会社のパソコンからWebサイトを見たり、社内のファイルサーバーへアクセスしたりするとき、 どちらもネットワーク通信を使います。しかし、通信が通る範囲、管理者、IPアドレス、 セキュリティの考え方は同じではありません。
この記事では、インターネットと社内ネットワークの違いを初心者向けに整理します。 「社内システムは使えるのに、外部Webサイトだけ見られない」という状況が起こる理由も、 通信経路を分けながら理解していきましょう。
この記事を読み終えるとできること
- インターネットと社内ネットワークの違いを説明できる
- 社内通信とインターネット通信の経路を区別できる
- グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの使われ方を大まかに説明できる
- 「どこまで通信できるか」を基準に障害範囲を考えられる
インターネットと社内ネットワークの違い
社内ネットワークは、企業や組織が業務のために構築・管理するネットワークです。
どちらも、パソコンやサーバーなどの機器がデータをやり取りするためのネットワークです。 最大の違いは、利用範囲と管理者にあります。
社内ネットワーク
- 企業や組織が管理する
- 社員や許可された端末が利用する
- 社内システムやプリンターなどを接続する
- 会社のルールで通信を制御する
インターネット
- 世界中のネットワークが相互接続されている
- 1社だけが全体を管理しているわけではない
- Web、メール、動画、クラウドなどを利用できる
- 多数の通信事業者や組織を経由する
まず全体を1枚の図で理解する
会社のパソコンは、最初から外部Webサーバーへ直接つながっているわけではありません。 一般的には、社内ネットワークを通り、ルーターやファイアウォールを経由して インターネットへ接続します。
会社のパソコンから見た2つの通信先
社内サーバーへの通信は社内ネットワークだけで完結する場合があります。 外部Webサイトへの通信は、社内ネットワークからインターネットへ出ていく必要があります。
インターネットとは何か
インターネットとは、家庭、企業、学校、通信事業者、クラウド事業者などが持つ 多数のネットワークを相互接続した、世界規模の仕組みです。
インターネットを通じて、次のようなサービスを利用できます。
- Webサイトの閲覧
- メールの送受信
- 動画配信
- オンライン会議
- クラウドストレージ
- SNSやオンラインゲーム
インターネットは通信の土台です。Webは、その上で利用するサービスの一つです。 メールやオンラインゲームもインターネットを利用します。
社内ネットワークとは何か
社内ネットワークとは、企業や組織が業務のために構築・管理しているネットワークです。 企業ネットワーク、組織内ネットワーク、イントラネットなどと呼ばれる場合もあります。
社内ネットワークには、次のような機器やシステムが接続されます。
利用者が使う機器
- 社員のパソコン
- スマートフォンやタブレット
- 社内プリンター
- IP電話
サービスを提供する機器
- ファイルサーバー
- 社内業務システム
- 認証サーバー
- 監視・ログ管理サーバー
企業は、誰が接続できるのか、どのシステムへアクセスできるのか、 どの通信を許可するのかを決めます。
7つの項目で違いを比較する
| 比較項目 | インターネット | 社内ネットワーク |
|---|---|---|
| 利用範囲 | 世界規模 | 企業や組織の内部 |
| 管理者 | 多数の通信事業者や組織 | 企業の情報システム部門など |
| 利用者 | 幅広い利用者 | 社員や許可された利用者 |
| 主な用途 | Web、メール、動画、クラウド | 社内システム、ファイル共有、業務通信 |
| IPアドレス | 主にグローバルIPアドレス | 主にプライベートIPアドレス |
| 通信制御 | 接続先やサービスごとに異なる | 企業のセキュリティルールで制御する |
| 障害対応 | 通信事業者やサービス提供者とも連携する | 社内担当者や運用会社が調査する |
最も大切なのは、どこからどこまでを自社で管理できるのかを意識することです。 社内ネットワークは自社で確認・変更できる範囲が多い一方、 インターネットでは通信事業者や外部サービスの状態も関係します。
使用するIPアドレスの違い
グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスは、インターネット上で通信相手を識別するためのIPアドレスです。 インターネット上で重複しないように管理されます。
プライベートIPアドレス
プライベートIPアドレスは、家庭や企業などの内部ネットワークで使用するIPアドレスです。 代表的な範囲は次のとおりです。
会社のパソコンには、次のようなアドレスが設定されることがあります。
プライベートIPアドレスは、そのままではインターネット上の送信元アドレスとして使えません。 外部へ通信するときは、ルーターやファイアウォールがNATまたはNAPTという仕組みで アドレスを変換します。
通信経路の違い
社内サーバーへアクセスする場合
パソコンとファイルサーバーが同じ社内ネットワークに接続されていれば、 通信がインターネットへ出ない場合があります。
外部Webサイトへアクセスする場合
- パソコンがWebサイトへアクセスしようとする
- 社内ネットワークを通ってルーターやファイアウォールへ進む
- インターネット回線へ通信を送る
- 複数のネットワークを経由する
- 外部Webサーバーへ到着する
- Webサーバーから応答が返る
セキュリティと管理範囲の違い
社内ネットワークとインターネットを接続すると、 世界中のサービスへアクセスできる一方で、不正アクセスやマルウェアなどのリスクも生じます。
そのため、多くの企業では社内ネットワークとインターネットの境界に ルーターやファイアウォールを設置します。
ファイアウォールでは、例えば次のような制御を行います。
- 社内からWebサイトへの必要な通信を許可する
- インターネットから社内パソコンへの不要な接続を拒否する
- 危険な通信先への接続を禁止する
- 通信履歴をログとして保存する
社内端末のマルウェア感染、設定ミス、不適切な権限付与などでも事故は発生します。 社内でも認証、権限管理、通信制御、ログ監視が必要です。
社外から社内へ接続するVPN
在宅勤務や出張先から社内システムへ接続するときは、 インターネットを経由してVPNを利用する場合があります。
障害発生時の切り分け方
利用者から「ネットワークにつながりません」と連絡を受けても、 その言葉だけでは障害範囲を判断できません。
最初に確認する質問
- 社内ファイルサーバーへ接続できますか
- 社内プリンターを利用できますか
- すべてのWebサイトが見られませんか
- 特定のWebサイトだけ見られませんか
- 自分だけですか、それとも周囲の人も同じですか
| 確認結果 | 優先して考える範囲 |
|---|---|
| 社内システムもインターネットも使えない | 端末、ケーブル、Wi-Fi、社内LAN、デフォルトゲートウェイ |
| 社内システムは使えるが、外部Webサイトは見られない | ルーター、ファイアウォール、DNS、インターネット回線 |
| インターネットは使えるが、社内システムだけ使えない | 社内サーバー、社内DNS、アクセス権、社内の通信経路 |
| 特定のWebサイトだけ見られない | 接続先サービス、URL、DNS、個別の通信制御 |
| 自分だけ使えない | 端末設定、ケーブル、Wi-Fi、認証 |
| 周囲の人も使えない | 共通するネットワーク機器、サーバー、回線 |
現場での確認例
利用者から「インターネットにつながらない」と申告があり、次の状態を確認できたとします。
この場合、パソコンから社内ネットワークまでの基本通信は成功している可能性があります。 ルーター、ファイアウォール、DNS、インターネット回線など、 社内から外部へ出る経路を優先して調査します。
インターネットと社内ネットワークに関するよくある勘違い
インターネットはネットワークの集合体です。 Webはインターネット上で利用されるサービスの一つです。
Wi-Fiは端末を社内ネットワークへ接続する方法です。 その先のルーター、DNS、回線などに問題があれば、外部Webサイトは表示できません。
メール、オンライン会議、ファイル共有などをクラウドサービスとして インターネット上から利用する企業もあります。
社内サーバーやプリンターへの通信が社内だけで完結する構成では、 インターネット回線の障害中でも利用できる場合があります。
社内端末でもマルウェア感染や不正操作は起こります。 接続場所だけでなく、利用者、端末、権限、通信内容を確認する必要があります。
理解度チェック
記事の内容を確認するため、次の5問に答えてください。解答を見る前に一度考えてみましょう。
問題1.インターネットの説明として最も適切なものはどれですか。
- 一つの企業だけが管理するネットワーク
- 世界中の多数のネットワークを相互接続した仕組み
- Webサイトだけを表示する仕組み
- 会社のパソコンだけを接続する仕組み
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正解:B
インターネットは、家庭、企業、学校、通信事業者などが持つ 多数のネットワークを相互接続した仕組みです。
問題2.社内ネットワークの主な管理者として適切なものはどれですか。
- 世界中の利用者
- すべてのWebサイト運営者
- 企業の情報システム部門やネットワーク担当者
- インターネットを利用するすべての家庭
解答を見る
正解:C
社内ネットワークは企業や組織が管理します。 実際の運用を外部の運用会社へ委託している場合もあります。
問題3.次のうち、プライベートIPアドレスとして使用できるものはどれですか。
- 192.168.10.20
- example.com
- HTTPS
- Ethernet
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正解:A
192.168.10.20はプライベートIPアドレスの範囲に含まれます。 example.comはドメイン名、HTTPSはプロトコル、Ethernetは通信規格です。
問題4.社内ファイルサーバーには接続できますが、すべての外部Webサイトを表示できません。 優先して確認する範囲はどれですか。
- パソコンの電源だけ
- 社内プリンターの用紙
- ルーター、ファイアウォール、DNS、インターネット回線
- 社内ファイルサーバーのディスク容量だけ
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正解:C
社内サーバーへ接続できているため、端末から社内ネットワークまでの通信は 成功している可能性があります。外部へ出る経路を優先して確認します。
問題5.「社内ネットワークに接続された端末からの通信は、すべて安全である」。 この説明は正しいですか。
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正解:誤りです。
社内端末でも、マルウェア感染、設定ミス、不適切な権限付与などが起こります。 社内でも認証、権限管理、通信制御、ログ監視が必要です。
実践演習:通信先を分類しよう
次のサービスを「主に社内ネットワークで利用するもの」と 「主にインターネット経由で利用するもの」に分類してください。
- 社内に設置されたファイルサーバー
- 一般公開されているニュースサイト
- 社内プリンター
- クラウド型オンライン会議
- 社内だけで利用できる勤怠管理システム
- 動画配信サービス
社内ネットワーク:
インターネット経由:
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主に社内ネットワーク
- 社内に設置されたファイルサーバー
- 社内プリンター
- 社内だけで利用できる勤怠管理システム
主にインターネット経由
- 一般公開されているニュースサイト
- クラウド型オンライン会議
- 動画配信サービス
ただし、勤怠管理システムやファイルサーバーがクラウド上に置かれている企業もあります。 「会社で使うか」ではなく、「通信先がどこに置かれているか」で考えることが大切です。
課題2.障害範囲を考える
次の確認結果から、どの範囲を優先して調査するか考えてください。
その理由:
解答例を見る
ルーター、ファイアウォール、DNS、インターネット回線を優先して調査します。
社内ファイルサーバーとプリンターを利用できているため、 端末から社内ネットワークまでの通信は成功している可能性があります。 外部サービスだけ利用できないため、社内からインターネットへ出る経路を疑います。
自分の言葉で説明する課題
「インターネットと社内ネットワークは何が違うのですか?」と、 ITを知らない人から質問されたとします。100〜150文字程度で説明してください。
社内ネットワークは、__________________________。
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インターネットは、世界中の多数のネットワークを接続した仕組みです。 社内ネットワークは、会社が業務用に管理しているネットワークです。 社内サーバーへの通信は社内だけで完結する場合がありますが、 外部Webサイトへ接続するにはインターネットを経由します。
模範解答と一字一句同じである必要はありません。 「利用範囲」「管理者」「通信先」の違いを含めて説明できれば、この記事の目標は達成です。
まとめ
- インターネットは、世界中の多数のネットワークを相互接続した仕組み
- 社内ネットワークは、企業や組織が業務のために管理するネットワーク
- 社内では主にプライベートIPアドレスを利用する
- 外部通信はルーターやファイアウォールを経由する
- インターネット障害と社内ネットワーク障害は同じではない
- 障害対応では「何に接続できないか」「どこまでは接続できるか」を確認する
- 社内ネットワークであっても、無条件に安全とは限らない
インターネットと社内ネットワークを区別できると、 通信障害が起きたときに確認場所を分けて考えられるようになります。
次の記事:クライアントとサーバーの違い
今回は、通信が行われる範囲として、インターネットと社内ネットワークの違いを学びました。
次の記事では、サービスを利用する側の「クライアント」と、 サービスを提供する側の「サーバー」を解説します。 社員のパソコン、社内ファイルサーバー、外部Webサーバーが、 それぞれどの役割を持つのかを整理していきましょう。

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