この記事は、 「ネットワーク上級編|要件定義・設計・クラウド・自動化へ進む」 の第3回です。
第1章では、顧客の要望や現在の利用状況を整理し、 ネットワーク設計で判断できる具体的な条件へ変換する 要件定義を学びます。
利用者数・端末数・通信量の確認|ネットワーク要件定義で押さえるポイント
「社員は200人です」という情報だけでは、 ネットワークの規模を正しく設計できません。 PC、スマートフォン、IP電話、プリンター、IoT機器など、 実際に接続される端末数や同時利用者数、 さらに業務時間帯の通信量まで確認する必要があります。 この記事では、それらを要件として整理し、 ネットワーク設計へつなげる方法を解説します。
ネットワークの規模を決めるとき、 社員数だけを確認して終わってはいけません。
1人がPCとスマートフォンを使えば端末は2台です。 さらにIP電話、プリンター、会議室端末、監視カメラ、 IoT機器などもネットワークへ接続されます。
また、500台の端末が存在していても、 すべてが同じ時間に大量通信を行うとは限りません。 そのため、人数・台数・同時利用数・通信量を分けて確認する ことが重要です。
この記事を読み終えるとできること
- 利用者数と端末数を区別して確認できる
- 同時接続数が重要な理由を説明できる
- 平均通信量とピーク通信量を区別できる
- 利用アプリケーションから通信特性を整理できる
- 現在値と将来予測を分けて確認できる
- 収集した情報をネットワーク設計へつなげられる
なぜ利用者数・端末数・通信量を確認するのか
利用者数・端末数・通信量の確認とは、 ネットワークを「何人・何台が・いつ・何のために・どれだけ利用するか」を整理し、 設計に必要な規模と性能の前提条件を決める作業です。
ネットワーク機器や回線を設計するときには、 どれくらいの規模の利用を想定するのかが分からなければなりません。
たとえば、次の情報が分かっていない状態では、 適切な設計を行うことが難しくなります。
- 何人がネットワークを利用するのか
- 何台の端末が接続されるのか
- 有線端末と無線端末は何台あるのか
- 同時に接続する端末は何台なのか
- どのアプリケーションを利用するのか
- いつ通信量が最大になるのか
- 現在どの程度の通信量があるのか
- 数年後にどの程度増えるのか
「社員数300人」=「端末数300台」ではありません。
1人が複数端末を利用することもあれば、 人が直接操作しないプリンター・監視カメラ・IoT機器などもあります。
まず全体像を理解する
利用規模の確認では、いきなり帯域を決めるのではなく、 次の順番で情報を整理すると分かりやすくなります。
USERS・DEVICES・TRAFFIC|利用規模を設計条件へ変える
重要なのは、 人数から直接ネットワーク機器を選ばないことです。
人数から端末数、同時利用数、利用アプリケーション、 通信量へと具体化したうえで、 IPアドレス、スイッチポート、無線LAN、回線、 ファイアウォールなどの設計へ反映します。
利用者数を確認する
最初に確認するのが、 ネットワークを利用する人の数です。
ただし、単純に「社員数は何人ですか」と聞くだけでは不十分です。
確認したい利用者の分類
常時勤務者
日常的にオフィスや拠点でネットワークを利用する社員です。
一時利用者
来客、協力会社、派遣社員など、一時的に利用する人も確認します。
リモート利用者
VPNやリモートアクセスを使って社外から接続する利用者です。
拠点ごとに分ける
全社の人数だけではなく、 拠点・フロア・部署などの単位で確認します。
| 場所 | 現在 | 3年後想定 | 主な利用形態 |
|---|---|---|---|
| 東京本社 | 200人 | 260人 | 有線+無線LAN |
| 大阪支店 | 60人 | 80人 | 無線LAN中心 |
| 在宅勤務 | 80人 | 150人 | リモートアクセスVPN |
「現在何人か」だけでなく「将来何人になるか」も確認します。
人員増加、拠点統合、新規採用、フリーアドレス化などが予定されている場合、 現在値だけで設計すると早期に不足する可能性があります。
端末数を確認する
次に、実際にネットワークへ接続される 端末の種類と台数を確認します。
端末数は利用者数より多くなることがあります。
代表的な端末
| 端末種類 | 確認内容 | 設計への影響例 |
|---|---|---|
| PC | 有線・無線、固定席・フリーアドレス | ポート数、DHCP、無線LAN |
| スマートフォン・タブレット | 社給端末、BYOD、Wi-Fi利用 | 無線同時接続、認証 |
| IP電話 | 台数、給電方式、音声通信 | PoE、音声VLAN、QoS |
| プリンター・複合機 | 部署共用・フロア共用 | 固定IP、VLAN、ポート |
| 会議室端末 | Web会議機器、ディスプレイ等 | 通信量、無線・有線 |
| 監視カメラ | 台数、常時映像送信の有無 | PoE、通信量、収容スイッチ |
| IoT・センサー | 現在数、増加予定、通信方式 | IPアドレス、セグメント |
| ネットワーク機器 | スイッチ、AP、FW等 | 管理IPアドレス |
端末一覧の例
例:社員200人の本社
社員数が200人でも、 接続対象は合計500台を超えることがあります。
見落としやすいのが「人が操作しない端末」です。
監視カメラ、センサー、プリンター、アクセスポイント、 IP電話などもIPアドレスやスイッチポートを使用する可能性があります。
同時接続数を確認する
利用者数や端末総数だけでなく、 ピーク時に何人・何台が同時に利用するのか を確認します。
特に無線LAN、VPN、ファイアウォール、 インターネット接続などでは、 同時利用状況が重要になります。
総数と同時接続数は違う
| 情報 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 社員数 | 500人 | 組織に所属する人数 |
| VPN利用可能者 | 400人 | VPNを利用できる人数 |
| 通常の同時VPN利用者 | 100人 | 通常時間帯に同時接続する人数 |
| 最大想定 | 250人 | 災害・全社在宅等で想定する最大値 |
「利用可能者400人」という情報だけで設計するのではなく、 通常時と最大時の利用状況を整理します。
時間帯も確認する
- 始業直後
- 昼休み
- 全社会議
- 月末・締め処理
- バックアップ時間
- OSやソフトウェア更新時間
- 在宅勤務が集中する時間
ネットワークでは、 1日の平均より「最も混雑する時間」が設計上重要になる 場合があります。
通信量を確認する
次に、現在ネットワーク上で どれくらいのデータが流れているのかを確認します。
平均値とピーク値を分ける
| 指標 | 意味 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 平均通信量 | 一定期間の平均的な通信量 | 通常時の利用状況を把握する |
| ピーク通信量 | 最も通信が集中したときの値 | 混雑や容量不足の判断材料にする |
たとえば1Gbpsの回線で、 1日平均が100Mbpsだったとしても、 業務開始直後に900Mbps近くまで上昇するのであれば、 「平均100Mbpsだから余裕がある」とは判断できません。
平均値だけを見て性能要件を決めないことが重要です。
ネットワークは時間帯によって利用状況が大きく変化するため、 ピーク時間とその継続時間も確認します。
通信量はどこで確認するのか
既存環境がある場合は、 ヒアリングだけではなく実測データも利用します。
インターフェース統計
ルーターやスイッチのポートで、 送受信量やエラーなどを確認します。
監視システム
SNMPやテレメトリー等で蓄積している 長期間のトラフィック推移を確認します。
フロー情報
NetFlow、IPFIX、sFlow等が利用できる場合、 通信元・宛先や通信量の傾向を確認できます。
FW・クラウド等のログ
インターネットやクラウドとの通信状況を ログや管理画面から確認できる場合があります。
ヒアリング結果と実測値の両方を使うのが理想です。
「最近遅い」という利用者の体感と、 実際の通信量・時間帯を照らし合わせることで、 より客観的に現状を整理できます。
アプリケーションごとの通信特性を確認する
同じ100人でも、 メール中心の環境と、 Web会議や大容量ファイル転送を多用する環境では、 ネットワークへの負荷が異なります。
そのため、利用者数とともに 何のアプリケーションを使うのかを確認します。
| 利用例 | 確認するポイント |
|---|---|
| Web・メール | 利用者数、クラウドサービス利用状況 |
| Web会議・音声 | 同時会議数、音声・映像利用、品質要求 |
| ファイルサーバー | ファイル容量、利用集中時間、拠点間通信 |
| クラウド業務システム | 全社利用か、一部部署利用か |
| バックアップ | 転送容量、実施時間、通常通信との重複 |
| 監視カメラ | 台数、解像度、常時送信か |
| ソフトウェア配布 | 対象台数、一斉配布の有無 |
通信の方向も確認する
通信量だけでなく、 どこからどこへ通信するのかも重要です。
- 利用者端末 → インターネット
- 利用者端末 → 社内サーバー
- 拠点 → 本社
- 拠点 → クラウド
- クラウド → インターネット
- バックアップサーバー → データセンター
会社全体では通信量に余裕があっても、 特定のWAN回線や特定のアップリンクだけに 通信が集中している場合があります。
将来の増加を確認する
要件定義では、 現在の利用状況だけで設計しないことも重要です。
ネットワーク機器は導入後数年間利用されることが多いため、 プロジェクトで想定する利用期間に応じて、 将来の増加計画を確認します。
将来増加しやすい項目
👥 利用者
採用、組織拡大、M&Aなどによる増員。
💻 端末
BYOD、IoT、監視カメラ、会議室端末などの追加。
🏢 拠点
新店舗、新工場、新支店などの増加。
☁️ クラウド
SaaS利用やクラウド移行によるインターネット通信増加。
🎥 通信量
Web会議や動画利用、大容量データ転送の増加。
🔐 リモート接続
テレワーク拡大によるVPN・リモートアクセス増加。
現在値と将来値を分けて記録する
| 項目 | 現在 | 3年後想定 |
|---|---|---|
| 利用者 | 300人 | 400人 |
| 端末 | 650台 | 900台 |
| 無線同時接続 | 180台 | 300台 |
| 拠点 | 5拠点 | 8拠点 |
| インターネットピーク | 450Mbps | 増加見込みあり・要精査 |
将来値がまだ決まっていない場合は、 無理に数字を作らず 「未決事項」として管理することも要件定義の仕事です。
確認結果をネットワーク設計へつなげる
利用者数や端末数を調査する目的は、 一覧表を作ることではありません。
最終的には、 ネットワーク設計の判断材料へ変換する必要があります。
| 確認した情報 | 設計で検討する内容 |
|---|---|
| 利用者数 | 利用規模、認証、アクセス方式 |
| 端末数 | IPアドレス数、DHCP、収容能力 |
| 有線端末数 | スイッチポート数、スイッチ台数 |
| PoE端末数 | PoE対応ポート、電源容量 |
| 無線端末・同時接続数 | 無線LAN設計、AP配置・収容 |
| VPN同時利用者 | リモートアクセス設計、装置能力 |
| 平均・ピーク通信量 | 回線・アップリンク等の性能設計 |
| 利用アプリケーション | 通信経路、品質、制御方式 |
| 将来増加 | IP・ポート・機器・帯域等の拡張余地 |
例:端末数からIPアドレス設計へ
あるVLANに現在150台、 将来200台程度の端末が接続される見込みであれば、 現在台数だけでアドレス範囲を決めるのではなく、 将来増加やネットワーク機器なども含めて検討します。
例:有線端末数からスイッチ設計へ
PCだけでなく、 IP電話、プリンター、アクセスポイント、 監視カメラなどの有線接続も含めて必要ポート数を整理します。
例:通信量から性能要件へ
現在の平均・ピーク通信量や、 将来の利用アプリケーション増加を整理した情報は、 第5回の 「性能・帯域要件の整理」 で具体的な性能条件へ落とし込みます。
「端末が500台だからこの機器」 「通信量が○Mbpsだからこの回線」 と単純に決めるわけではありません。
可用性、通信パターン、セキュリティ、 機器仕様、運用方法、予算など他の要件も含めて 最終的な設計を決定します。
実務で使えるヒアリング項目
顧客ヒアリングでは、 「何人ですか」「何台ですか」だけで終わらせず、 次のように質問を分解します。
利用者について
- 現在の利用者数は何人ですか
- 拠点・フロアごとの利用者数は何人ですか
- 最大在席者数は何人ですか
- 来客・協力会社の利用はありますか
- リモート接続を利用する人数は何人ですか
- 今後3〜5年間で利用者が増える予定はありますか
端末について
- PCは何台ありますか
- 有線接続と無線接続はそれぞれ何台ですか
- スマートフォン・タブレットは何台ありますか
- IP電話は利用しますか
- プリンター・複合機は何台ありますか
- 監視カメラやIoT端末はありますか
- BYOD端末はネットワークへ接続しますか
- 1人が複数端末を同時利用しますか
同時利用について
- 通常時の同時利用者数はどの程度ですか
- 最大時は何人程度が同時利用しますか
- 無線LANの最大同時接続数はどの程度ですか
- VPNの最大同時接続数はどの程度ですか
- 全社会議や一斉処理など通信が集中するイベントはありますか
通信量について
- 現在の平均通信量はどの程度ですか
- ピーク時はどの程度ですか
- ピークになる時間帯はいつですか
- どの通信が多いですか
- クラウドサービスは利用していますか
- Web会議は何人程度が同時利用しますか
- 大容量ファイル転送やバックアップはありますか
- 将来通信量が増える予定はありますか
数値だけでなく、その数字の根拠も確認しましょう。
実測値なのか、利用者へのヒアリングなのか、 将来計画なのかによって情報の確度が異なります。
要件定義書への記載例
確認結果は、 後から設計者が判断できる形で残します。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 利用者数 | 東京本社200人、大阪支店60人。3年後はそれぞれ260人、80人を想定する。 |
| 端末数 | 東京本社はPC220台、スマートフォン180台、その他100台を想定する。 |
| 無線利用 | 東京本社では通常150台、最大250台程度の無線端末同時接続を想定する。 |
| リモート利用 | 通常100人、最大250人の同時リモート接続を想定する。 |
| 通信量 | 現行インターネット回線のピーク利用状況を監視データから確認し、性能要件の前提とする。 |
| 将来増加 | 3年間の利用者・端末増加を考慮してネットワークを設計する。 |
確認方法・根拠も残す
| 項目 | 値 | 根拠 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 現在利用者 | 200人 | 人事部確認 | 確定 |
| 3年後利用者 | 260人 | 事業計画 | 想定 |
| 無線最大同時接続 | 250台 | 現行実績+増加見込み | 要確認 |
| ピーク通信量 | 確認中 | 監視システム調査 | 未決 |
このように 確定値・想定値・未決事項を区別すると、 後工程で認識違いが起きにくくなります。
利用者数・端末数・通信量の確認でよくある失敗
社員200人だから端末200台と考えると、 スマートフォン、IP電話、プリンター、 IoT機器などを見落とします。
端末が1000台存在していても、 同時に利用される台数や場所によって必要な設計は変わります。
平均値が低くても、 特定時間帯にピークが集中している場合があります。
人員増加やクラウド利用拡大が予定されている場合、 現在値だけでは短期間で容量不足になる可能性があります。
「端末500台」という数字が現行実績なのか、 最大想定なのか、将来予測なのか分からなければ、 設計条件として使いにくくなります。
利用者、端末、同時利用、通信内容、ピーク、 将来増加まで整理することで、 設計の根拠として使える情報になります。
顧客・上司へどう説明するか
顧客から 「なぜ端末数まで細かく確認する必要があるのですか」 と聞かれることがあります。
説明例
「ネットワークの規模を決めるためには、 社員数だけでなく、実際に接続されるPCやスマートフォン、 IP電話などの台数を確認する必要があります。 また、すべての端末が同時に同じ通信をするわけではないため、 同時接続数や通信が集中する時間帯も確認します。 これらを整理したうえで、 必要なスイッチポート数、無線LAN、IPアドレス、 回線や機器性能などを設計します。」
技術項目を業務へ置き換える
| 技術的な確認 | 業務的な意味 |
|---|---|
| 利用者数 | 何人の業務をネットワークが支えるのか |
| 同時接続数 | 最も利用が集中するときに何人が業務を行うのか |
| 端末数 | 業務で利用する機器を何台収容する必要があるのか |
| ピーク通信量 | 繁忙時にも業務を滞りなく行えるか |
| 将来増加 | 事業拡大後も継続利用できるか |
上流工程では、 「技術の数字」を「業務上の意味」に変換して説明する力 が重要です。
利用者数・端末数・通信量の確認で使われる英語表現
よく使われる単語
| 英語 | 意味 |
|---|---|
| Number of users | 利用者数 |
| Number of devices | 端末数 |
| Concurrent users | 同時利用者 |
| Concurrent connections | 同時接続 |
| Network traffic | ネットワーク通信量 |
| Average traffic | 平均通信量 |
| Peak traffic | ピーク通信量 |
| Traffic pattern | 通信パターン |
| Expected growth | 想定される増加 |
| Capacity | 収容能力・容量 |
ヒアリングで使える表現
How many users will use the network?
何人の利用者がネットワークを利用しますか?
How many devices will connect to the network?
何台の端末がネットワークへ接続しますか?
How many concurrent users are expected during peak hours?
ピーク時間帯には何人程度の同時利用を想定していますか?
What applications generate the most network traffic?
どのアプリケーションが最も多くのネットワーク通信を発生させますか?
What is the expected growth over the next three years?
今後3年間でどの程度の増加を想定していますか?
When does network traffic typically peak?
通常、ネットワーク通信量が最大になるのはいつですか?
理解度チェック
単純な用語暗記ではなく、 利用規模を要件として整理できるか確認しましょう。
問題1.社員数が300人の場合、 ネットワークへ接続する端末数も300台と考えてよいでしょうか。
解答を見る
1人がPC、スマートフォン、IP電話など複数端末を利用する可能性があります。 また、プリンター、監視カメラ、IoT機器など、 人数に含まれない端末もあります。
問題2.通信量を確認するとき、 1日の平均値だけ確認すれば十分でしょうか。
解答を見る
平均通信量だけでなく、 ピーク通信量、ピークになる時間帯、 その状態がどの程度継続するかも確認します。
問題3.次のうち、 将来のネットワーク規模を考えるために確認すべき項目をすべて選んでください。
- 利用者数の増加
- 端末数の増加
- 新規拠点の予定
- クラウド利用の増加
解答を見る
いずれも将来のIPアドレス、 ポート、無線LAN、WAN・インターネット通信などへ影響する可能性があります。
問題4.VPNを利用できる社員が500人いる場合、 VPN装置の検討で追加確認すべき重要な情報は何でしょうか。
解答を見る
通常時・最大時の同時接続数などを確認します。
利用可能者数と実際の同時利用者数は異なるためです。
問題5. 「将来、利用者が増える予定です」という回答を受けました。 次に確認すべきことは何でしょうか。
解答を見る
いつまでに、どの拠点で、何人程度増える予定なのか を確認します。
可能なものは数値と時期へ具体化し、 不明な場合は未決事項として管理します。
実践演習:オフィス移転案件の利用規模を整理する
あなたは、新オフィスのネットワーク更改を担当する ネットワークエンジニアです。
顧客から次の情報を受け取りました。
顧客からの情報
- 現在の社員数は300人
- 3年後には400人程度まで増える予定
- 社員には1人1台のノートPCを配布
- 約250人が社給スマートフォンを利用
- オフィスでは無線LANを中心に利用する
- 会議室は20室あり、各室にWeb会議端末を配置する
- 複合機は10台
- IP電話は100台
- 監視カメラは30台
- 在宅勤務者はVPNを利用する
- Web会議の利用が増えている
- 現在のインターネット通信量は「かなり多い」と聞いている
課題1.現在分かっている端末数を整理する
少なくとも何台の端末が存在するか整理してください。
スマートフォン:__台
Web会議端末:__台
複合機:__台
IP電話:__台
監視カメラ:__台
合計:__台
課題1の解答を見る
- PC:300台
- スマートフォン:250台
- Web会議端末:20台
- 複合機:10台
- IP電話:100台
- 監視カメラ:30台
合計:710台
さらにネットワーク機器、 その他IoT機器などが存在する可能性があるため、 710台が最終的な総数とは限りません。
課題2.不足している情報を挙げる
ネットワーク設計を進めるため、 顧客へ追加確認したい項目を5つ以上挙げてください。
課題2の解答例を見る
- ピーク時の在席人数は何人か
- PCとスマートフォンは同時にWi-Fiへ接続するか
- VPNの通常時・最大時の同時接続人数は何人か
- 現在の平均・ピーク通信量は何Mbpsか
- ピークになる時間帯はいつか
- Web会議を同時利用する人数は何人か
- 将来スマートフォンの台数も増えるか
- 有線接続が必要な端末はどれか
- PoE給電が必要な端末はどれか
- 新しいクラウドサービスの導入予定はあるか
課題3.曖昧な情報を具体化する
顧客から 「インターネット通信量はかなり多い」 と説明されました。
この表現を要件として使える情報へ変えるために、 何を確認すべきでしょうか。
課題3の解答例を見る
- 現在の回線速度
- 平均通信量
- ピーク通信量
- ピーク時間帯
- ピークの継続時間
- 主な通信アプリケーション
- 通信量の増加傾向
- 現在、遅延や混雑が発生しているか
可能であれば監視データなどの実測情報も確認します。
課題4.設計への影響を考える
今回確認した利用者数・端末数・通信量は、 今後どのような設計項目に影響するでしょうか。
スイッチ設計:________
無線LAN設計:________
回線設計:________
VPN設計:________
課題4の解答例を見る
- IPアドレス設計: 現在および将来の端末を収容できるアドレス数を検討する
- スイッチ設計: 有線端末数やPoE端末数をもとにポート・電源容量を検討する
- 無線LAN設計: エリアごとの同時接続数や利用方法をもとに設計する
- 回線設計: 現在・将来の通信量や利用アプリケーションをもとに性能を検討する
- VPN設計: 通常時・最大時の同時利用者数をもとに検討する
自分の言葉で説明する課題
「社員数は分かっているのに、 なぜ端末数や同時接続数まで確認する必要があるのですか?」 と顧客から質問されました。
技術に詳しくない相手へ、 1分程度で説明してください。
説明例を見る
社員1人がPCとスマートフォンなど複数の端末を使うため、 社員数とネットワークへ接続する端末数は同じとは限りません。 また、ネットワークは利用が集中する時間帯でも問題なく使える必要があります。 そのため、端末の総数だけでなく、 最大で何台が同時利用するかや、 そのときどの程度通信するかを確認します。 その情報をもとに、必要なスイッチや無線LAN、 IPアドレス、回線などを設計します。
まとめ
- 利用者数・端末数・通信量は、 ネットワークの規模と性能を決める重要な要件
- 社員数と端末数は同じとは限らない
- PCだけでなく、スマートフォン、IP電話、プリンター、 監視カメラ、IoTなども確認する
- 総数だけでなく、ピーク時の同時利用者・同時接続数を確認する
- 通信量は平均値だけでなくピーク値と時間帯も確認する
- Web会議、クラウド、バックアップなど、 利用アプリケーションも確認する
- 現在値だけではなく、 3年後などプロジェクトで想定する将来増加も確認する
- 確認結果はIPアドレス、スイッチポート、 無線LAN、VPN、帯域などの設計条件へつなげる
- 数字には「実測」「確定」「想定」「未決」など 根拠や状態も残す
要件定義では「何人いるか」を聞くだけではなく、 「誰が・何台で・いつ・何を・どれだけ使うか」まで具体化することが重要です。
上級編では、要件定義から基本設計、 BGP・SD-WAN、クラウド、セキュリティ、 自動化、設計・提案まで順番に学びます。

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