動的ルーティングとは?スタティックルートとの違い・仕組み・経路切り替えを図解

ネットワーク中級編 15/全50記事

この記事は、 「ネットワーク中級編|構築・検証・障害切り分けを身につける」 の第15回です。

前回までに学んだルーティングテーブル、最長一致、スタティックルート、 デフォルトルートの知識を使い、ルーター同士が経路を自動学習する考え方を理解します。

動的ルーティングとは?スタティックルートとの違い・仕組み・経路切り替えを図解

動的ルーティングでは、ルーター同士が到達可能なネットワークの情報を交換し、 利用する経路を自動的に計算します。この記事では、経路学習、メトリック、 障害検知、収束、ルーティングテーブルへの反映までを一つの流れとして解説します。

対象レベル Level 2・中級
想定読了時間 約25分
身につく成果 動的ルーティングの処理を順番に説明できる
前提知識 ルーティングテーブル・スタティックルート
演習環境 ブラウザ/Packet Tracer任意

小規模な構成であれば、管理者がスタティックルートを1本ずつ設定しても運用できます。 しかし、ルーターやネットワークが増えると、すべての経路を手作業で登録・変更することは難しくなります。

そこで利用されるのが動的ルーティングです。 重要なのは「自動設定だから便利」とだけ覚えるのではなく、 何を交換し、何を基準に選び、障害時にどのように切り替わるのかを理解することです。

この記事を読み終えるとできること

  • 動的ルーティングの役割を説明できる
  • スタティックルートとの違いを比較できる
  • 経路情報がルーティングテーブルへ入る流れを説明できる
  • メトリックと経路情報源の優先度を区別できる
  • 障害検知から収束までの流れを説明できる
  • 基本的な動的ルートの表示を読み取れる

動的ルーティングとは何か

最初に覚える定義

動的ルーティングとは、ルーター同士がルーティングプロトコルを使って経路情報を交換し、 宛先ネットワークまでの経路を自動的に学習・選択・更新する仕組みです。

スタティックルートでは、管理者が宛先ネットワークとネクストホップを設定します。 一方、動的ルーティングでは、ルーターが他のルーターから経路情報を受け取り、 プロトコルのルールに従って利用する経路を決めます。

動的ルーティングプロトコル自体が、ユーザーの通信を転送するわけではありません。

プロトコルは経路情報を交換し、その結果をルーティングテーブルへ反映します。 実際のIPパケット転送では、完成したルーティングテーブルを参照します。

「制御」と「転送」を分けて考える

処理 役割 代表的な情報
経路制御 到達可能なネットワークを学習し、使用する経路を決める ルーティングプロトコル、メトリック、トポロジー情報
パケット転送 宛先IPアドレスに一致する経路を参照し、次の機器へ送る ルーティングテーブル、ネクストホップ、出力インターフェース

障害調査では、「OSPFなどのプロトコルが正常か」と 「ルーティングテーブルに期待する経路があるか」を分けて確認します。 プロトコルの隣接関係が確立していても、期待する経路が登録されていない場合があります。

なぜ動的ルーティングが必要なのか

ルーターが2台、宛先ネットワークが数個だけであれば、スタティックルートでも管理できます。 しかし、構成が大きくなるほど、経路設定の本数と変更作業が増えます。

スタティックルート中心の運用

  • 宛先ごとに管理者が設定する
  • 経路変更時に複数ルーターの修正が必要
  • 設定漏れやネクストホップ間違いが起こり得る
  • 障害時の代替経路も事前に設計・設定する

動的ルーティングを利用する運用

  • ルーター同士が経路情報を交換する
  • 追加されたネットワークを他ルーターへ伝えられる
  • 障害や復旧に応じて経路を再計算できる
  • 冗長経路から利用する経路を選択できる

ルーターが増えた場合の違い

4台のルーターと複数ネットワークを管理する例

🏢 本社LAN 192.168.10.0/24
📡 R1 本社ルーター
📡 R2 中継ルーター
📡 R3/R4 複数拠点へ接続
🏬 拠点LAN群 複数の宛先
構成変更のたびに全ルーターへ手作業で経路を追加するのではなく、 ルーティングプロトコルで到達情報を伝え合う

動的ルーティングの価値は、単なる設定本数の削減ではありません。

ネットワークの状態変化をルーター同士で共有し、 現在のトポロジーに合わせて経路を更新できることが重要です。

まず全体を1枚の図で理解する

動的ルーティングでは、ルーターが経路情報を受け取っただけで終わりません。 情報を評価し、最適と判断した経路をルーティングテーブルへ登録し、 状態変化があれば再計算します。

動的ルーティングの全体像

📡 R1 192.168.10.0/24を保持

経路情報
🧠 R2 情報を比較・計算

経路情報
📡 R3 192.168.30.0/24を保持
①情報交換 → ②経路計算 → ③ルーティングテーブルへ登録 → ④変化時に再計算

R1から見た処理

  1. 他のルーターと制御情報を交換する 接続関係や到達可能なネットワークなど、プロトコルごとに必要な情報を受け取ります。
  2. 受け取った情報を内部で保持する ルーティングテーブルへ直接すべて登録するとは限りません。 複数候補を比較するためのデータベースやテーブルを持つプロトコルもあります。
  3. 候補経路を比較する メトリックなど、ルーティングプロトコルで定められた基準を使って経路を選びます。
  4. 選ばれた経路をルーティングテーブルへ登録する 宛先プレフィックス、ネクストホップ、出力インターフェースなどが反映されます。
  5. 状態変化に応じて更新する 障害や復旧、新しいネットワークの追加を検知すると、情報交換と計算をやり直します。

動的ルーティングの基本動作

プロトコルによって細かな動作は異なりますが、初学者は次の4つに分けると理解しやすくなります。

1

相手を認識する

Helloメッセージなどを使い、情報交換する相手を検出するプロトコルがあります。

2

情報を交換する

到達可能なネットワーク、距離、リンク状態などを他のルーターへ伝えます。

3

経路を選択する

受け取った複数候補を、メトリックやプロトコル固有のルールで比較します。

4

変化へ追従する

障害・復旧・追加された経路を反映し、ルーティング情報を更新します。

すべてのプロトコルが同じ方法で動くわけではない

OSPFは隣接ルーターとリンク状態情報を同期し、トポロジー情報から最短経路を計算します。 RIPは隣接ルーターから受け取った距離情報を基に経路を選びます。 BGPはAS間で経路情報と属性を交換し、ポリシーを含む複数の条件で経路を選択します。

「動的ルーティングなら、どのプロトコルでも同じ設定で同じ経路になる」とは限りません。

交換する情報、経路選択基準、障害検知方法、設計できる範囲が異なります。 使用するプロトコルの特性を理解して選定する必要があります。

ルーティングプロトコルの分類

利用範囲による分類:IGPと外部ルーティング

分類 主な利用範囲 代表例 考え方
IGP
Interior Gateway Protocol
1つの組織や管理ドメインの内部 OSPF、IS-IS、RIP、EIGRPなど 社内・拠点間・データセンター内部などの経路制御
外部ルーティング 異なるASや組織の間 BGP インターネットや複数事業者間で、ポリシーを含めて経路を制御

中級編では、企業内部で広く利用されるIGPの一つであるOSPFを中心に学びます。 BGPは経路属性やポリシー制御を含むため、上級編で扱います。

情報の扱い方による代表的な分類

ディスタンスベクター型

距離と方向を基に判断

隣接ルーターから「どの宛先が、どの程度の距離にあるか」を受け取り、経路を判断します。

代表例:RIP

リンクステート型

トポロジーを基に計算

リンク状態情報を共有し、ネットワークのトポロジーを基に最短経路を計算します。

代表例:OSPF、IS-IS

パスベクター型

通過経路と属性を評価

宛先までに通過するASの情報や複数の属性を使い、ポリシーを含めて経路を選択します。

代表例:BGP

分類名を暗記することより、ルーターが何の情報を共有し、何を基に経路を決めるかを理解することが重要です。

経路選択で使われる考え方

1つの宛先に対して複数の経路候補がある場合、ルーターは一定のルールで利用する経路を決めます。 ここでは、混同しやすい3つの考え方を分けます。

1

最長一致

宛先IPアドレスに一致する経路のうち、プレフィックス長が最も長い経路を優先します。

例:/24は、同じ宛先に一致する/16より具体的です。

2

経路情報源の優先度

同じ宛先プレフィックスを異なる方法で学習した場合、機器は情報源の信頼度を比較します。

Cisco例:Administrative Distance

3

メトリック

同じルーティングプロトコルで得た複数候補を、プロトコル固有の基準で比較します。

例:OSPFコスト、RIPのホップ数

判断順序のイメージ

  1. まず宛先に一致する最も具体的なプレフィックスを探す これはパケット転送時の最長一致です。異なるプレフィックス長を単純にメトリックだけで比較しません。
  2. 同じ宛先プレフィックスを複数の情報源から得た場合、情報源の優先度を比較する Cisco IOS系ではAdministrative Distanceが使われます。値や名称はベンダーにより異なります。
  3. 同じプロトコル内に複数候補がある場合、メトリックを比較する 一般に、プロトコルがより良いと判断した経路が選ばれます。
  4. 条件が同じ場合、複数経路を同時に利用できることがある 等コストマルチパスの対応数や動作は、機種・設定・プロトコルにより異なります。

Administrative DistanceはCisco系で使われる用語です。

他ベンダーではPreferenceやRoute Preferenceなど、異なる名称・値が使われることがあります。 設計や障害調査では、その機器がどの基準で経路情報源を比較するかを確認してください。

メトリックはプロトコル間で単純比較できない

OSPFのコスト20とRIPのホップ数2を見て、「2の方が小さいためRIPを優先する」とは判断しません。 メトリックはプロトコルごとに意味と計算方法が異なるためです。

同じプロトコル内の候補を比べるのがメトリック。
異なる情報源を比べるのが機器側の優先度。

障害発生から収束までの流れ

動的ルーティングの重要な役割は、ネットワークの変化へ追従することです。 ただし、障害が発生した瞬間にすべてのルーターが同時に新しい経路へ切り替わるとは限りません。

通常時と障害時の経路

💻 送信元LAN 192.168.10.0/24
📡 R1 経路を選択
主経路:R2 通常時に使用
🗄️ 宛先LAN 192.168.30.0/24
R2側の経路に障害が発生すると、条件を満たす代替経路R3側へ再計算・切り替え
1.障害発生
リンク・機器・経路が停止
2.障害検知
Link Downやタイマーで検出
3.情報通知
変化を他ルーターへ伝える
4.再計算
新しい最適経路を選ぶ
5.収束
経路情報が安定する

収束とは何か

重要用語

収束とは、ネットワークの変化後に、関係するルーターの経路情報が更新され、 新しい状態に基づく転送が安定した状態になることです。

収束中は、一部のルーターだけが古い経路を保持している場合があります。 そのため、一時的なパケットロス、遠回り、ルーティングループ、到達不能が発生する可能性があります。

障害検知の方法は1つではない

検知方法 特徴
物理・データリンク層の通知 インターフェースのLink Down 直結リンクの断線などを比較的早く検知できる
プロトコルのタイマー Hello/Dead、Hold Timerなど メッセージが一定時間届かないことで相手の停止を判断する
補助的な障害検知 BFD、トラッキング機能など 構成や機器に応じて、より高速・柔軟な検知に利用される

タイマーを短くすれば、必ず安全に高速化できるわけではありません。

制御パケットやCPU負荷、一時的な遅延による誤検知、機器性能、回線品質を考慮して設計します。 収束時間は障害検知だけでなく、通知・計算・ルーティングテーブル反映にも影響されます。

スタティック・デフォルト・動的ルーティングの比較

比較項目 スタティックルート デフォルトルート 動的ルーティング
経路の登録 管理者が宛先ごとに設定 一致する個別経路がない通信の出口を設定 プロトコルで自動学習
状態変化への追従 基本的に手作業。トラッキング等で補助可能 設定方法による プロトコルの仕組みで再計算・更新
設定・設計の難易度 小規模では分かりやすい 比較的シンプル 隣接関係、広告範囲、メトリック、冗長性などの設計が必要
制御通信 通常なし 通常なし 経路交換のための制御通信が発生
向いている構成 小規模、固定経路、厳密に制御したい経路 出口がほぼ1方向の端末側・拠点側 複数ルーター、複数経路、変更・冗長化がある構成
主な注意点 設定漏れ、変更負荷、障害時の追従 意図しない通信まで同じ出口へ送る可能性 誤った広告、ループ、経路数増加、収束設計

どれか1つだけを使うとは限らない

実際のネットワークでは、動的ルーティングを利用しながら、 インターネット向けにはデフォルトルート、特定の管理ネットワークにはスタティックルートを使うなど、 複数方式を組み合わせることがあります。

「動的ルーティングの方が高機能だから、すべて置き換える」という考え方ではありません。

構成規模、変更頻度、冗長化、運用者のスキル、障害時の予測しやすさを踏まえて使い分けます。

ルーティングテーブルの表示例

Cisco IOS系の例では、show ip routeでIPv4ルーティングテーブルを確認できます。 次の出力には、直接接続、スタティック、OSPFで学習した経路が混在しています。

R1# show ip route Gateway of last resort is 192.0.2.1 to network 0.0.0.0 C 10.0.12.0/30 is directly connected, GigabitEthernet0/0 L 10.0.12.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0 O 192.168.20.0/24 [110/10] via 10.0.12.2, 00:02:15, GigabitEthernet0/0 O 192.168.30.0/24 [110/20] via 10.0.12.2, 00:02:15, GigabitEthernet0/0 S* 0.0.0.0/0 [1/0] via 192.0.2.1
O OSPFから学習した経路であることを示します。
192.168.30.0/24 到達先のネットワークプレフィックスです。
[110/20] Cisco IOS系の例では、110がAdministrative Distance、20がOSPFメトリックです。
via 10.0.12.2 次に転送するネクストホップです。
00:02:15 表示される時間の意味は経路種別やOSにより異なります。ここでは経路情報の更新後経過時間として読みます。
GigabitEthernet0/0 パケットを出力するインターフェースです。

出力から読み取る順番

  1. 対象の宛先プレフィックスが存在するか 期待する経路がなければ、経路学習・広告・フィルタリング・隣接関係を確認します。
  2. どの情報源から学習した経路か O、S、Cなどのコードを見て、動的・静的・直接接続を区別します。
  3. ネクストホップと出力インターフェースは想定どおりか 構成図と照合し、主系・待機系・誤った方向を判断します。
  4. 優先度とメトリックは設計どおりか 同じ宛先の候補経路や、別ルーターの表示と比較します。

コマンド、経路コード、表示順、優先度の名称と初期値は、ベンダー・OS・バージョンによって異なります。 実機ではヘルプ、コマンドリファレンス、設計書を確認してください。

どの方式を選ぶか

動的ルーティングの採用判断では、ルーター台数だけでなく、 障害時の切り替え、変更頻度、運用体制、設計の複雑さを確認します。

動的ルーティングを検討しやすい条件

  • 複数のルーターや拠点がある
  • 主経路と代替経路がある
  • ネットワークの追加・変更が発生する
  • 障害時に自動的な経路切り替えが必要
  • 経路を一元的なルールで制御したい

スタティック中心も有効な条件

  • ルーターが少なく、構成がほぼ固定
  • 通信経路が1方向だけである
  • 動的な経路交換を行いたくない境界がある
  • 経路を明示的・限定的に管理したい
  • 障害時の対応方法が別に確立している

設計時に確認する項目

確認項目 確認する内容
広告するネットワーク どのプレフィックスを、どこまで伝えるか
隣接関係 どのインターフェースで、どのルーターと情報交換するか
主系・待機系 通常時に使う経路と、障害時に使う経路をどう決めるか
障害検知・収束 どの障害を、どの程度の時間で検知・切り替える必要があるか
経路集約 経路数を減らし、障害影響やルーティングテーブルを整理できるか
認証・フィルタリング 不正・不要な隣接や経路受信をどう防ぐか
監視 隣接状態、経路数、経路変化、CPU・ログをどう監視するか

顧客・上司への説明例

説明例

本構成では拠点間に複数経路があり、障害時も通信を継続する必要があるため、 ルーター間で経路情報を自動交換する動的ルーティングを採用します。 通常時はメトリックの小さい主回線を利用し、主回線の障害検知後は代替回線へ経路を再計算します。 ただし、切り替えには障害検知と収束の時間が必要なため、試験で実測し、業務要件を満たすことを確認します。

動的ルーティングに関するよくある勘違い

動的ルーティングを有効にすれば、すべての経路を自動で正しく学習できる

広告対象、隣接関係、エリア、フィルタリング、認証、インターフェース設定などが正しくなければ、 期待する経路は学習されません。誤った経路を広告する可能性もあります。

障害が起きれば、通信は必ず無停止で代替経路へ切り替わる

障害検知、情報通知、経路再計算、テーブル反映には時間がかかります。 収束中にパケットロスが発生する可能性があります。

メトリックが小さい経路は、異なるプロトコルの経路より必ず優先される

メトリックは基本的に同じプロトコル内で比較します。 異なる情報源の比較では、機器が持つ経路情報源の優先度が使われます。

OSPFネイバーが確立していれば、必要な経路も必ず登録されている

隣接関係が正常でも、広告範囲、LSA、経路フィルター、経路種別、より優先される別経路などにより、 期待する経路がルーティングテーブルへ入らない場合があります。

動的ルーティングを使うなら、スタティックルートは不要

デフォルトルート、管理用経路、特定宛先、バックアップ経路など、 設計意図に応じて併用することがあります。

プロトコル状態とルーティングテーブルを分けて確認する

隣接関係、受信した経路情報、選択された経路、実際のネクストホップを段階的に確認すると、 問題箇所を切り分けやすくなります。

理解度チェック

次の6問に答えてください。解答を見る前に、 「情報交換」「経路選択」「ルーティングテーブル」「収束」のどの処理かを意識しましょう。

問題1.動的ルーティングの説明として最も適切なものはどれですか。

  1. ルーターが宛先IPアドレスを書き換える仕組み
  2. 管理者がすべての経路を手作業で登録する方式
  3. ルーター同士が経路情報を交換し、経路を自動学習・更新する仕組み
  4. スイッチがMACアドレスを学習する仕組み
解答を見る
正解:C

動的ルーティングでは、ルーティングプロトコルを使って経路情報を交換し、 宛先までの経路を選択・更新します。

問題2.ルーティングプロトコルが経路情報を交換する主な目的は何ですか。

解答を見る

他のルーターが保持する到達可能なネットワークやトポロジー情報を学習し、 利用する経路を計算してルーティングテーブルへ反映するためです。

問題3.同じOSPFプロセスから同じ宛先への経路を2つ学習した場合、候補比較に使われる代表的な値は何ですか。

解答を見る
OSPFコストです。

同じOSPF内の経路候補は、OSPFのメトリックであるコストを基に比較します。 条件が同じ場合は、等コスト経路として複数登録されることがあります。

問題4.「収束」とはどのような状態ですか。

解答を見る

ネットワークの変化後に、関係するルーターの経路情報が更新され、 新しい状態に基づく転送が安定した状態です。

問題5.次のCisco IOS系の経路表示を読み取ってください。

O 192.168.50.0/24 [110/30] via 10.0.12.2, GigabitEthernet0/0

①経路情報源 ②宛先ネットワーク ③Administrative Distance ④メトリック ⑤ネクストホップを答えてください。

解答を見る
  • ① OSPF
  • ② 192.168.50.0/24
  • ③ 110
  • ④ 30
  • ⑤ 10.0.12.2

問題6.動的ルーティングを利用していても、通信断が発生する可能性がある理由を2つ挙げてください。

解答例を見る
  • 障害検知に時間がかかる場合がある
  • 経路情報の通知、再計算、テーブル反映に時間がかかる
  • 代替経路が存在しない、または利用条件を満たしていない
  • 収束中に一時的なループや到達不能が発生する
  • 動的ルーティング以外のACL、物理障害、戻り経路などに問題がある

実践演習:障害時の経路切り替えを考えよう

次のネットワークでは、R1から拠点LAN 192.168.30.0/24 への経路を、 OSPFで2つ学習しています。

演習用ネットワーク

🏢 本社LAN 192.168.10.0/24
📡 R1 送信元ルーター
↗ 主経路
コスト20

↘ 代替経路
コスト50
📡 R2/R3 2つの経路候補
🏬 拠点LAN 192.168.30.0/24
R2経由:OSPFコスト20 / R3経由:OSPFコスト50

通常時のルーティングテーブル

R1# show ip route 192.168.30.0 O 192.168.30.0/24 [110/20] via 10.0.12.2, GigabitEthernet0/0

課題1.通常時にR1が利用する経路を答える

R2経由とR3経由のどちらが選ばれていますか。また、その理由を説明してください。

選ばれる経路:__________
理由:__________________________
課題1の解答を見る

R2経由です。

同じOSPFで学習した同一宛先の候補を比較すると、 OSPFコスト20のR2経由が、コスト50のR3経由より優先されるためです。

課題2.R1-R2間のリンク障害後に起こる処理を並べる

次の処理を、一般的に起こる順番へ並べ替えてください。

  1. R3経由の経路がルーティングテーブルへ反映される
  2. R1がR1-R2間の障害を検知する
  3. 新しい候補経路を計算する
  4. 関係するルーターへトポロジー変化が伝わる
  5. R1-R2間のリンクで障害が発生する
__ → __ → __ → __ → __
課題2の解答を見る

E → B → D → C → A

実際の内部処理や通知順序には機器・プロトコル依存がありますが、 「障害発生 → 検知 → 通知 → 再計算 → テーブル反映」と整理できます。

課題3.障害後の表示を読み取る

R1# show ip route 192.168.30.0 O 192.168.30.0/24 [110/50] via 10.0.13.2, GigabitEthernet0/1

障害後、何が変化しましたか。宛先、メトリック、ネクストホップ、出力インターフェースを比較してください。

変化した項目:__________________________
変化していない項目:_______________________
課題3の解答を見る
  • 変化した項目:メトリック20→50、ネクストホップ10.0.12.2→10.0.13.2、出力インターフェースGi0/0→Gi0/1
  • 変化していない項目:経路情報源OSPF、宛先192.168.30.0/24、Administrative Distance 110

課題4.代替経路へ切り替わらなかった場合の確認項目

R2経由が停止した後もR3経由の経路がルーティングテーブルへ登録されませんでした。 確認すべき項目を4つ以上挙げてください。

例:R1とR3のOSPFネイバー状態を確認する
課題4の解答例を見る
  • R1とR3のインターフェースがLink Upしているか
  • R1とR3のOSPFネイバーが確立しているか
  • R3が192.168.30.0/24をOSPFへ広告しているか
  • エリア、ネットワークタイプ、認証などの設定が一致しているか
  • 経路フィルタリングで受信・登録を拒否していないか
  • より具体的な経路や別の情報源の経路が存在しないか
  • R3から宛先LANまでの経路が正常か
  • 戻り経路が存在するか
  • ログに隣接断や経路計算エラーがないか

課題5.調査結果を報告文にする

次の情報を使い、原因・影響・現在の状態を3~5文で報告してください。

  • 10時15分にR1-R2間リンクがDown
  • R1はR2経由のOSPF経路を削除
  • 5秒後にR3経由の経路を登録
  • 切り替え中に数秒のping欠損を確認
  • 現在はR3経由で通信継続中
ここに調査結果の報告文を書いてみましょう。
課題5の回答例を見る

10時15分にR1-R2間リンクがDownし、R1からR2経由のOSPF経路が削除されました。 障害検知後、R1は代替となるR3経由の経路を再計算し、約5秒後にルーティングテーブルへ登録しています。 経路収束中に数秒間のping欠損を確認しましたが、現在はR3経由で通信を継続しています。 引き続きR1-R2間リンクの物理状態と障害原因を調査します。

自分の言葉で説明する課題

ネットワークを学び始めた後輩から、 「スタティックルートがあるのに、なぜ動的ルーティングを使うのですか?」と質問されました。 1分程度で説明してください。

動的ルーティングを使う理由は、________________________________。
説明例を見る

スタティックルートは管理者が宛先ごとに設定するため、小規模で固定された構成では分かりやすい方式です。 ただし、ルーターや経路が増えると設定・変更の負担が大きくなります。 動的ルーティングでは、ルーター同士が経路情報を交換し、現在の構成に合わせて経路を計算できます。 障害時には代替経路を再計算できますが、検知と収束には時間がかかるため、要件に合わせた設計と試験が必要です。

「自動だから便利」だけで終わらせず、 「経路情報の交換」「経路選択」「状態変化への追従」「収束時間」という要素を含めて説明できれば、この記事の目標は達成です。

まとめ

  • 動的ルーティングは、ルーター同士が経路情報を交換し、経路を自動学習・選択・更新する仕組み
  • ルーティングプロトコルは経路制御を行い、実際のパケット転送ではルーティングテーブルを参照する
  • 基本動作は、相手の認識、情報交換、経路選択、状態変化への追従に分けて考える
  • IGPは組織内部で使われ、代表例にはOSPF、IS-IS、RIPなどがある
  • 最長一致、経路情報源の優先度、メトリックは役割が異なる
  • メトリックはプロトコルごとに意味が異なり、異なるプロトコル間で単純比較しない
  • 障害時は、障害検知、通知、再計算、テーブル反映を経て収束する
  • 収束中には一時的なパケットロスや到達不能が発生する可能性がある
  • 動的、スタティック、デフォルトルートは、構成と要件に応じて併用できる

動的ルーティングを理解するポイントは、経路が「自動で入る」と覚えるのではなく、 情報交換から収束までの処理を順番に追えるようになることです。

次の記事:OSPFの基本

今回は、動的ルーティング全体の考え方を学びました。

次の記事では、企業ネットワークで広く使われるリンクステート型ルーティングプロトコルのOSPFについて、 Router ID、エリア、ネイバー、LSA、リンクステートデータベース、SPF計算の関係を図解します。

参考資料

  • RFC 2328:OSPF Version 2
  • RFC 2453:RIP Version 2
  • 利用機器・OSのルーティングプロトコル設定ガイド、コマンドリファレンス

実機のコマンド、既定値、収束動作、対応機能は、ベンダー・機種・OS・バージョンによって異なります。

ネットワーク中級編 15/全50記事

中級編では、VLAN、STP、ルーティング、OSPF、セキュリティ、パケット解析、 障害切り分けを順番に学びます。

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