IPアドレスとは?初心者向けに役割・仕組み・確認方法を図解

ネットワーク初級編 06/全32記事

この記事は、 「ネットワーク初級編|通信の仕組みをゼロから学ぶ」 の第6回です。

第1章で学んだネットワークの全体像を踏まえ、今回から通信で使われる情報を一つずつ学びます。

IPアドレスとは?初心者向けに役割・仕組み・確認方法を図解

パソコンやスマートフォンが通信するときは、データをどの機器から、どの機器へ届けるのかを指定する必要があります。 そのために使われる代表的な情報がIPアドレスです。この記事では、IPアドレスの役割と全体像を、住所や荷物配送の例を使って解説します。

対象レベルLevel 1・初級
想定読了時間約18分
身につく成果IPアドレスの役割を説明できる
前提知識ネットワーク機器の役割
演習環境ブラウザ+端末

IPアドレスは、ネットワーク学習で最初につまずきやすい用語の一つです。 数字の並びを暗記しようとすると難しく感じますが、最初に理解すべきことは計算方法ではありません。

まずは、IPアドレスは「通信相手を識別し、データの届け先を指定するための情報」だと理解しましょう。 数字の詳しい読み方やネットワーク部・ホスト部は、次の記事以降で段階的に学びます。

この記事を読み終えるとできること

  • IPアドレスの役割を説明できる
  • 送信元IPアドレスと宛先IPアドレスを区別できる
  • プライベートIPとグローバルIPの違いを説明できる
  • 自分の端末のIPアドレスを確認できる

IPアドレスとは何か

最初に覚える定義

IPアドレスとは、ネットワーク上の機器を識別し、 データの送信元と宛先を示すために使われる番号です。

ネットワークには、パソコン、スマートフォン、プリンター、サーバー、ルーターなど、多くの機器が接続されています。 データを正しい相手へ届けるには、通信相手を区別するための情報が必要です。

たとえば、Webサイトを開くとき、パソコンはWebサーバーへデータを要求します。 この通信には、要求を送ったパソコンを示す情報と、要求を届けるWebサーバーを示す情報が含まれます。

IPアドレスを使った通信の基本イメージ

💻 パソコン 192.168.1.10
📡 ルーター 通信を中継
🗄️ Webサーバー 203.0.113.20
送信元IP:192.168.1.10 / 宛先IP:203.0.113.20

IPアドレスは、機器そのものの名前ではありません。

ネットワーク上で通信するために設定される論理的な識別情報です。 接続するネットワークや設定が変われば、同じ端末でもIPアドレスが変わることがあります。

IPアドレスを住所に置き換えて考える

IPアドレスは、よく「インターネット上の住所」と説明されます。 完全に同じ仕組みではありませんが、役割を理解するための例としては分かりやすい表現です。

荷物の配送ネットワーク通信
荷物を送る人データを送信する端末
差出人住所送信元IPアドレス
届け先住所宛先IPアドレス
配送センタールーター
配送経路ネットワークや通信回線
荷物送受信するデータ

住所が書かれていない荷物を正しい家へ届けられないように、宛先IPアドレスが分からなければ、ネットワークはデータの届け先を判断できません。

また、返事を送り返すには差出人の情報も必要です。 Webサーバーは、受け取った通信に含まれる送信元の情報をもとに、応答データを返します。

実際の通信では、IPアドレスだけでなくMACアドレス、ポート番号、ルーティングテーブルなども使われます。 この記事では、IPアドレスが「どの機器からどの機器へ届けるか」を示す役割に集中します。

送信元IPアドレスと宛先IPアドレス

IP通信で送られるデータには、基本的に送信元IPアドレスと宛先IPアドレスが含まれます。

送信元IPアドレス

そのデータを送った機器を示します。

例:192.168.1.10

宛先IPアドレス

そのデータを届けたい機器を示します。

例:203.0.113.20

要求と応答では役割が入れ替わる

  1. パソコンからWebサーバーへ要求を送る 送信元はパソコン、宛先はWebサーバーです。
  2. Webサーバーが要求を受け取る Webサーバーは、要求されたページのデータを準備します。
  3. Webサーバーからパソコンへ応答を返す 今度は送信元がWebサーバー、宛先がパソコンになります。

要求と応答でIPアドレスの役割が入れ替わる

要求:192.168.1.10 → 203.0.113.20
応答:203.0.113.20 → 192.168.1.10

なぜ機器ごとにIPアドレスが必要なのか

同じネットワークに複数の機器が接続されている場合、どの機器へデータを届けるのかを区別しなければなりません。

家庭内ネットワークのIPアドレス例

💻PC192.168.1.10
📱スマートフォン192.168.1.11
🖨️プリンター192.168.1.20
📡ルーター192.168.1.1

パソコンからプリンターへ印刷データを送る場合、宛先としてプリンターのIPアドレスを指定します。 ルーターの管理画面を開く場合は、ルーターのIPアドレスへアクセスします。

同じネットワーク内で同じIPアドレスを複数の機器へ設定すると、IPアドレスの重複が発生します。

どちらの機器へデータを届けるべきか判断できなくなり、通信が不安定になったり、通信できなくなったりします。

IPアドレスはネットワークごとに管理される

IPアドレスは、世界中のすべての端末に永久に固定された番号ではありません。 自宅、会社、ホテルなど、接続先のネットワークが変わると、端末へ割り当てられるIPアドレスも変わることがあります。

IPv4とIPv6

現在使われている代表的なIPアドレスには、IPv4とIPv6があります。

項目IPv4IPv6
表記例192.168.1.102001:db8::10
主な特徴現在も広く利用されている非常に多くのアドレスを使用できる
見た目10進数をピリオドで区切る16進数をコロンで区切る

IPv4

IPv4は、192.168.1.10のように、0から255までの数字を4つ並べて表します。 初級編では、まずIPv4を中心に学びます。

IPv6

IPv6は、2001:db8::10のように16進数とコロンを使って表します。 インターネットへ接続する機器の増加に対応するため、IPv4よりもはるかに多くのアドレスを扱えます。

今回は「IPアドレスにはIPv4とIPv6がある」と理解できれば十分です。 IPv4の各数字の意味は、次の記事「IPv4アドレスの見方」で詳しく解説します。

プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレス

IPアドレスは、利用される範囲によって、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスに分けて考えられます。

プライベートIPアドレス

自宅や会社など、内部ネットワークで使用するIPアドレスです。

例:192.168.1.10

グローバルIPアドレス

インターネット上で通信相手を識別するために使用するIPアドレスです。

例:203.0.113.20

自宅内のプライベートIPとインターネット側のグローバルIP

💻PC192.168.1.10
📡ルーター内側と外側を接続
☁️インターネットグローバルIPで通信
家庭内:プライベートIP / インターネット側:グローバルIP

自宅のパソコンに設定された192.168.x.xなどのIPアドレスは、通常、そのままインターネット上で利用されるわけではありません。 家庭用ルーターが内部と外部の通信を仲介します。

プライベートIPとグローバルIPを変換する仕組みとしてNATやNAPTがあります。 詳細は初級編第23回で学びます。

動的IPアドレスと固定IPアドレス

IPアドレスは、機器へ自動的に割り当てることも、手動で固定して設定することもできます。

方式特徴主な利用例
動的IPアドレスネットワークへ接続したときに自動で割り当てられるPC、スマートフォン、来客端末
固定IPアドレス管理者が決めた値を継続して使用するサーバー、プリンター、ネットワーク機器

動的IPアドレス

自宅のWi-Fiへスマートフォンを接続したとき、通常は利用者がIPアドレスを手入力しなくても通信できます。 DHCPという仕組みにより、必要な設定が自動的に割り当てられるためです。

固定IPアドレス

サーバーやプリンターのIPアドレスが頻繁に変わると、利用者や他の機器が接続先を見つけにくくなります。 そのため、一定のIPアドレスを使い続けたい機器には固定IPアドレスを設定することがあります。

固定IPアドレスは、空いている番号を自由に設定すればよいわけではありません。 ネットワークのアドレス設計やDHCPの割り当て範囲を確認し、重複しないように管理する必要があります。

自分の端末のIPアドレスを確認する方法

IPアドレスは、WindowsやmacOS、スマートフォンの設定画面から確認できます。 ここではWindowsの代表的な方法を紹介します。

Windowsで確認する

  1. コマンドプロンプトを開くスタートメニューで「cmd」または「コマンドプロンプト」と検索します。
  2. ipconfigを実行するipconfigと入力してEnterキーを押します。
  3. IPv4 Addressを確認する使用中のネットワークアダプターに表示されたIPv4アドレスを確認します。

ipconfigの表示例

Wireless LAN adapter Wi-Fi:

  IPv4 Address. . . . . . . . . . . : 192.168.1.10
  Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.0
  Default Gateway . . . . . . . . . : 192.168.1.1

今回注目するのはIPv4 Addressの行です。 サブネットマスクとデフォルトゲートウェイは、後の記事で詳しく学びます。

表示されたIPアドレスから分かること

  • 端末へIPアドレスが割り当てられているか
  • 想定したネットワークのアドレスになっているか
  • ほかの端末と重複していないかを調査する手掛かり
  • 障害切り分けで確認すべき設定の一つ

IPアドレスが原因で通信できない例

「LANケーブルは接続されている」「Wi-Fiにもつながっている」のに通信できない場合、IPアドレスの設定に問題がある可能性があります。

未設定
IPが割り当てられていない
重複
別端末と同じIP
設定誤り
想定外のIP
範囲違い
別ネットワークのIP

例1.IPアドレスが割り当てられていない

DHCPから正常に設定を受け取れない場合、端末へ期待したIPアドレスが設定されません。 Windowsでは、169.254.x.xのようなアドレスが自動設定されることがあります。

例2.IPアドレスが重複している

2台の端末に同じIPアドレスが設定されると、通信先を正しく特定できません。 片方だけ通信できる、通信が途切れる、警告が表示されるなどの問題が起こります。

例3.異なるネットワークのIPアドレスを設定している

周囲の端末が192.168.1.xを使用している環境で、自分だけ192.168.2.xになっている場合、設定内容によっては同じネットワーク内の機器と通信できません。

障害対応では、まず現在の設定値を事実として確認します。

「たぶん設定されている」と考えず、ipconfigなどで実際のIPアドレスを確認し、正常な端末や設計情報と比較します。

IPアドレスに関するよくある勘違い

IPアドレスは端末に永久に固定された番号

接続するネットワークや割り当て方式によって、同じ端末でもIPアドレスは変わることがあります。

IPアドレスがあれば必ず通信できる

サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS、ルーティング、セキュリティ設定などにも問題がないことが必要です。

自宅の192.168.x.xは世界で一つだけ

プライベートIPアドレスは、互いに直接つながっていない複数の内部ネットワークで繰り返し使用できます。

IPアドレスとMACアドレスは同じもの

どちらも通信で使われますが、役割と使われ方が異なります。MACアドレスは第10回で学びます。

IPアドレスは送信元と宛先を示す情報

IP通信では、データに送信元IPアドレスと宛先IPアドレスが含まれ、機器やルーターが通信を処理します。

理解度チェック

記事の内容を確認するため、次の5問に答えてください。

問題1.IPアドレスの主な役割として最も適切なものはどれですか。

  1. 機器の電源を管理する
  2. 通信する機器を識別し、送信元と宛先を示す
  3. LANケーブルの種類を決める
  4. データを暗号化する
解答を見る
正解:B

IPアドレスは、ネットワーク上の機器を識別し、データの送信元と宛先を示すために使われます。

問題2.パソコンからWebサーバーへ要求を送るとき、宛先IPアドレスとして使われるのはどちらですか。

  1. パソコンのIPアドレス
  2. WebサーバーのIPアドレス
解答を見る
正解:B

要求を届ける相手はWebサーバーなので、宛先にはWebサーバーのIPアドレスが入ります。

問題3.自宅や会社の内部ネットワークで主に使われるIPアドレスを何と呼びますか。

解答を見る
正解:プライベートIPアドレス

インターネット上で識別するために使われるものはグローバルIPアドレスです。

問題4.同じネットワーク内の2台に同じIPアドレスを設定しても問題ありませんか。

解答を見る
正解:問題があります。

IPアドレスが重複すると通信相手を正しく特定できず、通信不能や不安定な状態になる可能性があります。

問題5.次の文章の空欄を埋めてください。

データを送った機器を示す情報を「( A )IPアドレス」、届けたい機器を示す情報を「( B )IPアドレス」と呼びます。

解答を見る
A:送信元 B:宛先

実践演習:端末のIPアドレスを確認しよう

Windows端末を使える場合は、実際に設定されているIPアドレスを確認してみましょう。 端末が手元にない場合は、表示例を使って課題へ取り組めます。

課題1.ipconfigを実行する

  1. コマンドプロンプトを開く
  2. ipconfigを実行する
  3. 使用中の接続に表示されたIPv4 Addressを探す
確認したIPv4アドレス:____________

課題2.IPアドレスを分類する

次のアドレスのうち、内部ネットワークで使用されている例として最も自然なものを選んでください。

  1. 192.168.1.25
  2. 203.0.113.25
課題2の解答を見る
解答:A

192.168.1.25はプライベートIPアドレスとして使われる範囲の例です。203.0.113.25は説明・文書用に予約されたグローバル側の表記例として使用しています。

課題3.通信の送信元と宛先を書く

PC-A(192.168.1.10)からWebサーバー(203.0.113.20)へ要求を送るとき、送信元と宛先を書いてください。

送信元IP:______  宛先IP:______
課題3の解答を見る

送信元IP:192.168.1.10 宛先IP:203.0.113.20

課題4.設定ミスを見つける

同じネットワークに次の3台があります。問題点を答えてください。

PC-A:192.168.1.10
PC-B:192.168.1.11
Printer:192.168.1.10
問題点:____________________
課題4の解答を見る

PC-AとPrinterのIPアドレスが重複しています。

どちらか一方を、ネットワーク設計上使用可能な別のIPアドレスへ変更する必要があります。

自分の言葉で説明する課題

最後に、次の質問へ30秒程度で答えてください。

「IPアドレスとは何ですか?」とITを知らない人から質問されました。住所の例を使って説明してください。

IPアドレスとは、____________________________。
説明例を見る

IPアドレスとは、ネットワーク上の機器を区別し、データの届け先を指定するための番号です。荷物に差出人住所と届け先住所を書くように、ネットワーク通信にも送信元と宛先のIPアドレスが使われます。

「機器を識別する」「送信元と宛先を示す」「通信先を指定する」という要素を含めて説明できれば、この記事の目標は達成です。

まとめ

  • IPアドレスは、ネットワーク上の機器を識別し、送信元と宛先を示す番号
  • 要求と応答では、送信元IPアドレスと宛先IPアドレスの役割が入れ替わる
  • 同じネットワーク内でIPアドレスが重複すると、通信障害の原因になる
  • IPv4は192.168.1.10、IPv6は2001:db8::10のように表記する
  • 内部ネットワークではプライベートIP、インターネット側ではグローバルIPが使われる
  • 端末には自動でIPを割り当てる方法と、固定して設定する方法がある
  • Windowsではipconfigコマンドで現在のIPアドレスを確認できる

IPアドレスの数字を暗記する前に、「どこから、どこへデータを届けるための情報か」を理解することが重要です。

次の記事:IPv4アドレスの見方

今回は、IPアドレスが通信相手を識別し、送信元と宛先を示す情報であることを学びました。

次の記事では、192.168.1.10のようなIPv4アドレスが、なぜ4つの数字で表されるのか、各数字がどのような範囲を取るのかを解説します。

ネットワーク初級編 06/全32記事

初級編では、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、MACアドレス、ポート番号など、通信に必要な情報を順番に学びます。

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