
ログ量が増え、ストレージや検索基盤へ大きな負荷がかかります。 利用目的から必要なログを整理します。
認証・設定変更・状態変化など、 原因調査に必要なイベントを取得できない可能性があります。
「とりあえず30日」ではなく、 障害調査・監査・セキュリティ要件から必要期間を決めます。
複数機器の時刻がずれると、 障害の発生順序を正しく追跡できなくなります。
Syslog設定が正しくても、 ルーティングやファイアウォールで通信できなければログは届きません。
大量のログを保存していても、 機器名・時刻・イベントなどで検索できなければ障害対応に時間がかかります。
障害、変更、認証、セキュリティなどの利用目的を先に決め、 必要なログ・保存期間・閲覧権限へ落とし込みます。
顧客・上司へログ設計をどう説明するか
技術に詳しくない相手へ 「Syslog SeverityをInformationalまで取得します」 と説明しても、必要性は伝わりにくいでしょう。
ログ設計は、 障害対応時間・セキュリティ・監査リスク へ変換して説明します。
説明例
「監視システムでは障害が起きたことは分かりますが、 その原因まで分かるとは限りません。 各ネットワーク機器のログを一か所へ集めておくことで、 障害発生直前の状態変化や設定変更を時系列で確認できます。 これにより、原因調査や再発防止を行いやすくします。」
技術を業務影響へ変換する
| 技術的な設計 | 業務的な意味 |
|---|---|
| ログを中央収集する | 複数機器を横断して原因を調査しやすくする |
| NTPで時刻同期する | 障害の発生順序を正確に追跡できるようにする |
| 設定変更ログを保存する | 人的変更が障害原因か判断できるようにする |
| 認証ログを保存する | 不正アクセスや管理操作を追跡できるようにする |
| 保存期間を定義する | 必要な期間の調査・監査に対応できるようにする |
ログ設計で使われる英語表現
よく使われる単語
| 英語 | 意味 |
|---|---|
| Logging | ログ記録 |
| Centralized logging | ログの集中管理 |
| Log forwarding | ログ転送 |
| Log collector | ログ収集サーバー |
| Severity | 重要度 |
| Timestamp | 時刻情報 |
| Time synchronization | 時刻同期 |
| Log retention | ログ保存 |
| Retention period | 保存期間 |
| Audit trail | 監査証跡 |
| Log rotation | ログローテーション |
| Source interface | 送信元インターフェース |
設計・ヒアリングで使える表現
How long should the logs be retained?
ログはどのくらいの期間保存する必要がありますか?
Which events must be retained for audit purposes?
監査目的で保存する必要があるイベントはどれですか?
Do we need centralized log collection?
ログを集中管理する必要がありますか?
Which time source should the network devices use?
ネットワーク機器はどの時刻源を使用しますか?
Which severity levels should be forwarded?
どのSeverityレベルまで転送しますか?
Who is allowed to access the log server?
誰がログサーバーへアクセスできますか?
理解度チェック
用語を覚えるだけでなく、 ログを「設計できるか」を確認しましょう。
問題1.監視設計とログ設計の違いとして最も適切なものはどれですか。
- 監視はCisco機器、ログはFirewallだけを対象とする
- 監視は異常検知、ログは発生した事象の記録・追跡を主目的とする
- 監視とログは完全に同じものである
- ログは障害対応では使用しない
解答を見る
監視は異常に気づくための仕組み、 ログは障害原因や操作履歴を追跡するための記録と考えると整理しやすくなります。
問題2.SyslogのSeverityでDebugに該当する値はどれですか。
- 0
- 3
- 5
- 7
解答を見る
Syslog Severityは0〜7で表され、 7がDebugです。
問題3.複数ネットワーク機器のログを時系列で調査するため、 特に重要な設計はどれですか。
- すべての機器で異なるタイムゾーンを使用する
- NTPなどを利用して時刻を同期する
- Debugログだけを取得する
- ログを機器本体だけに保存する
解答を見る
時刻がずれていると障害イベントの発生順序を正しく判断できないため、 ネットワーク機器とログ基盤の時刻を合わせます。
問題4.顧客から「ログは長めに保存してください」と言われました。 最初に確認すべき内容を2つ以上挙げてください。
解答例を見る
- 何の目的でログを利用するのか
- 具体的に何日・何年必要なのか
- 社内規程や監査上の要件があるか
- どの種類のログを長期保存するのか
- 必要容量・予算はどの程度か
問題5.「ログサーバーへSyslogを送信する設定」を行えば、 ログ設計は完了でしょうか。
解答を見る
収集対象、Severity、転送経路、時刻同期、保存期間、 容量、検索方法、アクセス権限、障害時動作、試験方法なども設計します。
実践演習:企業ネットワークのログ設計を作る
あなたは、次の企業ネットワーク更改案件で 基本設計を担当しています。
演習用ネットワーク
顧客要件
- ネットワークは24時間利用する
- 障害発生時に原因を追跡できるようにしたい
- 管理者のログイン・設定変更を確認できるようにしたい
- ファイアウォールのセキュリティログも保存したい
- 一般的なネットワーク機器ログは90日程度確認したい
- 認証・セキュリティ関連ログは1年間残したい
- ログサーバーが一時停止しても、すぐに必要ログを失わないようにしたい
課題1.収集するログを決める
FW01/FW02、CORE01/CORE02から 収集したいログをそれぞれ考えてください。
CORE:___________________________
課題1の解答例を見る
FW
- システム・ハードウェアログ
- インターフェースUp/Down
- 冗長状態変化
- 管理ログイン成功・失敗
- 設定変更
- Firewall許可・拒否ログ
- VPN関連ログ
CORE
- システム・ハードウェアログ
- インターフェースUp/Down
- LAG/STP関連状態変化
- ルーティングネイバー状態変化
- 冗長プロトコル状態変化
- 管理ログイン成功・失敗
- 設定変更
課題2.保存期間を設計する
次の表を完成させてください。
| ログ分類 | 保存期間 | 理由 |
|---|---|---|
| 一般機器ログ | ____ | __________ |
| 管理認証ログ | ____ | __________ |
| Firewallセキュリティログ | ____ | __________ |
課題2の解答例を見る
| ログ分類 | 保存期間 | 理由 |
|---|---|---|
| 一般機器ログ | 90日 | 顧客の障害調査要件 |
| 管理認証ログ | 1年 | 管理操作・監査履歴の確認 |
| Firewallセキュリティログ | 1年 | セキュリティ調査要件 |
課題3.時刻同期を設計する
なぜFW、CORE、LOG01を共通の時刻源へ同期させる必要がありますか。
課題3の解答例を見る
障害発生時にFW、CORE、ログサーバーのイベントを 時系列で突き合わせ、原因となったイベントと その後に発生した事象を正しく判断するためです。
課題4.ログサーバー障害時の対策を考える
LOG01が一時的に停止した場合に備えて、 どのような対策を検討しますか。
2.____________________________
3.____________________________
課題4の解答例を見る
- 機器側のローカルログバッファを確保する
- 必要に応じてログ収集サーバーを冗長化する
- ログの受信停止自体を監視する
- 管理ネットワーク・ログ転送経路も冗長化対象として検討する
課題5.簡易ログ設計表を完成させる
| 対象 | 収集ログ | 転送先 | 保存期間 | 時刻同期 |
|---|---|---|---|---|
| FW01/FW02 | ______ | ____ | ____ | ____ |
| CORE01/CORE02 | ______ | ____ | ____ | ____ |
課題5の解答例を見る
| 対象 | 収集ログ | 転送先 | 保存期間 | 時刻同期 |
|---|---|---|---|---|
| FW01/FW02 | System、Interface、HA、Authentication、Configuration、Security | LOG01 | 一般90日/認証・Security 1年 | 指定NTP |
| CORE01/CORE02 | System、Interface、Routing、Redundancy、Authentication、Configuration | LOG01 | 一般90日/認証1年 | 指定NTP |
自分の言葉で説明する課題
後輩エンジニアから次のように質問されました。
「SyslogサーバーのIPアドレスを機器に設定すれば、 ログ設計は終わりじゃないんですか?」
説明例を見る
ログ設計では、ログサーバーのアドレスだけではなく、 どの機器から何のログを収集するか、どの重要度まで取得するか、 どのくらい保存するか、時刻をどう合わせるか、 障害時にどう検索するかまで決めます。
Syslog設定はログ設計を実現するための一つの設定であり、 ログ設計そのものではありません。
まとめ
- ログ設計とは、何のログを・どこへ・どの重要度で・どの期間保存するかを決める設計
- 監視は異常を検知し、ログは原因や操作履歴を追跡するために利用する
- Interface、Routing、Authentication、Configuration、Securityなど目的別にログを整理する
- Syslog Severityは0〜7で表され、Severityだけでなくイベントの意味から収集対象を決める
- Debugログはログ量や機器負荷への影響を考慮して利用する
- 複数機器のイベントを時系列で比較するため、NTPなどによる時刻同期が重要
- 保存期間は障害調査・監査・セキュリティ要件から決める
- 保存期間だけでなく、日次ログ量・機器増加・障害時増加を含めて容量を設計する
- ログの閲覧・削除権限やログサーバーへの管理アクセスも設計する
- ログサーバーや管理経路が停止した場合の動作まで考える
- 構築後は転送・時刻・検索・認証・設定変更などを実際に発生させて試験する
良いログ設計とは「大量のログを残すこと」ではありません。 障害やインシデントが起きたときに、 必要な情報へすぐたどり着ける状態を作ることです。

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