ネットワークエンジニアとして仕事をしていて、
「AWSも勉強したほうがいい気がする」
「AWS資格がたくさんあって、どれを取ればいいのか分からない」
「ネットワークエンジニアなら、Cloud Practitionerから受けるべき?」
と迷っている人は多いと思います。
AWSには複数の認定資格がありますが、ネットワークエンジニアがすべての資格を順番に取得する必要はありません。
重要なのは、自分がAWSで何をできるようになりたいのかを考えて、必要な資格を選ぶことです。
結論から言うと、ネットワークエンジニアがAWSを学ぶのであれば、中心になる資格はAWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA)です。
AWSをまったく知らない場合はCloud Practitionerから始めても構いませんが、すでにネットワークやインフラの実務経験があるなら、最初からSAAを目指す選択肢も十分あります。
この記事では、ネットワークエンジニアの視点からAWS資格のおすすめ学習順を整理します。
結論:ネットワークエンジニアならSAAを中心に考える
最初に、おすすめの位置づけを整理しておきます。
| AWS資格 | ネットワークエンジニアにとっての位置づけ |
|---|---|
| AWS Certified Cloud Practitioner | AWS完全初心者向け。必要に応じて取得 |
| AWS Certified Solutions Architect – Associate | 最初に本格的に取得したい資格 |
| AWS Certified CloudOps Engineer – Associate | 運用・監視・障害対応を深めたい人向け |
| AWS Certified Security – Specialty | セキュリティまで専門性を広げたい人向け |
| AWS Certified Solutions Architect – Professional | AWS設計をさらに深めたい人向け |
| AWS Certified Advanced Networking – Specialty | 廃止予定のため、今後の標準学習ルートには組み込みにくい |
AWS Certified Solutions Architect – Associateは、AWS Well-Architected Frameworkに基づいてソリューションを設計する能力を確認する資格です。セキュアな構成、耐障害性、高性能、コスト最適化などを幅広く扱います。
ネットワークエンジニアにとって重要なのは、SAAの学習を通してAWSというクラウド全体の構成を理解できることです。
単純にVPCだけを覚えるのではなく、
VPC → EC2 → ELB → Route 53 → IAM → ストレージ → データベース → 可用性設計
という形で、ネットワークがAWSシステム全体の中でどのような役割を持つのかが見えてきます。
これがSAAを最初の中心資格として考えたい大きな理由です。
おすすめのAWS資格学習順
ネットワークエンジニア向けに整理すると、基本的には次の順番が分かりやすいです。
- AWS完全初心者ならCloud Practitionerで全体像を理解する
- Solutions Architect – Associate(SAA)を取得する
- VPC・Subnet・Route Tableなどを実際に構築する
- Site-to-Site VPNやTransit Gatewayまで検証する
- 運用を伸ばしたければCloudOps Engineer – Associateへ進む
- セキュリティを伸ばしたければSecurity – Specialtyへ進む
- AWS設計をさらに深めるならSolutions Architect – Professionalへ進む
ポイントは、資格だけを連続して取得しないことです。
SAAに合格したら、次の資格へ進む前に一度AWS環境を実際に触ることをおすすめします。
ネットワークエンジニアの場合、
資格 → ハンズオン → 資格 → ハンズオン
という進め方のほうが、知識を実務へ結びつけやすくなります。
STEP1:AWSが完全に初めてならCloud Practitioner
AWS Certified Cloud Practitionerは、AWSクラウドに関する総合的な基礎知識を確認するFoundationalレベルの資格です。
現在のCLF-C02では、クラウドの概念、セキュリティとコンプライアンス、AWSサービス、料金・請求などが対象になっています。AWS公式では、AWSの設計・実装・運用経験が6か月以下の人なども想定されています。
そのため、
「AWSのリージョンとAZの違いも分からない」
「EC2、S3、VPCが何なのか分からない」
という状態であれば、Cloud Practitionerから始めるとAWS全体を整理しやすくなります。
ただし、ネットワークエンジニアだからといって、必ずCloud Practitionerを取得しなければならないわけではありません。
インフラ経験者ならCloud Practitionerを飛ばしてもいい
たとえば、すでに次のような知識がある人を考えてみます。
ルーティング、サブネット、NAT、VPN、ファイアウォール、DNS、ロードバランサー、冗長化。
こうしたインフラの基礎が理解できているのであれば、Cloud Practitionerを「受験する」のではなく、学習範囲だけ確認してSAAへ進む方法もあります。
Cloud Practitionerには、クラウドの考え方や料金体系、責任共有モデルなどAWS独自の知識があります。
その部分だけ補完し、SAAへ進むのも効率的です。
つまり、
Cloud Practitionerは全員必須ではなく、AWSの基礎を補うための資格
と考えると分かりやすいでしょう。
STEP2:最初の本命はSolutions Architect – Associate
ネットワークエンジニアがAWS資格を一つ選ぶなら、まず候補にしたいのがAWS Certified Solutions Architect – Associateです。
SAAでは、特定サービスの操作方法だけではなく、
「この要件なら、どのAWSサービスを組み合わせればよいか」
という設計の考え方を学びます。
これはネットワークエンジニアとの相性が非常に良い部分です。
オンプレミスのネットワークでも、
「どのように冗長化するか」
「どこにファイアウォールを配置するか」
「どの経路で通信させるか」
「障害が発生してもサービスを継続できるか」
といったことを考えます。
AWSでも考え方の根本は大きく変わりません。
違うのは、それを物理ルーターやL3スイッチではなく、AWSサービスを組み合わせて実現する点です。
ネットワーク経験がSAAで活きる部分
ネットワークエンジニアは、AWS学習を完全なゼロから始めるわけではありません。
オンプレミスで身につけた知識の多くをAWSへ転用できます。
| オンプレミスでの知識 | AWSで関連する技術 |
|---|---|
| IPアドレス・サブネット | VPC・Subnet・CIDR |
| ルーティング | Route Table |
| デフォルトルート | Internet Gateway・NAT Gatewayなどへの経路 |
| ACL | Network ACL |
| ファイアウォール | Security Group・AWS Network Firewall |
| NAT | NAT Gateway |
| DNS | Route 53 |
| ロードバランサー | ALB・NLB |
| IPsec VPN | AWS Site-to-Site VPN |
| BGP | Direct Connect・VPNなどの動的ルーティング |
| ハブ&スポーク | Transit Gateway |
| 冗長化 | Multi-AZ・Multi-Regionなど |
特にIPアドレス、サブネット、ルーティング、NAT、VPNの基礎が理解できている人は、AWSネットワークを理解するときに大きなアドバンテージがあります。
一方で注意したいのが、
「AWSのVPCは、単なる仮想L3スイッチではない」
という点です。
AWSでは物理ネットワークの構成が利用者から抽象化されています。
そのため、オンプレミスとまったく同じ感覚で考えると、逆に混乱することがあります。
ネットワークエンジニアがSAAで苦戦しやすいところ
SAAはネットワークだけの資格ではありません。
ここが非常に重要です。
ネットワーク経験者の場合、VPCやルーティングは比較的理解しやすくても、AWS独自のサービスで苦戦する可能性があります。
たとえば、EC2だけでなく、S3、RDS、DynamoDB、Lambda、IAM、Auto Scaling、CloudFrontなどについても理解する必要があります。
特に、
「データベースは専門外だから分からない」
「ストレージはサーバー担当の領域だった」
という人は、最初は覚えるサービス数の多さに戸惑うかもしれません。
しかし、ここにSAAを勉強する価値があります。
ネットワークだけを見るのではなく、
アプリケーション・サーバー・ストレージ・データベース・ネットワーク・セキュリティを一つのシステムとして見る
練習になるからです。
設計工程へ進みたいネットワークエンジニアにとって、この視点は重要です。
STEP3:SAA取得後は資格ではなくVPCを構築する
SAAに合格したら、すぐ次のAWS資格へ進みたくなるかもしれません。
しかし、ITジャンプではここで一度資格学習を止めることをおすすめします。
次にやるべきなのは、AWSを実際に構築することです。
まずは小さなVPCを作ります。
たとえば、Public SubnetとPrivate Subnetを作り、EC2を配置し、Route Table、Internet Gateway、Security Groupなどを設定します。
その後、
NAT Gateway、ALB、Route 53、VPC Flow Logsなどへ少しずつ広げていきます。
ここまで実際に触ると、
「参考書では分かったつもりだったが、Route Tableの関連付けを理解できていなかった」
「Security GroupとNACLの違いを実際の通信で確認できた」
といった発見が出てきます。
資格の知識が、ここから技術になります。
ネットワークエンジニアならSite-to-Site VPNまで構築したい
VPCの基本が分かったら、ネットワークエンジニアとしてぜひ挑戦したいのがオンプレミスとAWSの接続です。
たとえば検証環境を用意して、
オンプレミス環境
│
│ IPsec VPN
│
AWS
│
VPC
│
EC2
という環境を構築します。
ここまで進むと、オンプレミスで経験してきたIPsec、ルーティング、BGPなどの知識とAWSがつながってきます。
ITジャンプでは、AWS資格の記事だけで完結させず、既存のネットワーク上級編へつなげることを想定しています。
関連して学習したい場合は、次の記事も参考にしてください。





AWS資格で得た知識を、こうした実務技術へつなげていくことが重要です。
STEP4:運用・障害対応を伸ばすならCloudOps Engineer – Associate
SAAの次の資格として候補になるのが、AWS Certified CloudOps Engineer – Associateです。
以前のAWS Certified SysOps Administrator – Associateに相当する資格で、現在はCloudOps Engineer – Associateという名称になっています。
AWS公式では、AWSワークロードのモニタリングと保守、セキュリティコントロール、ネットワーク概念、事業継続、コスト・パフォーマンス最適化などの能力を確認する資格とされています。対象者としてはAWS上でのデプロイ・管理・運用を約1年経験した人が想定されています。
ネットワーク監視・運用・障害対応を経験してきた人とは比較的つながりを作りやすい資格です。
特に、
「AWS環境を作るだけでなく、監視・運用したい」
「障害発生時に原因を調査できるようになりたい」
という人には相性があります。
ただし、SAA取得直後に必ずCloudOpsを受験する必要はありません。
資格数を増やすことより、CloudWatchやCloudTrail、VPC Flow Logsなどを実際に触るほうが優先度が高い場合もあります。
STEP5:セキュリティを伸ばすならSecurity – Specialty
ファイアウォールやVPNなどの経験があり、クラウドセキュリティへ専門性を広げたい場合は、AWS Certified Security – Specialtyも候補になります。
AWSではネットワークだけでなく、
IAMによるアクセス制御、暗号化、ログ監視、インシデント対応、データ保護などを含めてセキュリティを考える必要があります。
ネットワークエンジニアの場合、
「ファイアウォールで通信を制御する」
という視点から、
「AWS環境全体で、誰が何へアクセスできるのかを設計する」
という視点へ広げられるのが大きな学習効果です。
AWS Certified Security – Specialtyは現在もAWSのSpecialty認定として提供されています。
FortiGateやPalo Altoなどのファイアウォール経験がある人が、クラウドセキュリティへ領域を広げるときにも関連付けやすい資格です。
STEP6:設計をさらに深めるならSolutions Architect – Professional
AWSを使った設計経験を積んだ後に候補となるのが、AWS Certified Solutions Architect – Professionalです。
AWS公式では、複雑な問題に対するソリューション提供、セキュリティ・コスト・パフォーマンスの最適化など、高度なアーキテクチャスキルを確認するProfessional認定として位置づけられています。受験者にはAWSサービスを使ったクラウドソリューション設計・実装の2年以上の経験が推奨されています。
そのため、SAAに合格した直後に資格だけを追いかけるより、
SAA → AWS構築 → ハイブリッド接続 → 運用・設計経験 → SAP
という流れのほうが自然です。
なお、Solutions Architect – Professionalは2026年後半に試験更新が予定されているため、受験時にはAWS公式サイトで最新の試験バージョンを確認してください。
Advanced Networking – Specialtyはどうする?
ネットワークエンジニアであれば、
「Advanced Networking – Specialtyこそ最初に目指すべきでは?」
と思うかもしれません。
確かに、この認定はこれまでAWSネットワークに特化した代表的な資格でした。
しかし、AWSはAWS Certified Advanced Networking – Specialtyの廃止を案内しています。2026年10月時点のAWS認定一覧では、2026年12月31日に廃止予定と掲載されています。
そのため、これから長期的なAWS資格ロードマップを作るのであれば、Advanced Networking – Specialtyを中心にするのはおすすめしません。
代わりに、
SAAでAWS全体を理解し、VPC・VPN・Direct Connect・Transit Gatewayなどをハンズオンで深掘りする
という学習方法が重要になります。
資格がなくなっても、クラウドネットワークの設計スキルそのものが不要になるわけではありません。
むしろ「資格があるから勉強する」のではなく、「実務で必要だからネットワークを学ぶ」という姿勢がより重要になります。
CCNA取得者ならどこから始める?
すでにCCNAを取得しているネットワークエンジニアなら、個人的にはSAAから始めるルートが分かりやすいと思います。
CCNAで学んだIPアドレス、サブネット、ルーティング、NAT、ACL、VPNなどの知識を土台にしながら、AWS独自のサービスを追加していくイメージです。
CCNA・ネットワーク基礎
↓
AWS SAA
↓
VPC / Subnet / Route Table
↓
Security Group / NACL
↓
NAT Gateway
↓
Site-to-Site VPN
↓
Transit Gateway
↓
Direct Connect
↓
クラウドネットワーク設計
こうすると、
「CCNAとは別ジャンルとしてAWSを一から勉強する」
のではなく、
「ネットワークの知識をAWSへ拡張する」
という感覚で学習できます。
資格を何個取るかより「AWSで何を作れるか」を重視する
AWS資格を勉強していると、資格の数が気になってきます。
Cloud Practitioner、SAA、CloudOps、Security、SAP……と取得していけば、確かにAWSについて幅広く勉強できます。
しかし、ネットワークエンジニアとして重要なのは資格の数だけではありません。
たとえば面談で、
「AWS SAAを持っています」
だけで終わる場合と、
「AWS SAA取得後、自宅の検証環境とAWSをSite-to-Site VPNで接続しました。VPC、Route Table、Security Groupを設計し、ルーティングと通信確認まで実施しました」
と言える場合では、伝えられる技術経験が大きく変わります。
資格は知識を体系的に学ぶための非常に便利な手段です。
しかし、
資格取得 → ハンズオン → 成果物化
まで進めることで、はじめて実務やキャリアへつながりやすくなります。
ネットワークエンジニア向けAWS学習ロードマップ
最終的には、次の状態を目指したいところです。
| 段階 | 目標 |
|---|---|
| AWS基礎 | AWSの主要サービスとクラウドの考え方を説明できる |
| SAA学習 | AWSシステム全体の基本設計を理解できる |
| VPC構築 | Subnet・Route Table・SG・NACLを設定できる |
| ネットワーク応用 | NAT Gateway・VPN・Transit Gatewayを扱える |
| ハイブリッド | オンプレミスとAWSの接続方式を説明できる |
| 設計 | 可用性・セキュリティ・コストを考えて構成を選べる |
| 実務 | 構成図・設計書を作り、選定理由を顧客へ説明できる |
ITジャンプでAWS資格を扱う目的も、資格の取得数を増やすことではありません。
最終的なゴールは、
ネットワークエンジニアがAWSを理解し、オンプレミスとクラウドを接続・設計できるようになること
です。
まとめ
ネットワークエンジニアがAWS資格を取得するなら、まず中心に考えたいのはAWS Certified Solutions Architect – Associateです。
AWSが完全に初めてならCloud Practitionerから始めても構いません。
一方、ネットワークやインフラの基礎があるなら、Cloud Practitionerの内容を確認したうえでSAAから始める方法もあります。
そしてSAA取得後は、資格を増やす前にVPCを実際に構築してみてください。
Subnet、Route Table、Security Group、NAT Gateway、Site-to-Site VPN、Transit Gatewayと進めていけば、これまでオンプレミスで身につけてきたネットワーク知識とAWSがつながってきます。
その後、目指す方向に応じてCloudOps Engineer – Associate、Security – Specialty、Solutions Architect – Professionalへ広げていけばよいでしょう。
AWS資格はゴールではありません。
資格で体系的な知識を身につけ、
実際に構築し、障害を調べ、設計理由を説明できる状態にする。
ネットワークエンジニアがAWSを学ぶのであれば、ここまでを一つのロードマップとして考えることをおすすめします。
AWS資格を体系的に学びたい人におすすめの書籍
AWS資格の勉強では、問題集だけを繰り返すよりも、最初に一冊の参考書でAWSサービス同士の関係を整理してから問題演習へ進むと理解しやすくなります。
AWS認定資格試験テキスト AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト 改訂第3版
SAA-C03に対応した、SBクリエイティブのAWS SAA対策書です。セキュアなアーキテクチャ、耐障害性、高性能、コスト最適化など、SAAで求められる分野を体系的に学べます。
向いている人: AWSサービスを一つずつ整理しながら、SAAの試験範囲を体系的に理解したい人。
向いていない人: すでにAWS実務経験が豊富で、問題演習だけを集中的に行いたい人。
ネットワークエンジニアが「VPCだけ」ではなく、AWSシステム全体を理解するための土台作りにも利用できます。
AWS教科書 AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト テキスト&問題集
翔泳社のSAA-C03対応書籍です。テキストだけではなく、問題演習やAWSを実際に触るための実践環境ガイドが用意されている点が特徴です。
向いている人: 読むだけではなく、ハンズオンと問題演習を組み合わせながら学習したい人。
向いていない人: AWSサービスの基本をすでに十分理解しており、模擬問題だけを大量に解きたい人。
ITジャンプでは資格取得後のハンズオンを重視しているため、実際にAWSを触りながら覚えたいネットワークエンジニアとは相性のよい構成です。

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