この記事は、 「ネットワーク中級編|構築・検証・障害切り分けを身につける」 の第9回です。
前回までに学んだSTPとルートブリッジ選出を土台として、 RSTPがループを防ぎながら通信経路を素早く切り替える仕組みを学びます。
RSTPとは?STPとの違い・ポート役割・高速収束の仕組みを図解
RSTPは、レイヤー2ループを防ぐというSTPの役割を引き継ぎながら、 障害時の経路切り替えを高速化したプロトコルです。 この記事では、ポートの役割と状態、Edge・Point-to-Point、 Proposal/Agreement、Cisco機器での設定・確認方法まで順番に解説します。
STPはレイヤー2ループを防ぐ重要な仕組みですが、従来のSTPでは、 障害後にポートが通信を転送できるようになるまで長い時間を要する場合があります。
音声通話、オンライン会議、業務システムなどを利用している環境では、 数十秒の通信断でも大きな影響になります。 そこで登場したのが、RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)です。
この記事を読み終えるとできること
- RSTPの目的をSTPとの違いから説明できる
- Root・Designated・Alternate・Backupを区別できる
- Discarding・Learning・Forwardingを読み取れる
- Edge・Point-to-Point・Sharedの意味を説明できる
- Proposal/Agreementによる高速収束を説明できる
show spanning-treeの基本出力を読み取れる
RSTPとは何か
RSTPとは、レイヤー2ループを防ぎながら、 障害や構成変更後のスパニングツリーを従来のSTPより速く再構成するプロトコルです。
RSTPはRapid Spanning Tree Protocolの略で、 IEEE 802.1wとして標準化された高速スパニングツリーです。 現在は関連するブリッジ機能の標準へ統合されています。
RSTPが行う基本的な仕事は、従来のSTPと同じです。
- BPDUを交換してレイヤー2のトポロジーを把握する
- ルートブリッジを選出する
- 各スイッチでルートポートを選ぶ
- 各セグメントで指定ポートを選ぶ
- 冗長経路の一部を転送対象外にしてループを防ぐ
RSTPは、STPと別の目的を持つプロトコルではありません。
最終的に作るループのない論理トポロジーは基本的に同じです。 大きく異なるのは、ポート役割を明確にし、隣接スイッチ同士で状態を確認しながら、 転送開始までの待ち時間を短縮する点です。
RSTPでもルートブリッジの選出基準は同じ
RSTPでも、最も小さいBridge IDを持つスイッチがルートブリッジになります。 Bridge IDは、ブリッジプライオリティとMACアドレスなどから構成されます。
つまり、前の記事で学んだ ルートブリッジ選出 の考え方は、そのままRSTPでも使用できます。
RSTPはなぜ高速に収束できるのか
従来のSTPでは、ループがないことを確認するために、 タイマーを使いながらListening、Learning、Forwardingへ段階的に移行します。 そのため、状況によっては通信再開まで数十秒かかることがあります。
RSTPは、単純にタイマーを短くしただけではありません。 次の仕組みを組み合わせて収束を高速化しています。
代替経路を事前に把握
Alternateポートとして待機している経路を把握し、 現用経路の障害時に新しいRootポート候補として利用します。
隣接スイッチと合意
Point-to-PointリンクではProposal/Agreementを交換し、 ループがないことを隣接スイッチ間で確認して転送を開始します。
Edgeポートを即時転送
PCやサーバーだけが接続されるEdgeポートは、 通常の収束待ちを省略してForwardingへ移行できます。
各スイッチがBPDUを送信
RSTPでは各スイッチが自分の情報を含むBPDUを定期的に送信し、 隣接関係の異常を能動的に検出します。
RSTPなら必ず瞬断ゼロになるわけではありません。
物理障害の検出方法、トポロジー、機器性能、Legacy STPとの接続、 Sharedリンクの有無などによって収束時間は変わります。 「RSTPだから必ず1秒未満」と断定せず、実機試験で確認することが重要です。
STPとRSTPの違い
| 比較項目 | 従来のSTP | RSTP |
|---|---|---|
| 代表的な標準 | IEEE 802.1Dの従来方式 | IEEE 802.1wを基礎とする高速方式 |
| 主な目的 | レイヤー2ループの防止 | レイヤー2ループの防止と高速な再収束 |
| ルートブリッジ選出 | Bridge IDで選出 | 基本的に同じ |
| ポート役割 | Root・Designated・Non-Designatedなど | Root・Designated・Alternate・Backup |
| ポート状態 | Disabled・Blocking・Listening・Learning・Forwarding | Discarding・Learning・Forwarding |
| 転送開始の判断 | 主にタイマーを利用 | 役割・リンク種別・Proposal/Agreementを活用 |
| 障害時の代替経路 | 再計算と状態遷移を待つ場合がある | Alternateポートを素早く利用できる |
| 端末接続ポート | PortFastなどの拡張機能を利用 | 標準概念としてEdgeポートを持つ |
| 旧STPとの接続 | STPとして動作 | 互換性を持つが、境界では高速性が制限されることがある |
CiscoのRapid PVST+は、RSTPの仕組みを基礎として、 VLANごとにスパニングツリーを動作させるCisco独自方式です。
標準のRSTP、Rapid PVST+、MSTPを混同せず、 使用する機器と設計方針に合わせて確認してください。
RSTPの基本トポロジー
3台のスイッチを三角形に接続した例で、 RSTPがどのようにループを防ぐか確認します。
3台のスイッチで構成するRSTP
SW1がルートブリッジです。 SW2とSW3は、それぞれSW1へ最も低いRoot Path Costで到達できるポートをRootポートにします。
SW2とSW3の間では、より優れたBPDUを送信できる側がDesignatedポートになります。 反対側はAlternateポートとなり、通常時はDiscarding状態でユーザーフレームを転送しません。
Alternateポートは「使われていない不要なポート」ではありません。 現用のRootポートに障害が発生したときに、 ルートブリッジへ到達する代替経路として素早く利用するための待機ポートです。
RSTPの4つのポート役割
RSTPを理解するときは、 ポート役割(Role)と ポート状態(State)を分けて考えることが重要です。
ルートポート
非ルートブリッジからルートブリッジへ向かう、 最も優れた経路上のポートです。
基本状態:Forwarding
指定ポート
そのセグメントで最も優れたBPDUを送信するポートです。 ルートブリッジ上の有効ポートは原則としてDesignatedです。
基本状態:Forwarding
代替ポート
別のブリッジを経由してルートブリッジへ到達できる代替経路です。 Rootポート障害時の候補になります。
基本状態:Discarding
バックアップポート
同じスイッチから同じ共有セグメントへ複数接続した場合の冗長ポートです。 現代の全二重スイッチ構成では見かける機会が少ない役割です。
基本状態:Discarding
AlternateとBackupの違い
| 項目 | Alternateポート | Backupポート |
|---|---|---|
| 受信する優れたBPDU | 別のスイッチから受信する | 同じスイッチの別ポートから回り込んだBPDUを受信する |
| 提供する冗長性 | ルートブリッジへ向かう別経路 | 同一共有セグメントへの冗長接続 |
| 実務での出現頻度 | 三角構成などでよく見かける | 共有媒体が少ないため比較的まれ |
現場での読み方
Altn BLKと表示されたポートを見つけても、
直ちに障害とは判断しません。
冗長構成において意図的に待機している正常な状態である可能性があります。
構成図、Root ID、Rootポート、Designatedポートと合わせて判断します。
RSTPの3つのポート状態
ループを防ぐため、ユーザーフレームを転送しない状態です。
- フレーム転送:しない
- MAC学習:しない
- BPDU処理:行う
転送開始に備えて送信元MACアドレスを学習する状態です。
- フレーム転送:しない
- MAC学習:行う
- BPDU処理:行う
通常のユーザーフレームを転送できる状態です。
- フレーム転送:行う
- MAC学習:行う
- BPDU処理:行う
STPの5状態はRSTPで3状態に整理された
| 従来のSTP状態 | RSTPで対応する状態 | ユーザーフレーム転送 | MACアドレス学習 |
|---|---|---|---|
| Disabled | Discarding | しない | しない |
| Blocking | しない | しない | |
| Listening | しない | しない | |
| Learning | Learning | しない | 行う |
| Forwarding | Forwarding | 行う | 行う |
Cisco IOS系の表示では、RSTPを使用していても、
Alternateポートの状態がBLKと表示されることがあります。
これはCLI上の表示名であり、RSTPの考え方ではDiscarding状態に相当します。 プロトコル、Role、Stateをまとめて読み取ってください。
Edge・Point-to-Point・Sharedの違い
RSTPでは、ポートの接続先やリンク特性に応じて、 転送状態へ移行する方法を変えます。
Edgeポート
PC、サーバー、プリンターなどの終端機器を接続するポートです。 ループを作るスイッチが接続されていない前提で、素早くForwardingへ移行します。
Ciscoの代表機能:PortFast
Point-to-Pointポート
一般に全二重で、2台のスイッチが直接接続されるリンクです。 Proposal/Agreementを使った高速な状態遷移が可能です。
実務例:スイッチ間の全二重リンク
Sharedポート
ハブなどの共有媒体へ接続される半二重リンクを想定します。 隣接相手を1台に限定できないため、Point-to-Pointほど高速な合意処理を使えません。
実務例:旧式の共有Ethernet
スイッチ間リンクを誤ってEdgeポートにしないでください。
Edgeポートは端末接続を前提に転送を早める設定です。 スイッチやブリッジが接続されるポートで誤用すると、 一時的なループやブロードキャストストームにつながる危険があります。
EdgeポートにはBPDU Guardを組み合わせる
端末だけが接続されるはずのポートでBPDUを受信した場合、 小型スイッチの持ち込みや誤配線が発生している可能性があります。
そのため、Cisco環境ではPortFastを有効にしたアクセスポートへ BPDU Guardを組み合わせる設計がよく使われます。 ただし、停止時の復旧方法や運用影響を決めてから導入してください。
Proposal/Agreementによる高速収束
RSTPの高速収束を理解するうえで重要なのが、 Proposal(提案)と Agreement(合意)です。
- 上流スイッチがProposalを送る Designatedポートから、隣接スイッチへ新しい接続関係を提案します。
- 下流スイッチがRootポート候補を判断する 受信したBPDUが最も優れていれば、その受信ポートをRootポートとして選択します。
- 下流スイッチが他の非Edge経路を同期する ループを作る可能性があるDesignatedポートを一時的にDiscardingへ移し、 新しい上流経路と矛盾しない状態にします。
- 下流スイッチがAgreementを返す ループを起こさずに新しい経路を使えることを上流スイッチへ通知します。
- 対象ポートが素早くForwardingへ移行する 従来のSTPのように長いタイマーを待たず、合意に基づいて転送を開始します。
Proposal/Agreementは、Point-to-Pointリンクで高速に収束するための仕組みです。 「タイマーが短いから速い」のではなく、 隣接スイッチ同士でループがない状態を確認できるため速く切り替えられます。
障害時の経路切り替え
直接接続されたRootポートがリンクダウンした場合
SW3のRootポートが物理的にリンクダウンし、 SW2側のポートがAlternateとして待機していたとします。
リンクダウンを検出
既知の代替経路を評価
AlternateをRootへ変更
新経路でForwarding
RSTPはAlternateポートをすでに把握しているため、 新しいRootポートとして素早く切り替えられます。 これが、RSTPの高速収束を実感しやすい代表例です。
リンク自体はUpのまま、上流だけが停止した場合
すべての障害を物理リンクダウンとして即座に検出できるわけではありません。 途中の装置停止や一方向障害などでは、 BPDUが一定回数届かないことを確認してから異常と判断する場合があります。
RSTPでは、標準的な初期値でHello Timeが2秒の場合、 連続したBPDU欠落を基に数秒程度で隣接情報を失効させることがあります。 ただし、機器・設定・障害形態によって実際の時間は異なります。
障害試験では「ケーブルを抜く」だけでは不十分です。
ポートダウン、対向機器の電源断、片方向通信障害、 上流リンクのみの障害など、検出方法が異なるケースを分けて試験します。 収束時間はpingだけでなく、ログ、STPの状態変化、アプリケーション影響も記録します。
トポロジー変更とMACアドレステーブル
経路が切り替わると、以前のポートで学習したMACアドレス情報が古くなる場合があります。 RSTPはトポロジー変更を通知し、必要な動的MACエントリを早く見直せるようにします。
STPの役割変更が完了しても通信が戻らない場合は、 MACアドレステーブル、ARP、EtherChannel、VLAN、物理リンクの状態も確認します。
Cisco機器での設定と確認
コマンド構文、初期モード、表示内容は、 機種・OS・ソフトウェアバージョンによって異なります。 本番機器では、対象製品の公式ドキュメントと現行設定を確認してください。
Rapid PVST+を有効にする例
Switch# configure terminal
Switch(config)# spanning-tree mode rapid-pvst
Switch(config)# end
Switch# write memory
spanning-tree mode rapid-pvstを設定すると、
Cisco IOS系ではVLANごとにRSTPを基礎としたRapid PVST+が動作します。
端末接続ポートをPortFastにする例
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/10
Switch(config-if)# switchport mode access
Switch(config-if)# spanning-tree portfast
Switch(config-if)# spanning-tree bpduguard enable
Switch(config-if)# end
PortFastは、PCやサーバーなどの終端機器を接続するポートに限定します。 スイッチ間リンク、意図不明な配線、将来スイッチが接続される可能性があるポートでは、 設計を確認してから使用してください。
代表的な確認コマンド
全体を確認
Root ID、Bridge ID、各VLAN・各ポートの役割と状態を確認します。
特定VLANを確認
VLAN 10のルートブリッジ、Rootポート、Alternateポートなどを確認します。
ポート詳細を確認
ポート役割、状態、リンク種別、BPDU送受信、変更回数などを確認します。
設定を確認
モード、VLANプライオリティ、PortFast、BPDU Guardなどを確認します。
show spanning-tree vlan 10の出力例
SW3# show spanning-tree vlan 10
VLAN0010
Spanning tree enabled protocol rstp
Root ID Priority 24586
Address 0011.2233.4400
Cost 4
Port 1 (GigabitEthernet1/0/1)
Bridge ID Priority 32778
Address 00aa.bbcc.dd30
Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type
------------------- ---- --- --------- -------- ----------------
Gi1/0/1 Root FWD 4 128.1 P2p
Gi1/0/2 Altn BLK 4 128.2 P2p
Gi1/0/10 Desg FWD 4 128.10 P2p Edge
- protocol rstp
- RSTPを基礎とするモードで動作していることを示します。
- Root ID
- 現在認識しているルートブリッジのBridge IDです。
- Cost 4
- このスイッチからルートブリッジまでのRoot Path Costです。
- Port Gi1/0/1
- ルートブリッジへ向かうRootポートです。
- Root FWD
- RootポートとしてForwarding状態です。
- Altn BLK
- Alternateポートとして待機中です。RSTPのDiscarding相当と読み取ります。
- P2p Edge
- Point-to-Pointとして扱われ、かつ端末向けEdgeポートとして動作しています。
確認する順番
-
使用プロトコルを確認する
protocol rstpや設定モードを確認し、STP・Rapid PVST+・MSTPのどれかを特定します。 - Root IDを確認する 設計どおりのスイッチがルートブリッジになっているか確認します。
- Rootポートを確認する 非ルートスイッチが、想定した上流リンクをRootポートとして選んでいるか確認します。
- Alternateポートを確認する 冗長経路が意図したポートで待機しているか確認します。
- リンク種別とEdge設定を確認する スイッチ間リンクがP2p、端末向けポートがEdgeとして認識されているか確認します。
- 障害試験で役割変更を確認する 現用経路を停止し、AlternateがRootへ変わることと通信影響を記録します。
設計・運用上の注意点
1.ルートブリッジを意図的に決める
RSTPにしてもルートブリッジが自動的に最適配置されるわけではありません。 上位・集約スイッチをPrimary、別系統をSecondaryとして設計します。
2.物理帯域だけで経路を決めつけない
Root Path Cost、Bridge ID、Port IDによって役割が決まります。 「40Gだから必ずForwarding」「10Gだから必ずBlocking」とは限りません。
3.Legacy STPとの境界を確認する
RSTPは従来STPとの互換性を持ちますが、 旧STPとして動作する区間では高速収束の利点が制限されることがあります。
4.PortFastを一括設定しない
端末ポートか、スイッチ間ポートかを確認せずに有効化すると危険です。 インターフェース用途と配線先を照合します。
5.LAGは論理ポートとして確認する
EtherChannelを使用する場合、STPは原則として物理メンバーではなく Port-channelを1本の論理リンクとして扱います。
6.収束時間を実測する
pingの欠損数だけでなく、リンクダウン時刻、Role変更、ログ、 MAC再学習、アプリケーション復旧まで記録します。
障害調査で確認する基本セット
1. 物理リンクとEtherChannelの状態
2. STPモードと対象VLAN
3. Root ID・Bridge ID
4. Root/Designated/Alternateの役割
5. Forwarding/Discardingの状態
6. Root Path CostとPort Cost
7. PortFast・BPDU Guard・Root Guardなどの保護機能
8. VLAN許可状況とNative VLAN
9. MACアドレステーブルの変化
10. ログとトポロジー変更回数
上司・顧客への説明例
現在はRSTPにより、SW3からルートブリッジへ向かう現用リンクと 代替リンクを事前に選出しています。 通常時は代替リンクをDiscarding状態にしてループを防止し、 現用リンク障害時にはAlternateポートをRootポートへ切り替えます。
ただし、切り替え時間は障害の検出方法によって異なるため、 物理断・機器停止・上流断の各ケースで実測し、 業務で許容できる通信断時間に収まることを確認します。
RSTPに関するよくある勘違い
RSTPでもループを防ぐため、冗長経路の一部はユーザーフレームを転送しません。 AlternateやBackupは通常Discarding状態です。
Alternateはルートブリッジへ向かう代替経路です。 冗長構成では意図的に待機させる正常な役割です。
直接リンクダウンを検出できる場合は高速ですが、 間接障害、Legacy STP、Sharedリンクなどでは時間が延びることがあります。
Rootはポートの役割、Forwardingは現在の状態です。 役割と状態は別の情報として読み取ります。
PortFastは終端機器向けポートで使用します。 スイッチ間リンクに誤設定すると、ループ発生時の危険が高まります。
プロトコルを有効にするだけでは、期待した経路や収束時間は保証されません。 Root Bridge、Cost、Role、保護機能、障害パターンを設計・検証します。
理解度チェック
次の6問に答えてください。 解答を見る前に、ポートの「役割」と「状態」を分けて考えましょう。
問題1.RSTPの主な目的として最も適切なものはどれですか。
- VLANタグを付与する
- IPルーティングを高速化する
- レイヤー2ループを防ぎ、トポロジー変更後の収束を高速化する
- MACアドレスを暗号化する
解答を見る
RSTPはSTPと同じくレイヤー2ループを防ぎながら、 障害や構成変更後の経路切り替えを高速化します。
問題2.Rootポート障害時の代替経路として利用される役割はどれですか。
- Designated
- Alternate
- Edge
- Shared
解答を見る
Alternateポートは、別のブリッジを経由してルートブリッジへ向かう代替経路です。
問題3.Discarding状態の動作として正しいものはどれですか。
- ユーザーフレームを転送し、MACアドレスも学習する
- ユーザーフレームは転送しないが、MACアドレスは学習する
- ユーザーフレームを転送せず、MACアドレスも学習しない
- BPDUを一切処理しない
解答を見る
Discarding状態では、ユーザーフレームの転送とMAC学習を行いません。 ただし、STP/RSTPの制御に必要なBPDUは処理します。
問題4.次の出力から、Gi1/0/2をどのように判断できますか。
Interface Role Sts Cost Type
Gi1/0/2 Altn BLK 4 P2p
解答を見る
Gi1/0/2はPoint-to-Pointリンク上のAlternateポートで、 現在はユーザーフレームを転送しない待機状態です。 RSTPの考え方ではDiscarding相当です。
問題5.Proposal/Agreementを使いやすいリンク種別はどれですか。
- Edge
- Point-to-Point
- Shared
- Loopback
解答を見る
2台のスイッチが直接接続されるPoint-to-Pointリンクでは、 隣接スイッチ間のProposal/Agreementによって高速に状態遷移できます。
問題6.PortFastを有効にするポートとして最も適切なものはどれですか。
- 2台のスイッチを接続するトランクポート
- ループ構成の冗長リンク
- PCだけが接続されるアクセスポート
- 接続先が不明な予備ポート
解答を見る
PortFastは、スイッチが接続されずループを形成しない終端機器向けポートで使用します。
実践演習:Rootポート障害後の変化を読み取る
SW1をルートブリッジとする三角構成で、SW3の状態が次のようになっています。
SW3# show spanning-tree vlan 10
Interface Role Sts Cost Type
------------------- ---- --- ----- --------
Gi1/0/1 Root FWD 4 P2p
Gi1/0/2 Altn BLK 4 P2p
Gi1/0/10 Desg FWD 4 P2p Edge
課題1.現在の役割を説明する
Gi1/0/1、Gi1/0/2、Gi1/0/10の役割と状態を説明してください。
Gi1/0/2:
Gi1/0/10:
課題1の解答を見る
- Gi1/0/1:Rootポート、Forwarding。ルートブリッジへ向かう現用経路
- Gi1/0/2:Alternateポート、Discarding相当。代替経路として待機
- Gi1/0/10:Designatedポート、Forwarding。端末向けEdgeポート
課題2.Gi1/0/1がリンクダウンした後を予測する
Gi1/0/1がリンクダウンし、Gi1/0/2の先からルートブリッジへ到達できる場合、 Gi1/0/2の役割と状態はどのように変化すると考えられますか。
状態:__________
理由:________________________
課題2の解答を見る
役割:Rootポート
状態:Forwarding
Gi1/0/2はAlternateとしてルートブリッジへの代替経路を持っていたため、 現用Rootポートの障害後に新しいRootポートとして選ばれます。
課題3.切り替わらない場合の確認項目
Gi1/0/1を停止してもGi1/0/2がForwardingへ変化しません。 確認すべき項目を5つ挙げてください。
2.
3.
4.
5.
課題3の解答例を見る
- Gi1/0/2と対向ポートが物理的にlink upしているか
- 対象VLANがトランクで許可されているか
- Gi1/0/2のPort CostやPort Priorityが想定どおりか
- 対向スイッチが正しいRoot IDを認識しているか
- EtherChannel不一致、BPDU Guard、Root Guardなどで停止していないか
- Legacy STPとの接続やプロトコル不一致がないか
- 一方向障害やBPDU欠落が発生していないか
課題4.調査結果を文章で報告する
次の条件を含めて、作業結果を3〜5文で報告してください。
- 障害前:Gi1/0/1がRoot FWD、Gi1/0/2がAltn BLK
- 障害操作:Gi1/0/1をshutdown
- 障害後:Gi1/0/2がRoot FWDへ変化
- 通信影響:pingが2回欠損した後に回復
報告例を見る
VLAN 10では、障害前にSW3のGi1/0/1がRootポートとしてForwarding、 Gi1/0/2がAlternateとして待機していました。 Gi1/0/1をshutdownしたところ、Gi1/0/2がRootポートへ変化し、 Forwarding状態へ移行しました。 切り替え中にpingが2回欠損しましたが、その後は代替経路で疎通が回復しています。 RSTPによる冗長経路への切り替えは正常と判断します。
自分の言葉で説明する課題
「STPとRSTPは何が違うのですか?」と、 STPの基礎を知っている後輩から質問されました。 1分程度で説明してください。
説明例を見る
STPとRSTPは、どちらも冗長なレイヤー2ネットワークでループを防ぐ仕組みです。 ルートブリッジの選出や最終的な論理トポロジーは基本的に同じですが、 RSTPはAlternateポートとして代替経路を事前に把握し、 Point-to-PointリンクでProposal/Agreementを交換することで、 従来のSTPより素早くForwardingへ切り替えられます。 ただし、障害形態や旧STPとの接続によって切り替え時間は変わるため、 実際の構成で試験する必要があります。
まとめ
- RSTPは、レイヤー2ループを防ぎながらSTPより高速な再収束を目指すプロトコル
- ルートブリッジの選出基準や最終的なループのないトポロジーはSTPと基本的に同じ
- ポート役割はRoot、Designated、Alternate、Backupの4つ
- ポート状態はDiscarding、Learning、Forwardingの3つ
- AlternateポートはRootポート障害時に利用できる代替経路
- Point-to-PointリンクではProposal/Agreementによって高速に状態遷移できる
- 端末向けEdgeポートは素早くForwardingへ移行できる
- PortFastは端末向けポートに限定し、必要に応じてBPDU Guardを組み合わせる
- RSTPでも収束時間は障害形態や構成によって異なるため、実機試験が必要
- CLIではRole、State、Type、Root IDをまとめて読み取る
RSTPを理解するポイントは、 「どのポートが転送するか」だけでなく、 「どの役割のポートが、どの状態で、障害時にどう変化するか」を追うことです。
参考資料
製品ごとのコマンド、既定値、表示、対応機能は異なります。 実環境へ設定する際は、対象機種とソフトウェアバージョンの公式ドキュメントを確認してください。

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