現状構成を把握する方法|ネットワーク要件定義で確認すべき項目と進め方

ネットワーク上級編 02/全70記事

この記事は、 「ネットワーク上級編|要件定義・設計・クラウド・自動化へ進む」 の第2回です。

第1回で学んだ要件定義を進めるには、顧客の要望を聞く前提として、 現在どのようなネットワークが存在し、どのように使われているかを正確に把握する必要があります。

NETWORK ADVANCED|CHAPTER 1 REQUIREMENTS

現状構成を把握する方法|資料・実機・運用情報から現行ネットワークを整理する

「構成図をもらったので現状把握は完了」と考えるのは危険です。 実際の現場では、構成図が古い、機器が追加されている、設定変更が資料へ反映されていない、といったことがあります。 この記事では、設計の前提となるAs-Is(現状)を、事実ベースで整理する方法を解説します。

対象レベル Level 3〜4・上級
想定読了時間 約30分
身につく成果 現行ネットワークを調査・整理できる
前提知識 要件定義の基本・中級編修了相当
演習環境 ブラウザ・紙・Excel等

ネットワーク更改や拠点追加では、いきなり新しい構成を考えるのではなく、 現在の構成・設定・利用状況・運用方法・既知課題を把握するところから始めます。

現状把握が不十分だと、IPアドレス重複、既存経路との競合、想定外の通信断、監視漏れ、 切り替え時の見落としなど、後工程で大きな手戻りにつながります。

この記事を読み終えるとできること

  • 現状構成を把握する目的を説明できる
  • 最初に収集すべき資料を洗い出せる
  • 物理・論理・L2・L3の観点で確認できる
  • 資料と実機情報を突き合わせて差分を整理できる
  • 確認できない項目を未決事項として管理できる
  • 現状把握の結果を要件定義・基本設計へ引き継げる

現状構成を把握するとは何か

最初に覚える定義

現状構成の把握とは、現在稼働しているネットワークについて、 構成・機器・設定・接続・運用・課題を複数の情報源から確認し、 設計の前提として使える「事実」を整理する工程です。

現状把握は、単に「構成図を見る作業」ではありません。 構成図は重要な資料ですが、それだけでは現在のネットワークを正確に表しているとは限りません。

1

資料上の構成

構成図、機器一覧、パラメータシート、回線資料などに記載されている内容です。

2

実際の構成

現在稼働中の機器、接続、設定、経路、VLAN、インターフェース状態などです。

3

運用上の実態

日常の運用方法、例外運用、既知障害、暫定対応、担当者しか知らない制約などです。

現状把握のゴールは「資料を集めること」ではありません。

新しい設計を判断するために、何が事実で、何が未確認で、どこに課題があるかを説明できる状態にすることがゴールです。

なぜ現状構成の把握が重要なのか

1

設計の前提になる

既存のIPアドレス、VLAN、ルーティング、回線、接続先が分からなければ、新しい設計との整合性を判断できません。

2

移行リスクを見つけられる

既存機器への依存、単一障害点、特殊設定、古い回線などを事前に把握できます。

3

要件の背景が分かる

「遅い」「よく止まる」「運用が大変」といった顧客の要望が、現行構成のどこに起因しているか考えられます。

4

対象範囲を明確にできる

どの機器、回線、拠点、クラウド接続までが今回の更改対象かを具体的にできます。

5

試験・切り替え計画に使える

現在の通信経路と接続先が分かれば、切り替え前後に何を確認すべきか整理できます。

6

設計理由を説明できる

「現行のここが課題なので、新構成ではこう改善する」という現状と設計のつながりを示せます。

現状把握を飛ばして「理想的な新構成」だけを考えると危険です。

新しい構成単体では正しくても、既存環境との接続、アドレス重複、経路制御、監視、運用、切り替え条件まで考えると成立しないことがあります。

現状構成は3つの情報源から確認する

現状構成を正確に把握するには、1つの資料だけを信じず、 「資料」「実機」「人」の3方向から情報を確認します。

📄 資料

構成図、機器一覧、パラメータシート、回線資料、設計書、運用手順書

🌐 実機

機種、OS、インターフェース、VLAN、経路、設定、隣接機器、稼働状態

👥 人・運用

運用担当者、障害履歴、例外設定、暫定対応、変更ルール、保守体制

現状把握の基本イメージ

📄 既存資料 「こうなっているはず」
🌐 実機確認 「実際はどうか」
👥 運用ヒアリング 「なぜそうなっているか」
📋 As-Is整理 事実・差分・課題

3つを突き合わせることで、資料の古さや実運用上の例外を見つけやすくなります。

資料と実機が違うことは珍しくない

たとえば、構成図ではスイッチ間が1本接続に見えていても、実際にはLAG化されているかもしれません。 パラメータシートではVLAN 300が未使用でも、実機には設定されているかもしれません。

このとき大切なのは、どちらかを勝手に正しいと決めることではなく、 差分を記録し、理由と正しい状態を確認することです。

最初に収集する資料

実機へログインする前に、入手可能な既存資料を集めます。 先に全体像をつかんでおくと、実機確認で「何を見ればよいか」が分かりやすくなります。

資料 確認できる主な内容 注意点
物理構成図 機器配置、物理接続、回線、ポート接続、冗長リンク 実際の配線変更が反映されているか確認する
論理構成図 ネットワーク分割、L3接続、ルーティング、ゾーン、クラウド接続 物理構成と混同しない
機器一覧 ホスト名、機種、シリアル、OS、設置場所、保守期限 撤去済み・追加済み機器の反映状況を見る
パラメータシート IP、VLAN、インターフェース、ルーティング、NTP、SNMP等 実機設定との一致を確認する
IPアドレス管理表 セグメント、用途、使用済み・空きアドレス 管理表外で手動設定された端末がないか注意する
回線資料 キャリア、サービス、帯域、回線ID、終端場所、冗長有無 契約内容と実際の利用回線を突き合わせる
ファイアウォール・通信要件表 ゾーン、許可通信、NAT、VPN、外部接続 一時ルールや例外ルールを確認する
監視・運用資料 監視対象、通知先、バックアップ、変更管理、障害対応 実際の運用と手順書が一致しているか確認する
障害・変更履歴 既知課題、過去障害、暫定対応、変更頻度 設計上の課題や依存関係の発見につながる

中級編で扱った 「ネットワーク構成図の読み方」「物理構成図と論理構成図の違い」「パラメータシートの読み方」 を復習しておくと、現状把握を進めやすくなります。

現状把握で確認する9分類

案件によって確認範囲は変わりますが、現行ネットワークは次の9分類に分けると整理しやすくなります。

1.対象範囲・拠点・責任分界

  • 今回確認する拠点・フロア・データセンター
  • LAN、WAN、無線LAN、FW、クラウドの対象範囲
  • 顧客・自社・キャリア・他ベンダーの責任分界
  • 今回の更改対象と継続利用する設備

2.物理構成・機器

  • ルーター、L3/L2スイッチ、FW、AP、LB等の機器
  • メーカー、型番、OS・ファームウェア
  • 設置場所、ラック、電源系統
  • 物理ポート、接続先、リンク速度
  • LAG・EtherChannel等の束ね構成
  • 予備ポート・空きポート

3.L2構成

  • VLAN IDと用途
  • アクセスポート・トランクポート
  • 許可VLAN
  • STP/RSTP/MST等の方式
  • ルートブリッジ、ブロッキング箇所
  • 冗長リンクやリンクアグリゲーション

4.L3構成・IPアドレス

  • IPv4/IPv6アドレス
  • サブネット・セグメント用途
  • SVI・ルーテッドポート
  • デフォルトゲートウェイ
  • VRFの利用有無
  • アドレスの空き・重複・予約範囲

5.ルーティング・冗長化

  • スタティックルート、デフォルトルート
  • OSPF、BGP等の動的ルーティング
  • 経路再配信・フィルタリング
  • VRRP/HSRP等のゲートウェイ冗長化
  • 通常時・障害時の通信経路
  • 非対称経路が発生する可能性

6.WAN・インターネット・クラウド接続

  • 拠点間WAN、閉域網、インターネットVPN
  • 回線キャリア・帯域・回線ID
  • インターネット出口
  • クラウドVPN・専用線接続
  • リモートアクセスVPN
  • NAT/NAPTの位置と対象

7.セキュリティ・アクセス制御

  • ファイアウォールゾーンとポリシー
  • ACL・フィルタ
  • 管理ネットワーク
  • AAA・管理者認証
  • VPN・暗号化
  • 一時的な例外ルールや長期放置ルール

8.運用・監視・保守

  • 監視対象と監視方式
  • Syslog、SNMP、NTP
  • 設定バックアップ
  • 障害通知先とエスカレーション
  • 保守契約・EOS/EOL
  • 変更申請・構成管理のルール

9.既知課題・例外・依存関係

  • 過去に頻発している障害
  • 暫定設定・暫定配線
  • 特定機器や特定担当者への依存
  • 停止できない業務
  • 他システムとの依存関係
  • 資料と実機の不一致

現状把握では「正常な構成」だけでなく「例外」を探します。

設計・移行時に問題になりやすいのは、標準構成ではなく、過去の事情で追加された一時設定や担当者しか知らない運用です。

現状構成を把握する実務の順番

情報を無計画に集めると、確認漏れや重複が増えます。 次の順番で「大きな全体像 → 詳細設定 → 差分・課題」へ進むと整理しやすくなります。

  1. プロジェクトの対象範囲を確認する どの拠点・ネットワーク・機器が対象か、今回触らない範囲はどこかを確認します。
  2. 既存資料を収集する 物理・論理構成図、機器一覧、パラメータシート、IP管理表、回線・監視・障害資料を集めます。
  3. 物理構成と機器一覧を整理する 機器の役割、型番、設置場所、物理接続、回線終端、冗長リンクを確認します。
  4. L2構成を確認する VLAN、トランク、LAG、STPなどを確認し、同一L2ドメインの範囲を整理します。
  5. L3構成を確認する IPアドレス、SVI、ルーティング、デフォルトルート、VRF、ゲートウェイ冗長化を整理します。
  6. 外部接続を確認する WAN、インターネット、VPN、クラウド、NAT、ファイアウォールを確認します。
  7. 運用・監視・保守を確認する 監視対象、通知、ログ、バックアップ、変更手順、保守契約を確認します。
  8. 実機情報と資料を突き合わせる 構成図やパラメータシートと、現在の設定・接続状態が一致するか確認します。
  9. 差分・不明点・既知課題を一覧化する その場で判断せず、確認先・担当者・期限を付けて課題管理します。
  10. As-Is資料を更新して関係者と認識を合わせる 現状構成図、機器一覧、アドレス・VLAN一覧、課題一覧などを更新し、設計の前提として合意します。

現状把握から設計へつなぐ流れ

📚資料収集既存情報を集める
🔎実機確認現時点の事実を確認
⚖️差分確認資料との差を整理
📋As-Is確定現状を文書化
🧩要件・設計To-Beへつなぐ

実機から確認する情報とコマンド例

実機確認では、設定ファイルを最初から最後まで読むだけでなく、 「何を確認したいか」ごとに情報を取得します。

以下はCisco IOS系を想定した代表例です。実際のコマンドはメーカー・OS・機種によって異なるため、対象機器の公式ドキュメントに従ってください。

確認目的 確認内容 コマンド例
機器情報 機種、OS、稼働時間、シリアル show version / show inventory
ポート状態 up/down、速度、接続状況 show interfaces status
隣接機器 接続先機器・ポート show cdp neighbors detail / show lldp neighbors detail
VLAN VLAN ID、アクセスポート show vlan brief
トランク トランクポート、許可VLAN show interfaces trunk
STP ルート、ポート役割、ブロック show spanning-tree
LAG チャネル、メンバーポート show etherchannel summary
L3インターフェース IP、状態 show ip interface brief
ルーティング 経路、ネクストホップ、学習元 show ip route
動的ルーティング OSPF/BGP等の隣接状態 show ip ospf neighbor / show ip bgp summary
設定全体 インターフェース、ACL、NTP、SNMP等 show running-config

コマンド出力は「取得して終わり」にしない

たとえば、次のような出力を取得したとします。

Interface        Status    Vlan    Duplex   Speed
Gi1/0/1          connected 10      full     1000
Gi1/0/2          connected trunk   full     10000
Gi1/0/3          notconnect 20     auto     auto
Gi1/0/4          connected 999     full     1000

ここで「Gi1/0/4はVLAN 999」と記録するだけでは不十分です。 VLAN 999が資料にないなら、次の確認が必要です。

  • VLAN 999の用途は何か
  • 接続先機器は何か
  • 現在も利用されているか
  • 一時的な設定ではないか
  • 新構成でも継続する必要があるか

現状把握では、コマンド出力を「設計判断に必要な情報」へ変換します。

生のログやコンフィグを大量に保存するだけでなく、用途・接続先・継続要否・課題まで整理します。

資料と実機が違う場合の整理方法

実務では、資料と実機の差分が見つかることがあります。 差分を見つけたときは、勝手に修正したり、勝手に「実機が正しい」と判断したりせず、記録して確認します。

確認項目 資料 実機 状態 次のアクション
SW1 Gi1/0/24 未使用 FW-02へ接続 差分 接続用途と追加時期を確認
VLAN 100 管理用 管理用として稼働 一致 継続利用要否を確認
VLAN 999 記載なし 複数ポートで使用 要確認 用途・接続先・廃止可否を確認
Internet回線2 バックアップ回線 現在down 差分 故障・解約・待機状態を確認

差分は「課題」か「正当な変更」かを確認する

資料と実機が違うこと自体が、必ずしも問題とは限りません。 緊急障害対応で設定が追加され、資料更新だけが遅れている可能性もあります。

重要なのは、差分に対して次を確認することです。

  • いつ変更されたか
  • なぜ変更されたか
  • 誰が承認したか
  • 現在も必要か
  • 新構成へ引き継ぐ必要があるか
  • 資料のどこを更新すべきか

実機上で「不要そうな設定」を見つけても、現状把握の段階で削除してはいけません。 まず利用有無と影響範囲を確認し、必要であれば別途変更作業として計画します。

現状把握シートの作り方

調査結果は、構成図だけでなく表形式でも整理します。 「確認結果」「情報源」「不明点」「設計への影響」を並べると、後工程へ引き継ぎやすくなります。

分類 確認項目 現状 情報源 課題・未決事項 設計への影響
機器 コアSW 2台、冗長構成 構成図+実機 OSが保守期限に近い 更改対象として検討
VLAN VLAN 10 営業部、約120端末 パラメータ+実機 アドレス使用率が高い アドレス拡張を検討
回線 Internet-1 1Gbps、主回線 回線資料+運用 ピーク時70〜80% 性能要件で再評価
運用 設定バックアップ 月1回手動 運用担当ヒアリング 変更直後の取得なし 運用要件で改善検討

現状把握の完了チェック

  • 対象範囲と対象外を説明できる
  • 主要機器と接続関係を説明できる
  • 主要VLANとIPセグメントを説明できる
  • 通常時の通信経路を説明できる
  • 障害時の代替経路を説明できる
  • WAN・Internet・クラウド接続を説明できる
  • FW/NAT/VPNの位置を説明できる
  • 監視・ログ・バックアップ方法を説明できる
  • 資料と実機の差分を一覧化している
  • 未決事項に担当者と期限が付いている

現状構成の把握でよくある失敗

NG構成図だけを見て現状把握を終える

構成図が古い可能性があります。実機・運用情報と突き合わせて確認します。

NGrunning-configだけを読めば分かると考える

設定だけでは、実際の物理接続、契約回線、運用ルール、業務上の意味までは分かりません。

NG差分を見つけたらその場で修正する

現状把握と変更作業は分けます。差分の理由と影響を確認し、必要なら正式な変更として実施します。

NG技術情報だけを集める

運用担当、保守契約、変更手順、停止可能時間、既知障害なども設計・移行へ影響します。

NG分からない項目を推測で埋める

確認できない情報は「未確認」と明示し、確認先・担当者・期限を付けて管理します。

OK事実・差分・課題を分けて残す

「確認できた事実」「資料との差分」「まだ判断できない課題」を分けると、後工程で誤解が起きにくくなります。

顧客・上司へ現状把握をどう説明するか

顧客から「構成図は渡したので、すぐ設計に入れませんか?」と言われることがあります。 その場合、技術的な都合ではなく、手戻りや切り替えリスクを減らすためだと説明します。

説明例

「いただいた構成図を起点に確認しますが、現在の実機設定や接続状態と差がないかも確認します。 現状を正確に把握しておくことで、既存通信への影響や切り替え時の見落としを減らし、 新しい設計が既存環境と正しく接続できることを確認しやすくなります。」

技術情報を業務リスクへ変換して説明する

技術的な確認 業務・プロジェクト上の意味
IPアドレス体系を確認する 新規セグメントとの重複や移行時の通信不能を防ぐ
ルーティングを確認する 新構成を接続したときの経路競合や想定外迂回を防ぐ
冗長構成を確認する 切り替え時に単一障害点を作らないようにする
回線・帯域を確認する 業務ピーク時の性能不足や回線増速の必要性を判断する
監視・バックアップを確認する 新構成へ移行後も障害検知・復旧運用を継続できるようにする

現状構成の把握で使われる英語表現

よく使われる単語

英語意味
Current state / As-Is現状・現行状態
Target state / To-Be目標状態・新構成
Network inventoryネットワーク機器・資産一覧
Topologyネットワーク構成・トポロジー
Physical topology物理構成
Logical topology論理構成
Configuration baseline基準となる設定情報
Discrepancy差異・不一致
Dependency依存関係
Single point of failure単一障害点

ヒアリングで使える表現

Could you provide the latest network diagram?

最新のネットワーク構成図をご提供いただけますか?

Is the current configuration consistent with the documentation?

現在の設定は資料の内容と一致していますか?

Are there any temporary or exceptional configurations?

一時的または例外的な設定はありますか?

Are there any known issues in the current network?

現在のネットワークに既知の問題はありますか?

理解度チェック

現状把握で重要なのは、情報を暗記することではなく、 「どの情報を、何のために、どこから確認するか」を判断できることです。

問題1.現状構成の把握方法として最も適切なものはどれですか。

  1. 最新と書かれた構成図だけを確認する
  2. running-configだけを取得する
  3. 資料・実機・運用情報を突き合わせて確認する
  4. 新構成だけを先に作成する
解答を見る
正解:C

1つの情報源だけではなく、資料・実機・運用情報を突き合わせることで現状を事実ベースで整理します。

問題2.構成図では未使用となっているポートが、実機では通信中でした。最初の対応として適切なものはどれですか。

  1. 不要と判断してポートをshutdownする
  2. 構成図が間違っているとして無視する
  3. 差分として記録し、接続先・用途・変更理由を確認する
  4. 新構成でも同じポート番号を使用する
解答を見る
正解:C

現状把握の段階では差分を記録し、理由と影響を確認します。勝手に設定変更してはいけません。

問題3.次のうち、L2構成の確認に最も関係するものはどれですか。

  1. VLAN、トランク、STP、LAG
  2. BGP、OSPF、デフォルトルート
  3. 回線契約、クラウド専用線
  4. 監視通知先、保守契約
解答を見る
正解:A

VLAN、トランク、STP、LAGは主にL2構成を把握するための重要項目です。

問題4.現状把握で「未確認」の情報が残った場合、どう管理するのが適切ですか。

解答を見る
解答例:

推測で埋めず、未決事項として確認内容・確認先・担当者・期限を記録して管理します。

問題5.現状把握の結果を基本設計へ引き継ぐために残したい情報を3つ挙げてください。

解答例を見る
  • 現在の物理・論理構成
  • IPアドレス・VLAN・ルーティング等の現行設定
  • 資料と実機の差分、既知課題、継続利用が必要な制約

実践演習:現行ネットワークの不足情報を洗い出す

あなたは、ある企業のネットワーク更改案件を担当することになりました。 顧客から現行構成について、次の情報を受け取りました。

顧客から受け取った情報

「本社にはコアスイッチが2台、フロアスイッチが4台あります。インターネット回線は2本です。 構成図は3年前に作ったものがあります。以前、障害対応でVLANを追加したことがありますが、資料へ反映したか分かりません。 最近、Web会議が遅いという問い合わせも増えています。来年度にネットワーク機器を更改したいです。」

課題1.最初に追加で入手したい資料を挙げる

構成図以外に、追加で入手したい資料を5つ以上挙げてください。

1.________________________
2.________________________
3.________________________
4.________________________
5.________________________
課題1の解答例を見る
  • 機器一覧
  • パラメータシート
  • IPアドレス管理表
  • VLAN一覧
  • 回線契約・回線情報
  • 監視設計・運用手順
  • 障害履歴・変更履歴
  • 最新の設定バックアップ

課題2.実機で確認したい内容を分類する

次の情報を「物理/L2」「L3」「運用・外部接続」の3分類へ整理してください。

  • VLAN一覧
  • インターフェース状態
  • OSPFネイバー
  • デフォルトルート
  • LAG構成
  • インターネット回線の主系・副系
  • 設定バックアップ方法
  • STPルートブリッジ
  • IPアドレス
物理/L2:______________________

L3:_________________________

運用・外部接続:___________________
課題2の解答例を見る

物理/L2:VLAN一覧、インターフェース状態、LAG構成、STPルートブリッジ

L3:OSPFネイバー、デフォルトルート、IPアドレス

運用・外部接続:インターネット回線の主系・副系、設定バックアップ方法

課題3.資料と実機の差分を整理する

調査したところ、次の差分が見つかりました。

項目資料実機
VLAN 350記載なし複数フロアで使用中
Internet-2バックアップ回線インターフェースdown
SW-F31Gbps uplink10Gbps×2 LAG

それぞれについて、次に確認すべきことを書いてください。

VLAN 350:______________________

Internet-2:_____________________

SW-F3:_______________________
課題3の解答例を見る
  • VLAN 350:用途、利用端末、追加時期、継続要否、アドレス体系、関連するACL/ルーティングを確認する
  • Internet-2:故障中か、契約終了か、意図的停止か、冗長化要件を満たしているかを確認する
  • SW-F3:LAG化した理由、メンバー構成、帯域利用状況、構成図・パラメータの更新要否を確認する

課題4.簡易As-Isシートを作る

最後に、次の形式で現状を整理してください。

分類確認結果情報源課題・差分次アクション
物理構成________________________
VLAN/IP________________________
ルーティング________________________
回線________________________
運用________________________

自分の言葉で説明する課題

後輩エンジニアから「構成図をもらったのに、なぜ実機まで確認する必要があるんですか?」と質問されました。 1分程度で説明してください。

現状構成を実機でも確認する理由は、________________________________。
説明例を見る

構成図やパラメータシートは、変更が反映されておらず実際のネットワークと違っていることがあります。 そのため、資料だけでなく実機の接続・設定・経路を確認し、運用担当者へのヒアリングも行います。 こうして現在の事実と差分を把握しておくことで、新しい設計との競合や切り替え時の見落としを減らせます。

まとめ

  • 現状構成の把握は、現在の構成・設定・運用・課題を設計の前提として使える事実へ整理する工程
  • 構成図だけでなく、資料・実機・運用担当者の3方向から確認する
  • 対象範囲、物理、L2、L3、ルーティング、WAN、セキュリティ、運用、既知課題に分けると整理しやすい
  • 大きな全体像から詳細へ進み、最後に資料と実機を突き合わせる
  • 差分を見つけても勝手に修正せず、理由・影響・継続要否を確認する
  • 確認できない項目は推測で埋めず、未決事項として担当者と期限を付けて管理する
  • 現状把握の成果物は、As-Is構成図・機器一覧・アドレス/VLAN一覧・差分/課題一覧として設計へ引き継ぐ

上級工程では「新しい構成を考える力」だけでなく、 既存環境を正確に読み解き、何を残し、何を変えるべきか判断する力が重要です。

次の記事:利用者数・端末数・通信量の確認

現状のネットワーク構成を把握したら、次に確認するのは そのネットワークを誰が、何台の端末で、どの程度使っているかです。

次の記事では、現在と将来の利用者数・端末数、平均・ピーク通信量、アプリケーション利用状況を整理し、 性能・帯域・アドレス設計へつなげる方法を解説します。

ネットワーク上級編 02/全70記事

上級編では、要件定義から基本設計、BGP、クラウド、セキュリティ、自動化、 設計レビュー・顧客提案までを順番に学びます。

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