Fortigateの公式ドキュメントで利用されている英語の頻出度についてAIを利用して調査してみた

ネットワークエンジニアの皆さん、Fortigate(FortiOS)の設定や運用時に公式ドキュメントを参照することは多いと思います。しかし、「英語のドキュメント」と聞いただけで、少し心理的ハードルを感じてしまうことはありませんか?

「本当に英語のドキュメントを読むには高い英語力が必要なのだろうか?」

そんな疑問を解決すべく、今回はAI(Pythonスクリプト)を活用して、Fortigateの公式CLIリファレンスに含まれるすべての英単語を抽出し、その出現頻度を徹底的に分析してみました!

結果から言うと、「使われている単語は非常に限定的で、パターンさえ掴めば英語力に自信がなくても十分読める」ということが数値データとして明らかになりました。本記事では、その具体的な分析内容と面白い発見をレポートします。


目次

1. 調査対象と分析方法

今回の分析では、Fortigateの公式ドキュメントの中でも特にボリュームが大きい「FortiOS 7.4.8 CLI Reference」を対象としました。

  • 調査対象ファイル: FortiOS-7.4.8-CLI_Reference.pdf (全3,581ページ)
  • 分析方法: Pythonスクリプトによるテキストマイニング
  • PDFからテキストデータを抽出(pypdf ライブラリを使用)
  • 英数字以外の記号を除去し、単語ごとに分割(すべて小文字に統一)
  • 一般的な英文法で使われる機能語(the, to, and, of, a などの「ストップワード」)を除去し、技術的に意味のあるキーワードに絞り込み
  • 単語ごとの出現回数をカウントし、頻出度順にソート

Pythonでの分析コードの実装にあたっては、AIとペアプログラミングを行い、効率的にテキストパースおよびストップワード除去のロジックを組み立てました。


2. 頻出単語トップ30(意味のあるキーワード)

ストップワード(文法的な助詞や代名詞など)を除外した、実質的な技術用語・設定値の頻出トップ30は以下の通りです。

順位単語出現回数主な意味・ドキュメント内での役割
1fortigate12,222製品名(ヘッダーや説明文に頻出)
2option11,912オプション、選択肢
3description11,727説明、解説欄
4enable9,886有効にする(設定値の定番)
5string9,330文字列(データ型の指定)
6disable8,775無効にする(設定値の定番)
7maximum5,920最大値
8integer5,530整数値(データ型の指定)
9type5,325タイプ、種類
10default4,719初期値、デフォルト値
11size4,640サイズ、容量
12parameter4,532パラメータ、変数
13value3,929値、設定値
14fortios3,586OS名(FortiOS)
15clireference3,581ドキュメント名(CLI Reference)※1
16fortinetinc3,578会社名(Fortinet Inc.)※1
17length3,242長さ、文字数制限
18ipv2,211IPv4 / IPv6 などのバージョン関連 ※2
19fortiwifi1,872製品名(FortiWiFi)
20sha1,735暗号化アルゴリズム(SHA-256など)
21id1,667識別子(ID)
22address1,586アドレス(IPアドレス、MACアドレス等)
23minimumvalue1,543最小値 ※1
24end1,411設定の終了(CLIの end コマンド)
25ip1,282IPプロトコル
26cmd1,187コマンド(commandの略)
27minimum1,144最小限の
28tls1,015暗号化プロトコル(TLS)
29xxx1,009ダミー値、プレースホルダー表現
30user995ユーザー

※1:結合語について
調査結果の clireference, fortinetinc, minimumvalue などは、PDFのテキスト抽出時にスペースが欠落して1語として認識されたものです(PDFの構造上よく発生する技術的特徴です)。実際は CLI Reference, Fortinet Inc., minimum value を指しています。

※2:ipv について
ipv4ipv6 などの末尾の数字がトークン分割により除外され、ipv として集計されています。


3. 出現傾向から見るドキュメントの特徴

抽出された単語の傾向を見ると、CLIドキュメントの記述スタイルがはっきりと見えてきます。

① 設定アクションを司る「動詞」

ドキュメント内で圧倒的なシェアを誇るのが enable(有効)と disable(無効)です。これらはFortigateの各設定項目(コマンド)で、機能をオンにするかオフにするかを指定する際の設定値として登場します。
また、設定コマンドそのものである seteditend も頻出しています。

② データ型と入力制限の「ルール」

string(文字列)、integer(整数値)、maximum(最大値)、minimum(最小値)、length(長さ)といった単語が上位を占めています。
これは、「この設定項目には最大何文字の文字列が入るか」「設定可能な整数の範囲はいくつか」を説明する記述パターンが機械的に繰り返されているためです。

③ ネットワークでお馴染みの「名詞」

ip, address, port, server, user, tls など、ネットワークエンジニアであれば普段から日本語の会話でも使っている専門用語ばかりです。これらは特別な翻訳を必要とせず、そのまま直感的に理解できるものです。


4. 【技術的な裏話】PDFテキスト解析の「罠」

今回AIとスクリプトを書いていて面白かったのは、PDFパースならではの表記の歪みです。

PDFファイルは、WordファイルやHTMLファイルとは異なり、「文字が画面のどの座標に描画されるか」という配置情報で管理されています。そのため、プログラムで無理やりテキストを抽出しようとすると、単語間のスペースが正しく判定されず、以下のように結合して抽出されてしまうケースが多発しました。

  • minimumvalue(← minimum value
  • thistopicincludesthefollowingcommands(← This topic includes the following commands
  • thisparametermaynotexistinsomemodels(← This parameter may not exist in some models

このような英文の「塊」が数百回も登場していること自体が、「ドキュメントの多くのページで、全く同じ定型句が繰り返し再利用されている」ことの強力な証拠でもあります。


5. まとめ:エンジニアに高度な英語力は不要?

今回の調査で分かった最も重要な結論は、「Fortigateの公式ドキュメントは、わずか200〜300語程度の極めて限定された単語の組み合わせで構成されている」ということです。

日常英会話で使われるような難しい熟語や、文学的な表現は一切登場しません。
登場するのは:

  1. 設定アクションのキーワード(enable, disable, set, default)
  2. データ制限のキーワード(maximum, minimum, range, length, integer)
  3. 技術専門用語(ip, address, tls, sha, port)

これらさえ押さえておけば、3,500ページを超える膨大なドキュメントであっても、恐れることなく読み解くことができます。

英語のドキュメントに苦手意識がある方は、まずは今回紹介した頻出単語トップ30を意識し、「ドキュメントは定型パターンの繰り返しである」という安心感を持って公式リファレンスを開いてみてはいかがでしょうか?


※本記事のデータ分析には、Pythonと生成AIによる自動テキストパース処理を用いています。

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