対象レベル:Level 1〜3
想定読了時間:20分
身につく成果:監視経験を設計業務につなげる90日間の学習計画を立て、小規模ネットワークの構成図・設計書・パラメータシートを作成できる
関連スキル:IPアドレス/VLAN/ルーティング/コンフィグ読解/基本設計/詳細設計/試験設計/障害切り分け
「いつまで監視業務を続けるのだろう」
「設計・構築へ進みたいが、何を勉強すればよいか分からない」
「監視経験しかない自分には、設計業務は難しいのではないか」
ネットワーク監視を担当している人の中には、このような不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
監視業務から設計業務へ移るためには、資格を取るだけでは不十分です。
必要なのは、ネットワークの仕組みを理解し、構成を説明し、設計書を作り、レビューを受けられる状態になることです。
本記事では、監視担当者が設計担当を目指すために、90日間で取り組むべき内容を具体的に解説します。
90日後にいきなり大規模ネットワークの設計責任者になることが目的ではありません。
目指すのは、次のような状態です。
- 設計書に書かれている内容を理解できる
- 小規模なネットワーク構成を自分で考えられる
- IPアドレスやVLANの設計ができる
- 設計レビューで自分の考えを説明できる
- 設計・構築案件へ応募するための実績を作れる
現在監視業務を担当している人でも、順番を間違えずに学習すれば、設計担当へ近づくことは十分可能です。
監視担当と設計担当の違い
監視担当と設計担当では、求められる視点が異なります。
監視担当は、すでに稼働しているネットワークの状態を確認し、異常を検知する役割です。
一方、設計担当は、ネットワークが稼働する前に、構成や設定方針を考えます。
| 項目 | 監視担当 | 設計担当 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 異常の検知と報告 | 要件を満たす構成の検討 |
| 扱うもの | アラート、ログ、監視画面 | 要件、構成図、設計書 |
| 判断内容 | 障害かどうか | どの構成を採用するか |
| 必要な視点 | 現在の状態 | 導入後の動作と将来性 |
| 主な成果物 | 障害連絡、監視記録 | 基本設計書、詳細設計書 |
監視業務では、決められた手順に従って対応する場面が多くなります。
設計業務では、複数の選択肢から適切な方式を選び、その理由を説明しなければなりません。
つまり、監視から設計へ移るためには、操作方法だけでなく、判断するための知識を身につける必要があります。
監視担当から設計担当へのスキル移行
flowchart LR
A[監視担当<br>アラート確認] --> B[運用理解<br>通信経路を把握]
B --> C[構築補助<br>設定変更を経験]
C --> D[設計補助<br>設計書を修正]
D --> E[設計担当<br>構成と方式を検討]
A --- A1[ログ確認]
B --- B1[障害切り分け]
C --- C1[コンフィグ作成]
D --- D1[パラメータ設計]
E --- E1[要件から設計]
監視経験は設計業務でも役に立つ
監視経験しかないからといって、これまでの業務が無駄になるわけではありません。
実際には、監視業務で身につけた次の経験は設計でも役立ちます。
- アラートが発生する条件を知っている
- 障害時に確認すべきログを知っている
- 通信断が業務へ与える影響を理解している
- エスカレーションの重要性を理解している
- 正常時と異常時の違いを見分けられる
設計担当は、正常に通信できる構成を考えるだけではありません。
障害が発生した場合に、どのようなアラートが発生するか、どのように切り分けるか、冗長化が正常に動作するかまで考える必要があります。
そのため、現場で障害を見てきた経験は、設計を考えるうえで大きな強みになります。
重要なのは、監視経験を単なる「アラート確認作業」として説明しないことです。
例えば、職務経歴書や面談では次のように言い換えられます。
言い換え前
監視ツールでアラートを確認し、手順書に従って連絡していました。
言い換え後
ネットワーク機器の死活監視、トラフィック監視、インターフェース状態の確認を担当しました。障害発生時にはログと構成情報を確認し、影響範囲を整理したうえで上位担当者へエスカレーションしていました。
同じ経験でも、何を確認し、どのような判断をしていたかを説明すると、設計・構築につながる経験として評価されやすくなります。
90日ロードマップの全体像
90日間を、次の3段階に分けて進めます。
| 期間 | テーマ | 目標 |
|---|---|---|
| 1〜30日目 | 基礎固め | ネットワーク構成と設定内容を理解する |
| 31〜60日目 | 設計書作成 | 小規模構成の設計書を作成する |
| 61〜90日目 | 実務への接続 | レビューと案件応募に使える成果物を作る |
90日ロードマップ
flowchart LR
A[1〜30日目<br>基礎を固める] --> B[31〜60日目<br>設計書を作る]
B --> C[61〜90日目<br>実務へ接続する]
A --> A1[通信の流れを説明]
A --> A2[コンフィグを読む]
A --> A3[検証環境を作る]
B --> B1[要件を整理]
B --> B2[構成図を作成]
B --> B3[パラメータを設計]
C --> C1[レビューを受ける]
C --> C2[成果物を修正]
C --> C3[異動・案件参画を相談]この90日間で重要なのは、インプットだけで終わらせないことです。
動画や参考書を見るだけでは、設計業務ができる状態にはなりません。
各段階で、構成図、設計書、パラメータシートなどの成果物を作成します。
1〜30日目:ネットワーク設計の基礎を固める
最初の30日間では、設計書を作るために必要な基礎知識を身につけます。
資格試験の問題を解くことよりも、実際の通信がどのように流れているかを説明できる状態を目指しましょう。
1週目:現在の業務とネットワーク構成を理解する
最初に行うべきことは、担当している監視対象の構成を理解することです。
可能な範囲で、次の項目を確認します。
- どの拠点とどの拠点が接続されているか
- ルーター、スイッチ、ファイアウォールがどこにあるか
- インターネットへどの経路で接続しているか
- サーバーがどのネットワークに配置されているか
- どの機器をどの監視ツールで監視しているか
- 障害発生時の連絡先と対応範囲
機密情報を持ち出すことはできないため、学習用には実際のIPアドレスや機器名を架空のものへ置き換えます。
1週目の成果物
- 自分が監視している環境の簡略構成図
- アラート発生時の対応フロー
- 各ネットワーク機器の役割一覧
ネットワーク構成図は、最初からきれいに作る必要はありません。
まずは、通信がどこからどこへ流れるのかを矢印で表現できれば十分です。
graph LR
Internet((インターネット)) --- Router[ルーター]
Router --- FW[ファイアウォール]
FW --- L3SW[L3スイッチ]
L3SW --- Server[(サーバー)]
%% 役割の記載
subgraph 役割
Router -.-> R_txt["【経路制御】<br>外部ネットとの接続"]
FW -.-> FW_txt["【通信制御】<br>不正アクセスの遮断"]
L3SW -.-> L3_txt["【VLAN間ルーティング】<br>社内ネットワークの集約"]
Server -.-> S_txt["【データ提供】<br>業務システム・Web等"]
end
%% スタイル設定
style Internet fill:#f9f,stroke:#333,stroke-width:2px
style Router fill:#bbf,stroke:#333,stroke-width:2px
style FW fill:#fbb,stroke:#333,stroke-width:2px
style L3SW fill:#bfb,stroke:#333,stroke-width:2px
style Server fill:#ffd,stroke:#333,stroke-width:2px
style R_txt fill:none,stroke:none
style FW_txt fill:none,stroke:none
style L3_txt fill:none,stroke:none
style S_txt fill:none,stroke:none2週目:IPアドレス、VLAN、ルーティングを復習する
設計担当を目指すなら、次の3項目は避けて通れません。
IPアドレス設計
次の内容を説明できるようにします。
- IPアドレスとサブネットマスク
- ネットワークアドレス
- ブロードキャストアドレス
- 利用可能なホスト数
- デフォルトゲートウェイ
- サブネット分割
特に重要なのは、必要な端末数に応じて適切なサブネットを選べることです。
例えば、端末が20台ある部署に対して、どのサブネットマスクを使用するかを考えます。
VLAN設計
VLANを分ける目的を説明できるようにします。
- 部署ごとにネットワークを分離する
- ブロードキャスト範囲を小さくする
- セキュリティを高める
- 障害や変更の影響範囲を限定する
VLAN番号を決めるだけではなく、なぜその単位で分けるのかを考えることが設計です。
ルーティング設計
最低限、次の違いを理解します。
- スタティックルート
- デフォルトルート
- OSPFなどの動的ルーティング
- 冗長経路
- 経路の優先順位
小規模ネットワークではスタティックルートが適していても、拠点数が増えると運用負荷が高くなります。
設計では、現在の構成だけでなく、将来的な拡張も考える必要があります。
3週目:コンフィグを読めるようにする
設計書と実際の機器設定はつながっています。
設計担当が決めた内容を、構築担当がコンフィグへ反映します。
そのため、設計を担当する場合でも、最低限のコンフィグを読めなければなりません。
Cisco IOSを例にすると、次のような設定を確認します。
interface GigabitEthernet0/1
description To-Access-SW
switchport mode trunk
switchport trunk allowed vlan 10,20,30
この設定から、次の内容を読み取ります。
- 対象インターフェース
- 接続先
- アクセスポートかトランクポートか
- 通過を許可するVLAN
コマンドを丸暗記するのではなく、「設計書のどの項目が、どの設定へ反映されるのか」を意識しましょう。
3週目の成果物
次の項目を含む設定対応表を作ります。
| 設計項目 | 設定内容 |
|---|---|
| ホスト名 | hostname |
| VLAN作成 | vlan |
| ポート設定 | switchport |
| IPアドレス | ip address |
| デフォルトルート | ip route |
| アクセス制御 | access-list |
4週目:検証環境を構築する
知識を定着させるためには、実際にネットワークを作る必要があります。
学習環境としては、次のようなツールを利用できます。
- Cisco Packet Tracer
- EVE-NG
- GNS3
- ベンダーが提供する仮想機器
- クラウド上の検証環境
最初は、次のような小規模構成で十分です。
flowchart LR
PC1[営業部PC<br>VLAN10] --> SW1[アクセススイッチ]
PC2[開発部PC<br>VLAN20] --> SW1
SW1 --> L3[L3スイッチ]
L3 --> R1[ルーター]
R1 --> NET[インターネット]この構成で、次の検証を行います。
- VLAN10とVLAN20を作成する
- アクセスポートを設定する
- トランクポートを設定する
- VLAN間ルーティングを設定する
- デフォルトルートを設定する
- pingとtracerouteで通信を確認する
設定後は、正常に通信できることを確認するだけでは不十分です。
ケーブルを切断したり、VLAN設定を変更したりして、どのような障害が発生するかも確認しましょう。
監視経験がある人は、障害時にどのようなアラートが発生するかを考えながら検証すると、これまでの経験を活かせます。
31〜60日目:設計書を作成する
31日目以降は、知識を使って成果物を作ります。
設計業務では、頭の中に正しい構成が浮かんでいるだけでは評価されません。
第三者が理解できる形で、設計書へ落とし込む必要があります。
5週目:要件を整理する
設計は、機器や技術を選ぶところから始まるわけではありません。
最初に確認するのは、顧客や利用者の要件です。
例として、次のような架空案件を設定します。
従業員50人の新規オフィスへネットワークを導入する。
営業部、開発部、管理部のネットワークを分離する。
社内サーバーとインターネットを利用する。
無線LANを導入し、来客用ネットワークも用意する。
障害発生時にも業務を継続できる構成とする。
この要件から、確認すべき内容を洗い出します。
- 各部署の利用者数
- 利用する端末数
- 必要な通信先
- 無線LANの利用範囲
- セキュリティ要件
- 可用性要件
- 将来の増員予定
- 予算
- 運用担当者
- 監視対象
分からない項目を勝手に決めるのではなく、質問として整理することも設計担当の重要な仕事です。
6週目:基本設計書を作る
基本設計では、ネットワーク全体の方針を決めます。
主に次の内容を記載します。
- ネットワーク構成
- 採用する方式
- VLAN分割方針
- IPアドレス体系
- ルーティング方式
- 冗長化方式
- セキュリティ方針
- 監視方針
- 命名規則
ネットワーク設計業務の流れ
flowchart TD
A[要件ヒアリング] --> B[要件整理]
B --> C[基本設計]
C --> D[詳細設計]
D --> E[構築]
E --> F[試験]
F --> G[運用・監視]
G --> H[障害・改善事項]
H --> B監視業務は、この流れの一番最後に位置しています。
監視担当から設計担当へ移るときは、自分が見ていたアラートや障害が、どのような設計判断によって生まれているのかを逆方向にたどってみましょう。
例えば、回線断で長時間通信できなかった経験があるなら、設計段階では回線冗長化や自動切り替えを検討できます。
7週目:詳細設計書とパラメータシートを作る
詳細設計では、実際に機器へ設定できるレベルまで具体化します。
主な設計項目は次のとおりです。
- 機器名
- インターフェース番号
- IPアドレス
- サブネットマスク
- VLAN番号
- VLAN名
- 接続先
- ルーティング設定
- ACL
- NTP
- DNS
- Syslog
- SNMP
- 管理アクセス方式
パラメータシートの例は次のとおりです。
| 機器名 | インターフェース | IPアドレス | VLAN | 接続先 |
|---|---|---|---|---|
| L3SW01 | VLAN10 | 192.168.10.1/24 | 10 | 営業部 |
| L3SW01 | VLAN20 | 192.168.20.1/24 | 20 | 開発部 |
| L3SW01 | VLAN30 | 192.168.30.1/24 | 30 | 管理部 |
| L3SW01 | VLAN100 | 192.168.100.1/24 | 100 | 管理用 |
パラメータを記載するときは、値を埋めるだけではなく、重複や設定漏れがないか確認します。
設計担当には、設定ミスを事前に防ぐ視点が求められます。

8週目:試験項目を作成する
設計したネットワークが要件を満たしていることを確認するために、試験項目を作成します。
代表的な試験は次のとおりです。
正常性試験
- 同一VLAN内で通信できる
- 異なるVLAN間で通信できる
- インターネットへ接続できる
- DNSで名前解決できる
- NTPで時刻同期できる
セキュリティ試験
- 許可された通信だけが通過する
- 来客用ネットワークから社内へ接続できない
- 管理用ネットワーク以外から機器へログインできない
障害試験
- 回線断時にバックアップ回線へ切り替わる
- 機器障害時に冗長機へ切り替わる
- インターフェースダウンを監視システムが検知する
- 障害ログがSyslogサーバーへ送信される
監視経験者は、障害試験と監視試験で強みを発揮できます。
「障害が起きたときに、運用担当者が何を確認するか」という視点を試験項目へ反映しましょう。
61〜90日目:成果物を実務へつなげる
最後の30日間では、作成した設計書の品質を高め、実際の異動や案件参画につなげます。
9週目:設計書をセルフレビューする
設計書を作成したら、次の観点で確認します。
- 要件がすべて設計へ反映されているか
- 構成図とパラメータシートに矛盾がないか
- IPアドレスが重複していないか
- VLAN番号が重複していないか
- 機器名とインターフェース名が統一されているか
- 障害時の動作が考慮されているか
- 監視項目が定義されているか
- 第三者が読んでも理解できるか
作成直後ではなく、1日程度時間を空けてから確認すると、誤りを発見しやすくなります。
10週目:経験者からレビューを受ける
可能であれば、社内の設計・構築経験者に成果物を見てもらいましょう。
レビューを依頼するときは、単に「見てください」と伝えるのではなく、確認してほしい点を具体的にします。
例えば、次のように依頼します。
小規模オフィスを想定したネットワーク基本設計書を作成しました。
VLANの分割方針、IPアドレス設計、冗長化方式に問題がないか、設計者の視点でレビューしていただけないでしょうか。
指摘を受けたときは、正解だけを教えてもらうのではなく、判断理由を確認することが大切です。
- なぜこの構成では問題があるのか
- どのような条件なら採用できるのか
- 実際の案件では何を確認するのか
- 運用開始後にどのような問題が起きるのか
設計業務では、唯一の正解が存在しないこともあります。
複数の選択肢から、要件、予算、運用性、拡張性を考慮して方式を選びます。
11週目:小さな実務経験を取りにいく
いきなり設計担当への異動が難しい場合は、設計に近い業務から経験します。
例えば、次のような業務です。
- 構成図の修正
- パラメータシートの更新
- IPアドレス管理表の更新
- コンフィグの作成補助
- 手順書の作成
- 試験項目書の作成
- 機器設定のダブルチェック
- 設計レビューへの参加
- 構築作業の立ち会い
「設計案件に入りたいです」と伝えるだけでは、上司も仕事を任せにくい場合があります。
まずは小さな作業を引き受け、設計に必要な知識と正確性があることを示しましょう。
12〜13週目:異動や案件参画を相談する
90日間で作成した成果物と学習記録を整理し、上司や営業担当へ相談します。
相談するときは、希望だけでなく、準備してきた内容も伝えます。
相談時に提示するもの
- 90日間の学習記録
- ネットワーク構成図
- 基本設計書
- 詳細設計書
- パラメータシート
- 試験項目書
- 検証環境の設定内容
- 保有資格や学習中の資格
- 今後担当したい業務
相談例は次のとおりです。
将来的にネットワーク設計・構築を担当したいと考えています。
その準備として、VLAN、IPアドレス、ルーティング、冗長化を学習し、小規模オフィスを想定した設計書と検証環境を作成しました。
まずは構成図の修正、パラメータ作成、試験項目の作成など、設計・構築に近い業務から担当させていただけないでしょうか。
具体的な成果物があれば、「やる気があります」と伝えるだけの場合よりも説得力が高まります。
90日間の週別スケジュール
| 週 | 学習・実践内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 1週目 | 現在の監視対象と構成を理解する | 簡略構成図 |
| 2週目 | IPアドレス、VLAN、ルーティングを復習する | サブネット設計表 |
| 3週目 | コンフィグと設計項目の関係を学ぶ | 設定対応表 |
| 4週目 | 検証環境を構築する | 検証構成図、コンフィグ |
| 5週目 | 架空案件の要件を整理する | 要件一覧、質問一覧 |
| 6週目 | 基本設計書を作る | 基本設計書 |
| 7週目 | 詳細設計とパラメータを作る | 詳細設計書 |
| 8週目 | 試験内容を考える | 試験項目書 |
| 9週目 | 成果物をセルフレビューする | 修正版設計書 |
| 10週目 | 経験者からレビューを受ける | レビュー記録 |
| 11週目 | 設計に近い業務へ参加する | 実務作業記録 |
| 12週目 | 成果物を整理する | ポートフォリオ |
| 13週目 | 上司や営業担当へ相談する | キャリア面談資料 |
平日の学習時間は1日60分でもよい
仕事をしながら学習する場合、毎日何時間も確保するのは簡単ではありません。
平日は、次のように60分程度で進めても構いません。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 20分 | ネットワーク技術のインプット |
| 20分 | 検証環境での設定 |
| 20分 | 構成図や設計書の作成 |
休日は、平日に学んだ内容を使って、2〜3時間程度のまとまった検証を行います。
重要なのは、一度に長時間勉強することではなく、90日間継続して成果物を積み上げることです。
90日間で取得を検討したい資格
資格は、設計担当へ移るための補助材料になります。
ネットワーク分野では、次のような資格が候補になります。
- CCNA
- CompTIA Network+
- 基本情報技術者試験
- クラウドベンダーのネットワーク関連資格
未経験に近い状態であれば、まずはCCNAレベルの知識を身につけるのが現実的です。
ただし、資格取得だけを90日間の目標にするのはおすすめできません。
設計担当を目指す場合は、資格学習と並行して構成図や設計書を作成しましょう。
設計担当へ移れない人に多い3つの失敗
1.資格を取得すれば異動できると思っている
資格は知識の証明にはなりますが、設計書を作成できることの証明にはなりません。
資格に加えて、構成図、パラメータシート、試験項目書などを作りましょう。
2.現在の業務を軽視している
監視業務を「誰でもできる仕事」と考え、雑に取り組むのは危険です。
アラートの意味、障害の原因、通信への影響を理解することで、設計に必要な知識が身につきます。
現在の業務を深掘りすることが、設計担当への第一歩です。
3.異動希望を伝えていない
勉強を続けていても、会社側が希望を知らなければ、監視業務のままになる可能性があります。
成果物を作ったうえで、上司や営業担当へ定期的に希望を伝えましょう。
90日後に確認したいスキルチェックリスト
90日後に、次の項目を確認してください。
ネットワーク基礎
- サブネット計算ができる
- VLANを分ける目的を説明できる
- L2スイッチとL3スイッチの違いを説明できる
- スタティックルートと動的ルーティングの違いを説明できる
- NATとACLの役割を説明できる
設計スキル
- 要件から確認事項を洗い出せる
- 論理構成図を作成できる
- IPアドレスを重複なく割り当てられる
- VLAN設計表を作成できる
- パラメータシートを作成できる
- 正常系と異常系の試験項目を作成できる
説明スキル
- 採用した構成の理由を説明できる
- 別の方式を採用しなかった理由を説明できる
- 障害時の動作を説明できる
- 構成上のリスクを説明できる
- レビューで受けた指摘を設計書へ反映できる
すべて完璧にできる必要はありません。
できない項目を明確にして、次の90日間の学習テーマへつなげることが重要です。
まとめ:監視経験を設計につながる経験へ変えよう
監視担当から設計担当へ移るためには、単に資格を取得するだけではなく、設計業務で使用する成果物を作る必要があります。
90日間の進め方は、次の3段階です。
- 最初の30日で、構成、通信、コンフィグを理解する
- 次の30日で、基本設計書、詳細設計書、試験項目書を作る
- 最後の30日で、レビューを受け、実務や異動へつなげる
監視業務で見てきたアラートや障害は、設計を考えるための貴重な材料です。
「監視しか経験していない」と考えるのではなく、「運用中に発生する問題を知っている」と捉え直しましょう。
設計担当へ移るために必要なのは、現在の経験を否定することではありません。
監視で得た経験に、構成を考える力、設計書を作る力、自分の判断を説明する力を加えることです。
まずは、現在監視しているネットワークを簡単な構成図にするところから始めてみてください。
その1枚が、監視担当から設計担当へ進むための最初の成果物になります。

コメント