この記事は、 「ネットワーク初級編|通信の仕組みをゼロから学ぶ」 の第7回です。
前回学んだIPアドレスの役割をもとに、今回はIPv4アドレスの数字をどのように読み取るのかを詳しく解説します。
IPv4アドレスの見方とは?4つの数字・32ビットの仕組みを初心者向けに図解
192.168.1.10のようなIPv4アドレスは、4つの数字を点で区切って表します。
この記事では、それぞれの数字が何を意味するのか、なぜ0〜255の範囲なのか、
2進数や32ビットとどのようにつながっているのかを、図を使って順番に解説します。
IPv4アドレスは、ネットワークの学習や現場の設定画面で何度も目にします。 しかし、数字の並びをそのまま暗記しているだけでは、設定が正しいか判断できません。
最初に押さえるべきポイントは、 IPv4アドレスは4つの数字ではなく、本来は32個の0と1でできているということです。
この記事を読み終えるとできること
- IPv4アドレスを4つのオクテットに分けられる
- 各オクテットが0〜255になる理由を説明できる
- 10進数と2進数の関係を大まかに理解できる
- 正しいIPv4アドレスと誤った表記を見分けられる
- IPアドレスだけではネットワーク部を確定できないと説明できる
- 設定画面のIPv4アドレスを落ち着いて読み取れる
IPv4アドレスの基本的な見方
IPv4アドレスは、0〜255の数字を4つ並べ、 それぞれをピリオドで区切って表します。
代表的なIPv4アドレスとして、次のような表記があります。
このIPv4アドレスは、次の4つに分けて読みます。
192.168.1.10を4つに分ける
ピリオドは、数字の小数点ではありません。 4つの区切りを分かりやすくするための記号です。
まずは「4つに分けて読む」ことが重要です。
192168110という1つの大きな数ではなく、
192、168、1、10という4つの値として扱います。
4つの数字はオクテットと呼ぶ
IPv4アドレスを区切った1つずつの部分を、オクテットと呼びます。
オクテットは、英語の「octet」に由来する言葉です。 「8個の集まり」という意味があり、IPv4アドレスでは 8ビットのまとまりを表します。
| 部分 | 呼び方 | ビット数 | 取り得る値 |
|---|---|---|---|
| 192 | 第1オクテット | 8ビット | 0〜255 |
| 168 | 第2オクテット | 8ビット | 0〜255 |
| 1 | 第3オクテット | 8ビット | 0〜255 |
| 10 | 第4オクテット | 8ビット | 0〜255 |
IPv4アドレス全体の大きさ
つまり、IPv4アドレスは全体で32ビットです。 人が読みやすいように、8ビットずつ区切り、10進数へ変換して表示しています。
なぜ各数字は0〜255なのか
IPv4アドレスの各オクテットは8ビットです。
1ビットには、0または1のどちらかが入ります。
8ビットの例
8ビットですべてが0の場合、10進数では0です。
すべてが1の場合、10進数では255になります。
| 2進数 | 10進数 | 意味 |
|---|---|---|
00000000 |
0 |
8ビットで表せる最小値 |
00000001 |
1 |
右端の1ビットだけが1 |
11111111 |
255 |
8ビットで表せる最大値 |
各オクテットの範囲は0〜255です。
256以上の数字は8ビットでは表せないため、
192.168.1.300のような表記はIPv4アドレスとして正しくありません。
「256種類」と「最大値255」は矛盾しない
0から255まで数えると、値の種類は256個あります。 最初の値として0を含むため、最大値は255です。
10進数と2進数の関係
私たちは普段、0〜9の10種類の数字を使う10進数で数を表します。 一方、コンピューターは0と1を使う2進数で情報を扱います。
10進数
人が普段使う数え方です。IPv4アドレスの画面表示では、
192や168のように表示されます。
2進数
0と1だけを使う表し方です。機器の内部では、 IPv4アドレスも32個の0と1として処理されます。
各ビットが表す値
8ビットの各位置には、左から順に次の値が割り当てられています。
8ビットの位の値
ビットが1になっている位置の値を足すと、10進数へ変換できます。
192を2進数へ置き換える
192 = 128 + 64
168を2進数へ置き換える
168 = 128 + 32 + 8
IPv4アドレスを見た瞬間に、すべてを2進数へ変換できる必要はありません。
初級段階では、1オクテットは8ビットであり、0〜255を表せると理解できれば十分です。 サブネットを学ぶときに、2進数の考え方をもう一度使います。
IPv4アドレスを実際に読み取る
ここでは、いくつかのIPv4アドレスを4つのオクテットに分けて読み取ります。
| IPv4アドレス | 第1 | 第2 | 第3 | 第4 |
|---|---|---|---|---|
192.168.1.10 |
192 | 168 | 1 | 10 |
10.0.0.5 |
10 | 0 | 0 | 5 |
172.16.20.100 |
172 | 16 | 20 | 100 |
8.8.8.8 |
8 | 8 | 8 | 8 |
0も正しい値として使える
10.0.0.5のように、途中のオクテットが0になることがあります。
0はIPv4アドレスで使用できる正しい値です。
ただし、アドレス全体の役割やサブネット内で使用できるかどうかは、 サブネットマスクや利用目的によって変わります。
1桁でも3桁でも1オクテット
1、10、192は桁数が違いますが、
すべて1つのオクテットです。
IPv4アドレスを読むときは、数字の桁数ではなく、 ピリオドで区切られた4つの部分に注目します。
ネットワーク部とホスト部はどこか
IPv4アドレスは、一般に次の2つの役割を持つ部分へ分けて考えます。
ネットワーク部
どのネットワークに所属しているかを表す部分です。 住所にたとえると、都道府県や市区町村に近い役割です。
ホスト部
そのネットワーク内のどの機器かを表す部分です。 住所にたとえると、番地や部屋番号に近い役割です。
ただし、192.168.1.10というIPv4アドレスだけを見ても、
どこまでがネットワーク部で、どこからがホスト部かは確定できません。
IPアドレスだけでは境界線が分からない
たとえば、次のようにサブネットマスクが付いていれば、境界を判断できます。
「最初の3つがネットワーク部、最後の1つがホスト部」と常に決まっているわけではありません。
境界はサブネットマスクによって変わります。 次の記事では、このサブネットマスクの役割を詳しく解説します。
よく見かける特別なIPv4アドレス
IPv4アドレスの中には、通常の端末の住所とは異なる目的で使われるものがあります。 初級段階では、次の代表例を知っておくと設定画面や障害調査で役立ちます。
| アドレス例 | 主な意味 | 初心者向けの覚え方 |
|---|---|---|
127.0.0.1 |
自分自身を表すループバックアドレス | 自分のPC自身への通信確認に使う |
0.0.0.0 |
未指定・すべてのアドレスなど、状況に応じた特別な意味 | 通常の端末へ割り当てる住所ではない |
255.255.255.255 |
同じネットワーク内へ広く届けるための特別なブロードキャスト | 特定の1台を表す通常の住所ではない |
特別なアドレスの細かな動作は、ARP、DHCP、ルーティングなどを学ぶと理解しやすくなります。 ここでは「0〜255なら、どの組み合わせでも端末へ自由に設定できるわけではない」と覚えてください。
正しい表記と誤った表記
IPv4アドレスとして正しく読めるかどうかは、まず次の3点で確認します。
- 数字が4つあるか
- 数字同士がピリオドで区切られているか
- 各数字が0〜255の範囲か
192.168.1.10
4つの数字で構成され、すべて0〜255の範囲です。
192.168.1.300
第4オクテットの300が255を超えています。
192.168.10
数字が3つしかなく、4オクテットになっていません。
192-168-1-10
ピリオドではなくハイフンで区切られています。
10.0.0.5
0を含んでいても、4つの値が範囲内なら形式として正しい表記です。
192.168..10
第3オクテットが空欄になっています。
表記形式が正しくても、そのネットワークで端末へ設定できるとは限りません。
ネットワークアドレス、ブロードキャストアドレス、重複アドレスなど、 サブネットや構成に応じて使用できない場合があります。
現場でIPv4アドレスを見るときの確認ポイント
現場では、IPv4アドレス単体ではなく、サブネットマスクやデフォルトゲートウェイと一緒に確認します。
確認する順番
- IPv4アドレスを4つのオクテットに分ける
- 各オクテットが0〜255に収まっているか確認する
- サブネットマスクを確認する
- デフォルトゲートウェイとの関係を確認する
- 同じアドレスを別の端末が使っていないか確認する
よくある設定ミス
数字の入力間違い
本来は192.168.1.10なのに、
192.168.10.10と入力しているケースです。
オクテットの位置違い
同じ数字が含まれていても、位置が変われば別のIPv4アドレスです。
アドレスの重複
2台の端末へ同じIPv4アドレスを設定すると、通信が不安定になることがあります。
サブネットマスクとの不一致
IPv4アドレスだけが正しくても、サブネットマスクが誤っていると通信範囲を正しく判断できません。
IPv4アドレスは「似ているか」ではなく、4つの値を左から順に比較します。
192.168.1.10と192.168.10.10は見た目が似ていますが、
第3オクテットが異なるため、別のIPv4アドレスです。
IPv4アドレスの見方でよくある勘違い
表示上は4つの10進数ですが、本来は32ビット、つまり32個の0と1で構成されています。
0も使用できる値です。各オクテットの形式上の範囲は0〜255です。
ネットワーク部とホスト部の境界は、サブネットマスクによって決まります。 常に最後のオクテットだけがホスト部とは限りません。
特別な用途のアドレスや、サブネット内で予約されるアドレスがあります。 また、同じネットワーク内での重複設定もできません。
クラスA・B・Cという分類は歴史的な理解には役立ちますが、 現在のネットワークではサブネットマスクやプレフィックス長を使って範囲を判断します。
どのネットワークに所属し、どこまでが通信範囲かを判断するには、 IPv4アドレスだけでなくサブネットマスクも必要です。
理解度チェック
記事の内容を確認するため、次の6問に答えてください。 解答を見る前に、一度自分で考えてみましょう。
問題1.IPv4アドレス全体は何ビットですか。
- 8ビット
- 16ビット
- 32ビット
- 64ビット
解答を見る
IPv4アドレスは、8ビットのオクテットが4つあるため、 8 × 4 = 32ビットです。
問題2.IPv4アドレスの1オクテットが取り得る範囲はどれですか。
- 0〜99
- 0〜255
- 1〜255
- 0〜256
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1オクテットは8ビットで、2の8乗にあたる256種類の値を表せます。 0から数えるため、最大値は255です。
問題3.次のうち、IPv4アドレスの表記として誤っているものはどれですか。
10.0.0.5172.16.10.20192.168.1.2568.8.8.8
解答を見る
第4オクテットの256は、0〜255の範囲を超えています。
問題4.10進数の192を2進数で表したものはどれですか。
10000000101010001100000011111111
解答を見る
左から128と64の位置が1なので、128 + 64 = 192です。
問題5.192.168.1.10だけを見て、ネットワーク部とホスト部の境界を確定できますか。
解答を見る
境界を判断するには、サブネットマスクまたはプレフィックス長が必要です。
問題6.次の文章の空欄を埋めてください。
IPv4アドレスは、8ビットのまとまりである( A )を4つ並べ、 ( B )で区切って表示します。
解答を見る
例として、192.168.1.10は4つのオクテットを3つのピリオドで区切っています。
実践演習:IPv4アドレスの設定値を確認しよう
あなたは、社内PCのネットワーク設定を確認しています。 次の設定値を読み取り、問題がないか考えてください。
課題1.PC-AのIPv4アドレスを4つに分ける
192.168.10.25を、第1〜第4オクテットに分けてください。
課題1の解答を見る
第1:192 / 第2:168 / 第3:10 / 第4:25
課題2.表記として誤っているPCを探す
IPv4アドレスの表記ルールに違反しているPCはどれですか。 理由も説明してください。
課題2の解答を見る
対象PC:PC-B
IPv4アドレスの第4オクテットが280になっています。 1オクテットの範囲は0〜255なので、表記として正しくありません。
課題3.入力位置が異なるPCを探す
PC-Aと同じネットワーク用の設定を入力する予定でしたが、 オクテットの位置を間違えた可能性があるPCはどれですか。
課題3の解答例を見る
対象PC:PC-C
PC-Aは192.168.10.25、PC-Cは192.168.1.25です。
第3オクテットが10ではなく1になっています。
サブネットマスクが255.255.255.0の場合、
PC-CのIPv4アドレスとデフォルトゲートウェイは異なるネットワークとして扱われるため、
正常に外部通信できない可能性があります。
課題4.10進数を2進数へ変換する
次の値を、8ビットの2進数で表してください。
- 10
- 25
- 255
25 = ______
255 = ______
課題4の解答を見る
- 10 = 00001010(8 + 2)
- 25 = 00011001(16 + 8 + 1)
- 255 = 11111111(すべてのビットが1)
自分の言葉で説明する課題
最後に、次の質問へ自分の言葉で答えてください。
「IPv4アドレスの192.168.1.10という数字は、どのようにできていますか?」と質問されました。 初心者にも分かるように30秒程度で説明してください。
説明例を見る
IPv4アドレスは、0〜255の数字を4つ並べ、ピリオドで区切って表示します。 1つの数字は8ビットのまとまりであるオクテットを表し、 4オクテットを合わせると32ビットです。 画面では10進数で見えますが、機器の内部では0と1の2進数として扱われています。
模範解答と同じ文章である必要はありません。
「4つのオクテット」「各オクテットは8ビット」「全体で32ビット」「0〜255」 のうち、3つ以上を含めて説明できれば、この記事の目標は達成です。
まとめ
- IPv4アドレスは、0〜255の数字を4つ並べ、ピリオドで区切って表示する
- ピリオドで区切られた1つの部分をオクテットと呼ぶ
- 1オクテットは8ビットで、IPv4アドレス全体は32ビット
- 各オクテットは0〜255の範囲であり、256以上は表記できない
- 機器の内部では、IPv4アドレスを0と1の2進数として扱う
- IPv4アドレスだけでは、ネットワーク部とホスト部の境界は確定できない
- 境界を判断するには、サブネットマスクまたはプレフィックス長が必要
- 表記形式が正しくても、すべてのアドレスを端末へ自由に設定できるわけではない
IPv4アドレスを読むときは、4つの数字を個別に確認し、 サブネットマスクとセットで考えることが重要です。

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